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手塚治虫が予言した未来へ近づく社会 "人類滅亡"から逆算して考える

新型コロナウイルスの感染拡大が続いています。
日本人全体の生活への影響レベルでいえば、3.11に匹敵。
いや、それ以上かもしれません。

しかし、こういうときに、テレビやSNSで流れてくるコロナ関連のニュースばかり見ていても、不安は解消されず、むしろストレスが増えて免疫力の低下を招きかねません。

違うことを考えたり、適度に気分転換をするべきです。

先にお伝えしておくと、今回の記事はズバり、
「手塚治虫ネタ」&「AIの進化と人間の退化」がテーマです。

壮大かつ絶望的な内容でして、決してハッピーな気分にはなれませんが、日々騒がれている出来事を、宇宙から傍観したいような人には響くと思います。

そう、宇宙の歴史から見たら極めて些細なことだと。

1.漫画を読んでみよう

僕は共同住宅にて、実の家族をはじめ、10代から60代までいろんな属性の人たちと住んでいます。週末、あるハウスメイト(二十歳女子)に

「最近何して過ごしてるの?」と聞いたら、

「鬼滅の刃、読んでます」

という平穏な応えが返ってきました。ちょっと安心しますよね。
それで、

「なんか流行ってるみたいだけど、面白いの?」
と軽い気持ちで聞いたら、

「ええっ!!読んでないんですか?!?!」
と、ガチでビックリされました。。

もうかれこれ10年くらい、漫画を買って読むということがなかった自分。
社会の流行に乗り遅れないよう、少しはアンテナを高く張ってるつもりでしたが、盲点でした。反省せねばなりません。

ということで、月曜日、令和になって初めて漫画を買いました。

仕事帰り、京急の梅屋敷駅すぐにあるコンビニで
ふと目にとまった「モーニング」です。
ちなみにモーニングを買ったのは人生初。
(反省が活かされていない気もしますが、そこは無視してください。)

目にとまった理由は、表紙に描かれていた『ぱいどん』の文字と絵。

あの手塚治虫先生の作品をAI(人工知能)が分析して作ったという、話題の新作です。ただし、『ぱいどん』の作品自体にそれほど興味はありません。

手塚先生とAIの関係性、そして、AIが進化しいていく未来社会に興味があるのです。

『ぱいどん』をもっと知りたい人は、こっちを読んでみてくださいね。
これはこれで面白い。

さて、前置きが長くなりました。

2.アンドロイドの原点

手塚先生は、僕がフルリスペクトする漫画家。いや、思想家、哲学者、というべきか、もはや信仰の対象になりうる存在です。


代表作『鉄腕アトム』をはじめ、アンドロイド(高い知能をもつ人間型ロボット)が登場する作品を数多く手掛けているのは、もはや日本の常識。
「ロボット開発が得意な国 is JAPAN」のイメージを世界に広めた背景、技術者がロボットを作りたい!という衝動にかられた要因に、ほぼ間違いなく、手塚作品のエッセンスが入っていることでしょう。

しかし、手塚先生がアンドロイド系作品の原点かというと、そうではありません。
世界のSF作品の歴史を遡ること90年。
ワイマール共和国時代のドイツ映画に原点がありました。

その名も『メトロポリス』!

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見て下さい、このポスターのデザイン!
90年以上前のものとは思えない。
ちょーカッコいい。

2026年の未来都市を舞台にしたSF大作で、高度に発達した科学のもと、分断された階層社会”ディストピア”を描いた映画作品です。
世界で初めてアンドロイド(マリア)が登場します。

変わった天才科学者が、装置で”ヴィーン”ってやって、配線とか機械が”バチバチ”ってなって、ロボットがゆっくり目覚める!
キタコレ!って感じですね。

そして、手塚先生は漫画で『メトロポリス』という作品を描きます。
1949年出版という超初期のSF漫画。もちろん鉄腕アトムよりも前です。

2001年には、アニメ映画化もされました。
脚本は最近東京オリンピックのネタで話題になった『AKIRA』の大友克洋氏!

ほら!バチバチってなってる!
目が開き、髪の毛が伸びてきたぁ!

