見出し画像

Vol.13 本田隆行さんインタビュー「みんなどんなメガネをかけて世界を見ているの? それをキヅキを通じて知ることができるのが面白い」

キヅキランドでは、オンラインワークショップを開催します。ワークショップでは、参加者がそれぞれの場所からそれぞれのデバイスでキヅキランドを体験しながら、YouTube Liveでのキヅキセンパイのおしゃべりに導かれ、さらにキヅキをふくらませていきます。
今年の第1回のワークショップ(5月21日開催)には、科学コミュニケーターの本田隆行さんがキヅキセンパイとして登場します。本田さんは昨年夏のワークショップに続いて2度目の再登板! 前回のワークショップで印象的だったことなどを伺いながら、5月21日のワークショップがどんなものになりそうか、お話を伺いました。

本田隆行さん/科学コミュニケーター
神戸大学にて地球惑星科学を専攻(理学修士)。地方公務員(枚方市役所)事務職から、科学館(日本科学未来館)へ転職し、サイエンスコミュニケーターとして勤務する。現在は、国内でも稀有なプロの科学コミュニケーターとして活動中。「科学とあなたを繋ぐ人」として、科学に関する展示企画、実演の実施・監修、大学講師やファシリテーター、行政委員、執筆業、各メディアでの科学解説など、なんでもこなす。著書・監修に『宇宙・天文で働く』(ぺりかん社)、『もしも恐竜とくらしたら』(WAVE出版)など。www.sc-honda.com


周りを気にせず自分だけの見方や考え方に没頭できるワークショップは貴重

——4月20日にキヅキランドがついにオープンしました。オンラインでなにかできないか……というアイデア出しから始まって2年。

本田:ようやく! この2年の間にデジタルツールに慣れた子も増えたと思いますし、そういう中でみんながキヅキランドにどういう反応をするのか、ドキドキワクワクですね。

——さっそく5月21日に本田さんにはキヅキセンパイとしてワークショップに登場いただきます! 本田さんは昨年夏にもキヅキランドのワークショップをご担当いただきましたが、振り返ってみて印象的だったのはどんなことでしたか?

本田:意外だったのは、こどもたちのキヅキが本当にバラバラだったこと。思っていた以上に着眼点がみんな違ったんですよね。これには驚きながらも、ガッツポーズで「よしっ!」っていう気持ちでしたね。

——もしみんなが同じ場で一緒にやっていたら、そういう結果にならなかったかもしれない、ということはありませんか?

本田:ありえますね。このワークショップはオンラインで開催していますが、参加者同士を繋いでいるわけではないわけです。僕自身も「みんなの声が聞こえない、姿が見えない」という不思議な状況でしたが、参加者同士も同じ状況だったわけですよね。だから、自分の見方に集中できたのかも。一堂に会してのワークショップだと、誰かが「端っこのやつなんだろう?」って言うとみんな端っこ見るじゃないですか。そういうことがないんですよ。

——そうですね、キヅキセンパイがラジオのパーソナリティのように、それぞれの場から参加しているこどもたちを繋ぐような役割も果たしてくれますから、その「細いつながり」もありつつ、自分一人で没頭もできるというのが特徴ですよね。

本田:自分の見方や考えに没頭し、振る舞いとかをそんなに気にしなくていいというか、周りを気にしないで自分だけの見方や考え方に没頭できるワークショップって、多分すごく貴重だと思います。
だからこそ、大人の皆さんはキヅキランドをやっているお子さんのタブレットを背後から覗き込んで「それじゃない?」「あれは?」とか言わずに、没頭させてあげてほしいですね。それで、ちょっと離れたところで、デバイスのトラブルとかがあった時に助けてあげるような寄り添い方をしてもらえると。一番いいのは、もう1台タブレットかPCをご用意いただいて、大人の方も参加してもらえると!

——なるほど、親子それぞれでキヅキを探していただくということですね。やっぱり各自の異なる視点を尊重しあうのがキヅキランドですから、親子でもそういうふうに体験いただくのがよいですね。
ところで前回のワークショップでは「誰かの考えたことに対して自分の考えを返してみよう」というキヅキの連鎖を促すことにもチャレンジしてみましたね。

本田:はい、やっぱりそれがキヅキランドの大きな狙いでもありますから。人のキヅキに対してツッコミができる。しかも、それを自分だけの独り言にするのではなく、自分のキヅキとして発信できるというのは、キヅキランドの一番の楽しみ方・味わい方だと思います。前回のワークショップでは、みんな躊躇せずにそれを実践していたので、よかったなと思いましたね。
これからは、「誰かのキヅキに重ねてごらん」というひと押しがなくても、キヅキをどんどん重ねていくということをみなさんにはやっていってほしい。そのためにもまずはワークショップを通じて、そういったキヅキランドの「お作法」を知ってほしいなと思っています。

——今回のワークショップ、本田さんがこどもたちと一緒にやってみたいことってなんですか?

本田:やっぱり「他人のキヅキに注目する」ということをやってみたいですね。まずはムービーを見て自分で「おや!」「あれ?」と思ったこと、キヅキをどんどん書きこんでいくんですが、そのあとに、今度はムービーではなく人のキヅキを見て、そのなかになにか自分がグッとくるキヅキを探す。あれば、そこになにか1個ツッコミしてみる。

——なるほど、みんなのキヅキ一覧を観察する時間をつくるということですね。

本田:そうそう。「自分の見方で観察して自分のキヅキを探す時間」と、「人のキヅキを観察して刺激受ける時間」というのを行ったり来たりすると面白いと思うんです。人の視点を新しく知ることで、今まで見えなかったものが見えてきたりする。新しいキヅキを見つけるために、人のメガネを借りるんです。
他の人が自分とは全然違うところを見ているというのは、つまりその人は自分とは違うメガネをかけているからだろうなと思っていて。それがどんなメガネなのかは、キヅキを通じてちょっと垣間見ることができる。それで「このメガネ=見方いいな」と思ったら、ちょっと借りてみる。そういう体験もぜひしてもらいたいなと思っています。

——最後に、5月のワークショップ、こどもたちにどんなことを期待していますか?

本田:期待しかしてないんですが(笑)、とにかく自由に、頭の中に浮かんだことや見つけたものを、直感的に反射的に書きこんでほしいですね。何かみんなの頭の中の様子がダイレクトに伝わるような、キヅキの書きこみにいっぱい出会えることを期待してます。

——前回のワークショップでも銀河を「ドラやきみたい」と表現した書きこみが印象的でした。

本田:こどもの目で見て考えたことが実はとても専門的なことだったりすることあるんです。直感的なものに本質が宿っていたりします。その辺は、ぜひこどもたちの直感的なキヅキから世界が広がっていくような、少し専門の世界と繋がるような、情報をお届けしたりお話をしたりしたいなと思っています。

——こどものキヅキからどんな世界が広がるのか、楽しみです! ぜひ多くの人にこのワクワクを体験してもらいたいですね。本田さんありがとうございました。ワークショップ、どうぞよろしくお願いします。

今日お話をお聞きした科学コミュニケーターの本田隆行さんがキヅキセンパイとしてこどもたちをガイドするワークショップは、こちらで参加のお申し込み受付中です(参加費無料)。また、まずはキヅキランドがどんなものかやってみたいという方は、ぜひサイトのチュートリアルをお試しいただき、新規登録(メールアドレスとパスワード)をお願いいたします。

それでは、キヅキランド ワークショップで、お待ちしています!

Illustration: Haruka Aramaki


この記事が参加している募集

おうち時間を工夫で楽しく

理科がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?