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『黒板』について

作品を保管するときに額縁の外箱にタイトルとサイズ、制作年を書いた紙を貼っているんですが、この絵はタイトル『黒板』って書いてありました。いま文字を打った本人ですら仮タイトルな気がします。
もっといいタイトルがありそうだな…

15.8×22.7cm

こちらは「第二回絵から小説」のお題絵として描いたもの。本当に好き勝手描いて作ったやつです。企画ではあんまり明るくない「人を選ぶ枠」と位置付けてました。3枚のうち2番目につくったのかな。ひとつは顔が見えるやつにしようと決めていたので楽しくガツガツ描きました。

わたしがずっと惹かれているモチーフのひとつが「少女・少女性」です。性趣向ではないのでご安心ください。惹かれる理由はまだ言語化しきれてないですが、現時点で言葉をひねり出すならば子どもでも大人でもないところ、軽やかさといびつさの共存、拒絶感といったキーワードが浮かびます。
自分の高校が美術科で私服、独特の校風などちょっと珍しい高校生活だったので、制服を着て放課後にふらっと遊ぶような普通の高校生への憧憬があるかもしれません。

さて、絵に戻ります。
企画絵の「メッセージ性は持たせない」はこの絵も例外ではないので、やはり想像の幅を持たせる工夫はしています。
「描かれた少女を主軸に展開する」が想像の表(おもて)だとします。では想像の裏は何かというと、画面中央下あたりです。
少女の輪郭線を緑青でずらしたり少女の手前に黒板色の刷毛目を入れるなど、少女そのものが実体ではなく「何かに描かれたもの」と捉えられる余地を作っています。絵の左側の背景も格子状に刷毛目を入れることでチョーク画っぽいタッチに見せています。
功を奏してか、参加作品にはAI世界もいくつかあって、こちらの想定の表と裏を上手く扱って下さってて、なるほどなあ凄いなあと感じたのを覚えています。

参加作品では少女や少女の目にフォーカスされたものが多かったように思います。クラシカルな丸襟服に黒板のような背景も活かしてもらえてたなと。これまた好きな世界観でおいしく頂きました。

想像の表ではあれど「人を選ぶ枠」の狙い通り、少女がとんでもねえ設定(残虐だったりファム・ファタルだったり)になってる作品もあり、書き手さん個々の渾身の一撃を打ってもらえていい意味で気持ち悪くなれました。その節はごちそうさまでした!

技法…というか個人的な絵作りテクになるのですが、日本画で人物の目を彩色するときは金茶と古代紫をよく使います。この2色は何色の目でもほぼ変わらず使っていて、何層かに色をかさねたときにいい感じになるからです。「いい感じ」ってめっちゃ曖昧ですよね〜!
少なくとも「わたしの描く肌色や絵にとっては」いい感じになります。
猫目のきらっとした鋭さは参考にしています。


額縁のほうが先に決まっていて、額縁屋さんの同窓生に抽象的な言葉を伝えいくつかピックアップしてもらった中から決定。旧校舎っぽい木と白の風合いの額によって古い肖像画のようにも見えてぴったり合ってるなあと思っています。


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