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失恋小説

 男が50を過ぎて、女性の失恋ものの小説を読んでいる。なんだかちょっと気味が悪い。そう感じてしまうのが普通だろう。

 今、宮下奈都の「太陽のパスタ、豆のスープ」を読んでいる。いきなり、失恋するシーンから始まる。「えっ、女性の失恋もの」と思った時点で、一度読むのをやめた。違う新書版の本に目を通して、インターバルをとる。

 女性の失恋ではじまるといえば、矢木沢里志の「森崎書店の日々」以来だ。そう言えば、この本も失恋するシーンから始まる。一つのパターンなのだろうけど、出だしで気持ちが落ち込んだことを覚えている。

 あの時は、古書店の話だからと自分に言い聞かせながら、先を読み進めるうちにすっと話の中に埋もれていった。

 失恋後、まったく気力ない主人公が、何気ない日常を淡々と過ごしていく。その描写を読ませていく作家の文章力がそこにあった。だからこそ、その先の話にたどり着くことができた。そういう意味では、八木沢里志さんの文章は、そういう力を持っている。

 今回の、宮下奈都さんも人を引きずり込む文章力を持っている。「よろこびの歌」で、その文章力に魅せられて、続編の「終わらない歌」も続けて読んでしまった。

 だからこそ、少し我慢して読み続けてみようと思った。
 まだ、20%しか読んでいないが、先の展開に期待しつつ、読み進めていきたいと思う。

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