見出し画像

ときわ食堂

 埼玉県越谷市の東武スカイツリー線の蒲生という駅前にときわ食堂という大衆食堂がある。おかずのメニューが豊富なのと、何よりも値段がリーズナブルなので、それなりに繁盛している。

 毎月第2日曜日が、ゴルフの月例があるため、月例終了後そこで反省会を開くことが半ば習慣になりつつある。

 このときわ食堂、実は、東京各地にある。知っているところでは、浅草、入谷、町屋、駒込、巣鴨など。実はまだまだあるらしい。しかし、チェーン店なのかというと、それぞれの店に個性があり、一貫性があまり見られない。

 例えば、そば屋の砂場は、三ノ輪橋にある砂場が本店で、そこからのれん分けされたところが、関東各地で営業している。この店の看板は、ほとんど同じ作りになっていて、使用している「砂場」とう文字もおそらく商標登録されているものを使っているのだと思う。

 ところが、このときわ食堂の看板は、まちまちだ。一貫性があまりない。

 そこで、蒲生のときわ食堂で働いているおばさんに、「ときわ食堂って、各地にあるけど、本店ってあるの?」と聞いてみたところ、「ここの店は、町屋にある店からのれん分けしてもらったらしい」との返答だった。

 町屋に行って、ときわ食堂を探してみると、確かにときわ食堂が京成鉄道の高架向かいにあった。昼、11時頃に訪れたのだが、もう店はやっていて、朝から営業しているようだった。

 外からのぞいてみると、すでに昼前から満席状態、新聞を広げながら食事をしている人などがいた。中に入っても相席になるのが目に見えていたので、入らずにその場を立ち去った。

 そうこうしているうちに、ある日のドキュメント番組で浅草にあるときわ食堂を扱っていた。こちらは、今の社長が三代目だとかいっていたから、昭和の時代から続いている店なのだろう。インターネットで調べてみると、この浅草からのれん分けされた店も多くあることがわかった。浅草の店には、系譜図があるらしいので、一度行ってみたいと思っている。

 さて、蒲生のときわ食堂に戻ろう。この店の特徴として、一人客が多いのと、客の出入り間隔が短いことがある。グループでくる客は、比較的少ない。そのため、テレビを見ながら軽く飲み、最後に食事をして小一時間ぐらいで帰る客が圧倒的に多いのだ。いわゆる立ち食いそばや飲み屋のスタイルだ。だから、値段をリーズナブルにできるのだろう。

 そして、料理が出てくるのがなんといってもはやい。注文すると五分もしないうちにほとんどの料理がでてくる。厨房の中は、二人しかおらず、先に下ごしらえしてあるとはいえ、かなりのスピードで二人が動いていることになる。

 たぶん、日頃からこのスピードでこなしているので、お二人はそれをなんとも思わないのだろうが、結構重労働だと思う。

 格別に、これがうまいというメニューはないのだが、何を頼んでも外れがない。注文するメニューを安心して選べる。だからこそ、常連客が居着くのだろう。

 他のときわ食堂が、どんなタイミングで、どんな料理がでていくるのかはわからないが、浅草のお店に限らず、一度入ってみて調べてみたいと思っている。おそらく、各店舗に何か共通する部分があるのではないかと思うのだが……。

 エッセイ集 目次


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?