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エッセイ集

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小説以外で書いた覚書などを掲載します。
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2014年12月の記事一覧

超短編小説1

 まったく、筆が進まない、もう、二日もこうして机に座りながら、書き出せないでいる。読者からは、最近マンネリ気味じゃないかと指摘を受けている。

 まったく、その通りだ。展開に新鮮みがない。書いている方が、そう思っているのだから、読者がそう感じるのもしかたがない。

 少年漫画雑誌に連載を掲載して、はや3年が経とうとしている。

 最初のうちは、あらかじめ考えていた展開がスムーズに進み、書いている自

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おでん

おでん

 今だと、おでんといえば、コンビニなのかもしれません。セブンイレブンの宣伝のおかげで、コンビニでおでんを買うというのが当たり前の世の中になっています。

 ぼくらの子どものころのおでんのイメージは、二輪車のついた屋台でおじさんが売りにくるというものでした。おでんの入った四角い鍋を積んだ屋台を鈴の音をならしながらおじさんが売りにくる。そうすると、鍋とメモとお金を渡された僕たちが、おでんやの屋台までい

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カカオ

 チョコレートメーカーの大手、スイスのバリーカレボーが、「チョコの消費が急増し、カカオ不足が懸念されるため、チョコは2020年には世界から消えるだろう」と表明した。原料であるカカオの需要が供給を大きく上回っているらしい。

 アジアを中心にチョコレートの需要は、年々増えている。しかし、カカオの生産がそれに追いついていないというのだ。

 カカオの生産は、赤道から南北緯20度以内の範囲で、年間平均気

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Kindleペーパーホワイト

Kindleペーパーホワイト

 ここ数年、読書は、Kindleパーパーホワイトでしている。当初は、ソニーの電子リーダーを使っていたのだが、途中でKindleに切り替えた。

 電子書籍が登場ずる前までは、紙を本を愛読していた。が、買ったばかりの本棚を、あっという間に埋め尽くす本の数を見ているうちに、これは何とかしなければならないと思い立った。

 電子書籍に切り替えたのには、もう一つ理由があった。持ち歩く本が重いのだ。文庫本な

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心の声

 「心はどこにあるの?」と聞かれたら、あなたなら何処を指しますか。たいがいの人は、心臓の当たり、つまり胸の中心当たりを指すのではないでしょうか。

 冷静に考えれば、脳で考えているのだから、脳を指すべきなのかもしれませんが、子どものころからの習慣でおそらく胸の中心当たりを指してしまいます。

 どうして、そんなことを考えたのかといいますと、宮下奈都さんの小説を読んでいて、なんでこんなに読みやすいの

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失恋小説

失恋小説

 男が50を過ぎて、女性の失恋ものの小説を読んでいる。なんだかちょっと気味が悪い。そう感じてしまうのが普通だろう。

 今、宮下奈都の「太陽のパスタ、豆のスープ」を読んでいる。いきなり、失恋するシーンから始まる。「えっ、女性の失恋もの」と思った時点で、一度読むのをやめた。違う新書版の本に目を通して、インターバルをとる。

 女性の失恋ではじまるといえば、矢木沢里志の「森崎書店の日々」以来だ。そう言

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湘南モノレール

湘南モノレール

 鎌倉や江ノ島に向かうのに、当初は横須賀線を利用していた。だが、土日だと鎌倉へ向かう観光客で横須賀線はものすごく混んでいる。さらに鎌倉から江ノ島へ向かう湘南電車は、通勤電車並のラッシュでさらに混雑している。そこで、他の方法はないかと考えて、大船から湘南モノレールを使ってみた。

 すると、江ノ島方面に行くモノレールはそれほど混んでいないことがわかった。ただ、この湘南モノレール、電子マネーのスイカが

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ときわ食堂

ときわ食堂

 埼玉県越谷市の東武スカイツリー線の蒲生という駅前にときわ食堂という大衆食堂がある。おかずのメニューが豊富なのと、何よりも値段がリーズナブルなので、それなりに繁盛している。

 毎月第2日曜日が、ゴルフの月例があるため、月例終了後そこで反省会を開くことが半ば習慣になりつつある。

 このときわ食堂、実は、東京各地にある。知っているところでは、浅草、入谷、町屋、駒込、巣鴨など。実はまだまだあるらしい

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ものがたり性 つづき

 昨日の話の続きです。水野さんは、「人間というのは技術がその時点での限界まで進歩すると、ノスタルジックな思いに身を寄せ、美しいものを求める傾向にある。」と書かれています。

 インターネットが急速に普及し、携帯電話からスマートフォンへと代わり、通信できるコンピュータを気軽に持ち歩けるようになった現在は、一時的な技術の限界点に近づきつつあります。そういった環境になると、人は、美しいものを欲しがるよう

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カメラ

カメラ

 11月下旬から12月初旬にかけて紅葉シーズンを迎えた都内の公園は、すごい人出で賑わっていた。

 目立つのは、高級そうな一眼レフカメラに高価そうな望遠レンズをつけた高齢のアマチュアカメラマンの方々だ。プロと見まがうほど立派なカメラを片手に、いや両手に持ち、シャッターチャンスをうかがっている。

 以前から、不思議に思っていたのだが、おそらくは、300㎜から400㎜はあるであろう、あれほどの望遠ズ

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ものがたり性

 「くまもん」をプロデュースした水野学さんの「センスは知識からはじまる」(朝日新聞出版)を読んだ。41歳の若さでこう言い切れるところはさすがだなと思った。おそらく、20歳代からずっと続けてこられたのだと思う。

 今日は、そんな内容の一部について書いてみたいと思う。

 前から、作品や商品といったものには、ものがたり性が必要だと思っていた。ただ、作品や商品を買い手に提供するだけではなく、どうしてこ

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富士山

富士山

 冬になると毎年のように思うことがある。「今年こそ、富士山の写真を撮りに行くぞ!」

 そう思いながら、毎年撮影の時期を逸し、悔しい思いをする。

 富士山を撮るには、空気が澄んでいて、当然のことながら晴れているのが望ましい。そう考えると、太平洋側の気候が安定する1月から2月ということになる。

 しかし、1月は、正月明けということもあって、ばたばたし、気づいたときには2月に入ってしまっている。2

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風の道

風の道

 川沿いに住んでいると川が風の通り道であることに改めて気づかされる。

 朝、川縁をジョギングしているとき感じる風は、必ず向かい風か追い風だ。とくに、この時期、風が冷たいため、風を感じやすくなっている。

 地下鉄の出口、ホームから地上までの通路も風の通り道だ。電車がホームに入ってくるときの圧力でトンネル内の空気は外に押し出される。逆に電車がホームから出て行くときには、空気がトンネル内に吸い込まれ

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文学フリマ

 この間の休みに、初めて文学フリマへ行ってきた。三浦しをんさんの「星間商事株式会社社史編纂室」という小説で、主人公が社史を作るかたわら、文学フリーマーケットに出展する小説を書き、冊子にまとめていく作業が描かれているのを読んで、一度文学フリマなるものを見てみたかったのだ。

 浜松町の駅で、モノレールに乗り換える。発車寸前だったモノレールはラッシュ並みの人でで溢れていたので、一台まって、次のモノレー

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