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熊本は外国人と共生・参画できる地域になるのか シンポで現状と課題を議論

 12月17日、熊本市国際交流館およびオンラインで、「外国人との共生・参画の地域づくりをめざすシンポジウム」が開催された。主催の「コムスタカ―外国人と共に生きる会」のほか、熊本で外国人支援の現場で活動する様々な組織や、外国人当事者の立場からの報告が行われた。

シンポジウムのポスター

 基調報告では、コムスタカ代表の中島眞一郎氏から、熊本県在住外国人の現状や変遷、技能実習生制度や新制度である特定技能制度の問題などが述べられた。また、佐久間より子氏から、コムスタカが支援していたベトナム人元技能実習生リンさんの最高裁無罪判決に至る経緯や、妊娠を理由に技能実習を中断し強制的に帰国させる不利益扱いの現状、移住女性の妊娠出産の権利の周知の試みなどが報告された。
 「外国から来た子ども支援ネットくまもと」の竹村朋子氏による地域日本語支援の活動報告では、子どもたちへの日本語教育の重要性が十分に理解されていないことや、資金や指導員の不足など課題が多いことが述べられた。生活困窮者を支援する一般社団法人「minori」の高木聡史氏からは、住居と就労先を失った技能実習生のホームレス支援の実例を通して、支援活動の経験を共有する必要性が語られた。「熊本市国際交流振興事業団」の勝谷知美氏からは、事業団の様々な活動と、特に医療通訳制度についてボランティアの派遣やその養成の報告がなされた。 
 熊本大学からは外国人当事者として、アンドリュー・ミッチェル特任教授(熊本大学大学教育統括管理運営機構)とデブコタ・ハリ特任教授(同)が登壇した。外国人への差別や地域づくりへの参画など、課題について率直な意見交換が行われた。会場からは、群馬県の日本語学習支援の事例や、技能実習生制度の改革などについて質問が寄せられた。
 最後に、現在肥後銀行が行っている「お客様情報の継続的な確認」の手続きが、外国人の銀行口座の出入金制限に発展しかねない問題について、コムスタカで情報収集を行っているとの告知がなされた。
 TSMCの誘致に湧く熊本だが、同時に市民定義に外国人を加える熊本市の改正案に多数の反対が集まるなど、排他的な意見が多いことも浮き彫りになっている。しかし、熊本にはすでに多数の外国人居住者がおり、交流や支援が行われている。これらの活動によって培われた経験から学び、現状の課題を知ることが、外国人との共生の最初の一歩になるだろう。

 なお、コムスタカはホームページ上で活動報告や在住外国人への情報提供を行っている。
【コムスタカホームページ】http://www.kumustaka.org/index.html

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