傷ついた心が溶けるまで
ムスメちゃんが、家にいる。
不登校である。
言葉の拙さ、理解の特殊さで、幼い子のように扱われがちなムスメちゃんも11才。本当は年相応に複雑で繊細な世界がある。
自尊心だってある。
自分はこうやりたい、という思いもある。
例えばそれが「良し」とされる「見本」と違っても、ムスメちゃんの中では成立している。「こうしたいのだ」「これでいいんだ」と言葉で説明できないもどかしさに、感情が昂る。昂ることに罪悪感も覚える。
周りの善意による対応が、良かれと思っての態度が、きっとサクサク心を傷つけている。できない子として扱われること。
辛いだろうと想像する。
「知的障害がある」ムスメちゃんの中に広がっている豊かな世界の片鱗を、私は、しばしば感じている。その世界は、とても知的で深くて鮮やかだと思う。
でも、健常と呼ばれる私たちは、自分達と違うチャンネルを受信しずらいから、ほとんどの人がその存在に気づかないのかも知れない。だから自分達のチャンネルで理解して、評価する。でも、それはそこにある。そこにあるんだ。
つららから雫がポタポタ落ちる音が聞こえる。温かい日差しを感じる。
学校に行くことがゴールの全てではない。傷ついた心はゆっくり溶けるまで待とうと思う。
一緒に過ごす中で、私にも見えるだろうか。ムスメちゃんの世界。
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