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初日 肘頭骨折 一人遊び #3

続き。

駅に向かい歩く。
23時。

酩酊と泥酔の間。
私は酒が弱い。

駅に着き、ホームで電車を待つ。
電車が来る。乗る。大体1時間程。

目を閉じ、眠る。
気が付くと終点の前。

飛び起き、下車する。
タクシーに乗ろうか、悩む。
が、タクシー乗り場には一台もいない。

感覚的に10キロほど。歩けなくもない。歩きながらタクシーに乗れればいいかと思う。

小雨は降り続ける。
歩き続ける。

結局早歩き2時間弱。
最寄り駅手前。

階段が濡れている。
泥酔と酩酊の間は酩酊とほろ酔いの間に。

段差がある。
見事越える。

階段がある。
勢いが付く。

そして私は転倒した。

何が起きたのか理解できない自分と、遅れてやってくる痛みにようやく理解が追いつき、立ちあがり、座り込む。

何分座り込んだかもはや記憶がない。
痛みも落ち着き、立ちあがろうとしたその刹那、右肘に激痛が走る。

(痛い。なんだこれは。打撲か?)

この痛みは動かさないほうが良いと直感的に思った。痛みに耐えて動かしてより痛みが増すなんて過去の経験が思い出される。

(とっとと帰って寝てしまおう。そうしたら明日痣になっていようが腫れていようが直に治るだろう)

足早に自宅を目指す。ほろ酔いから脂汗へ。決して素面にはならない。今思えばアルコールの力によって本来の痛みより感じにくい状態であったのだろう。その時の私に感謝である。

(あぁ。この現代社会においてタクシーを呼ぶ方法などいくらでもありよう。なぜ私は10キロも歩いてしまったのだろうか)

等と問答をしているうちに、帰宅。

そして、明らかな異変に気が付く。

(なんだこれは。今までにない。痛みが引くどころか増しているではないか。そして全く腕が動かないではないか)

痛みに耐えながらなんとか衣類を脱ぎ、寝間着に着替え、布団に転がる。

激痛。

(これはやばいが、寝てしまおう)

妻は実家に帰っている。
妻にラインで連絡をする、午前3時。

「転んで腕が動かない」

明日は結婚記念日と称したデートである。


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