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Vol.6「みんなでキヅキを持ち寄ってだんだんに動画の中の『不思議』を解明しよう」石川将也さんのワークショップレポート

今回は、昨年の夏休みに開催したキヅキランド体験ワークショップの第1回と第2回の様子をお伝えします。キヅキセンパイとしてお迎えしたのは、映像作家・グラフィックデザイナー・視覚表現研究者の石川将也さん(インタビューはこちら)。ワークショップの初回は、1年以上をかけてつくってきたキヅキランドを、初めてこどもたちに触ってもらう日であるということで、キヅキランドスタッフ一同、大変緊張しながらも楽しみにその日を迎えました。

キヅキランド体験ワークショップでは、日常の風景や身の回りの出来事をとらえた短い動画にみなさんから書きこまれる「キヅキ」を、YouTube Liveでキヅキセンパイがピックアップしてコメントしていく、という「実況」の方法を取っています。ですから、参加者のみなさんの様子を目で見ることはできないのですが、書きこまれるキヅキによって、それをうかがい知ることができました。

動画は、「高いところから港の風景を撮影したもの」「2種類のクリームソーダを作る過程を並べたもの」「目玉焼きを作る様子をアングル違いやクローズアップなど4つのカメラで同時にとらえたもの」「反射材がぴかっと光る不思議」「ジャグリングの様子を正面と真上から見たもの」を用意。それぞれ、同じ現象を違う角度で見たり比較したりと、日常のできごとを見方を変えてとらえた動画です。

第1回&第2回のキヅキセンパイをつとめてくださった石川将也さんは、これらの動画の作者でもあります。どうやってそれぞれの動画を作ったのか、どういうきっかけで発想したのか……などの解説を織り交ぜながら、参加者のこどもたちと動画をみていきました。

キヅキセンパイの石川将也さんと一緒にワークショップは進みました。

動画を紹介し、石川さんが「ではキヅキを書き込んでみましょう!」と呼びかけると、すぐにたくさんの書きこみが!(中には石川さんの解説を待たずに書きこむ子も!)

書きこまれたキヅキは、動画を見て「あれ?」と不思議に思ったことから、何度もじっくり見て「あっ!」と気づいたことまで、いろいろありました。

書きこみの仕方も、画面いっぱいに考えたことを言葉で書いてくれたり、気になった部分を囲んで矢印で示してくれたり、絵を添えてくれたり。

そして、みなさんの書きこみがキヅキランドにアップされると、こんなふうに見ることができます。(ぜひ動画を再生してご覧ください!)

どんなふうにキヅキが書きこまれたか、その過程を見ることができるんです。ゆっくり考えながら書く様子や、書きながら考えが変わって消して書き直したりする様子も記録されるのが、キヅキランドのメモれる動画の面白いところなんです!

この他、今回のワークショップで書きこまれたこどもたちからのキヅキを、ここにいくつか紹介させていただきますね。

こどもたちの書きこみのなかには、思いもよらなかったキヅキも。たとえばクリームソーダの動画で、それぞれのグラスにソーダを注ぐ「音がちがう」というキヅキ。また、ソーダがはじけるちいさな小さなしぶきに気づいた子もいました。

「そうやって、こどもたちがそれぞれの目でキヅキを見つけていったのは面白かったですし、みんなでキヅキを持ち寄ってだんだんに動画の中の『不思議』を解明してくれた様子は、探偵みたいでしたね! 動画に自分が感じたこと見つけたことを書きこみ、みんなで共有することで、キヅキの世界がふくらんでいくことを体感できたワークショップでした」(石川さん)


また、参加者のこどもたちから石川さんにいくつかの質問もいただきましたので、そのQ&Aもご紹介しますね。

Q:石川さんはどういうときに不思議に気がつくのですか?
A:いろいろなことを「本当にそうなのかな?」と疑ってみる癖があります。それで実際に実験をしてみたりすると、不思議に気がついたりします。

Q:石川さんが小学生の時にハマっていたものはなんですか?
A:ミニ四駆が大好きな小学生でした。改造に挑戦しては、失敗して壊してしまう、というのを繰り返していました。

Q:以前はピタゴラスイッチのお仕事をしていたそうですが、今はどんなお仕事をしているのですか?
A:今はコロナ禍で、みなさんなかなか外に出かけることができないと思います。そういう状況でも、科学や不思議に触れてもらえるようなワークショップや展示をつくっています。このキヅキランドもそうですね。

Q:石川さんがピタゴラスイッチを作っていて楽しいと思ったのはどんなときですか?
A:私は、ピタゴラ装置を作ったりもしていましたが、あとは「ねじねじの歌」とか「クッキー型の歌」などの歌を作ったりもしていました。金網の工場やクッキー型の工場を見学して、その作る様子がすごく面白いと思ったので、その面白さをみなさんに伝えるにはどうしたらいいかな、と考えて歌にしたんです。楽しかったのは、そういうふうに「作る」とき、またそれを見てくれた人たちからいろいろな感想をもらったときです。


というわけで、今回は第1回&第2回のキヅキランド ワークショップの模様をお届けしました。次回の「キヅキランド通信」では、8月のワークショップにキヅキセンパイとして登場いただいた、科学コミュニケーターの本田隆行さんのインタビューをお送りします(3月2日公開予定)。科学コミュニケーターというお仕事について、そしてその視点からキヅキランドがどのような場となりえるか、ということをお伺いしました。お読み逃しないよう、よかったらぜひこのnoteをフォローしてください。
それではまた!

Illustration: Haruka Aramaki


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