とまぁ、ここまで書けば、いかに僕が手塚作品とその背景にある世界観に魅了されてきたか、お分かりいただけたかと思います。

3.最高傑作『火の鳥』

そんな手塚作品の中でも、しばし最高傑作として扱われることが多いのが『火の鳥』です。
「漫画の神様」と呼ばれる手塚治虫先生の最高傑作ということは、
すべての漫画の頂点に君臨する超傑作といっても過言ではありません。
いや、「ブラックジャックだ!」とか「ブッダ最高!」とか、
ご意見はおありかと存じますが、ベスト3には入ると断言できます。
ここは絶対に譲れません。

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「火の鳥」は全12編から成り、1編だけでも長編映画になるスケールのデカさなのですが、その中でも、僕にとって特別なのが、
第2編の『未来編』です。
これがもうとにかく凄い。凄すぎる。

まず設定から。

・文明は衰退し、人口減少の一途を辿る、西暦3404年(35世紀)の未来。
・地上は荒れ果て、人類は地下都市「メガロポリス」に住んでいる。
・各都市はAI(電子頭脳)が支配し、政治等重要な判断を委ねている。

もはや、この時点でヤバい。

「いやいや、そんなの作り話でしょ?」って言えますかね。
昨今の社会情勢を見ていると、この作品の未来に向かって突き進んでいる気がしてなりません。

しかも、「メガロポリス・ヤマト」のAIの名前が「ハレルヤ」というのが怖い。神は死んだのでしょうか。

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最近、世界的に宗教離れが加速しています。
それは、グローバル化やSNS普及に伴う価値観やコミュニティの変化、そして「祈り」ではなく「検索」に救いを見出すようになったという説がありますが、まさにインターネット、ないしAIが全知の存在となり、「神」に置き換えらてしまったのでしょう。

で、ですね。

ネタバレ的に、結論を言ってしまうと、、

AIに判断を委ねたことにより人類は滅亡します。

似たような話として、ハリウッド映画『ターミネーター』がありますが、この映画の中で、スカイネット(AIによる防衛システム)自身が人類に直接核攻撃したのとは異なり、『火の鳥』の場合は、AIが判断したことを、人類が自分たちの頭で考えることなく、言われた通りに他都市に対して核攻撃をしてしまうという、より残念な結末なのです。
AIが進化する一方で、人類は退化してしまっているので、仕方がありません。

結局、主人公のマサトは、火の鳥から不死身の身体を本人の意思とは関係なく与えられ、地球の生命を一から作り直すことになります。そしてまた歴史は繰り返す、、という果てしないスケール感。

新約聖書の黙示録を読み、また旧約聖書を開いて創世記から読み始めるようなもんです。

そして多分、手塚先生はそれをやっている。

もっと詳しく内容を知りたい人はこちらも。

『メトロポリス』と『火の鳥 未来編』どちらにも共通していることは、科学がどんなに発達していても、大事なところをAIに頼り切りになると、やがて社会システム全体が崩壊してしまう。ということです。

ずっと昔から警告されていることなんですよね。

4.自分たちの未来は、自分たちで選ぶ

話を新型コロナウイルスの話題に戻します。

まあ、ここで批判してもまったく意味はないのですが、今の政治は明らかに混迷しています。
そして困ったことに、国民も色んな情報に翻弄され、正しく行動ができなくなっていると感じています。結構ショックです。

一方で、ニュースがマシンガンのように連射される中、ちょっと前まではなかったフレーズを見聞きするようになりました。
「AIを駆使する知識集約社会を…」とか「AIの予測に基づき…」とか、そんな類の言葉です。バカな政治家の言うことよりも、AIの方が正確で信用できるよね。っていう流れが感覚ベースで来ている。

僕が『火の鳥』にはまっていた20数年前は、まだインターネットの黎明期でしたが、この間に世界は大きく変わりました。
もはやSFではなく、現実の事象としてAIが社会システムの要素になろうとしてるわけです。
さらに、インターネットを使って簡単に情報にアクセスできるようになったおかげで、知ったつもりになる人が増えてしまった。発信された情報や内容に対して、建設的な議論でなく、批判や否定を大量にぶつけて思考停止に陥ってしまうことが、ネットのそこら中で毎日起こっています。

人間は退化する道を進んでしまってないか。
本当に大丈夫でしょうか。

僕は1000年くらいのスパンで見た場合に、人類は滅亡するだろうと思っています。「SFの見過ぎ!」と笑ってもらえる時代なら、幸せだったと思いますが、「日本の未来はこうなるよ!」という、明るい予想図みたいなのを、大人は子どもに見せられなくなったなと痛感しています。
往年のドラえもんに出てくる、22世紀の輝く”トーキョーシティー”とか、もう絶対無理でしょう。。

時代の流れが変えられないのだとすると、
最後は、自分に与えられている命を、どう使っていきたいか?

存在理由、あり方を明確にして生きる。

その一点に尽きると思います。

これは『火の鳥』のテーマでもあります。

『未来編』に出てくる、地下都市の住民のようにはなりたくない。

自分の感覚を研ぎ澄まし、高度なシステムになるべく依存しない生き方を選択していきたい。

それが僕なりのあり方です。

「狭い門から入りなさい。滅びに通じる門は広く、その道も広々としていて、そこから入る者が多い。しかし、命に通じる門はなんと狭く、その道も細いことか。それを見いだす者は少ない。」
マタイによる福音書7章13~14節


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