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アーティスト/日英翻訳(artoka.org)/アンディナ・シモン・ボリバル大学エクアドル校文化学修士(アートとビジュアルスタディーズ)/平成生まれのミレニアル世代/日英語に翻訳されていないラ米の文献やアートを紹介するnoteです。

最近の記事

コロナ禍でのパフォーマンス作品:作家インタビュー「統治者たちに突きつける、記憶をのせた皿」

パフォーマンスを実演したアーティストたちとのインタビューの邦訳です。元の記事はこちら。 こちらの記事は「南米フェミニスト・アート・アクティビズム講座」と関連しています。最後の開催となる第5期の受講者募集中です! 訳・岩間香純  校正・寺田知加 (翻訳・英文作成 アトカ) ************ 2020年6月26日、アンドレア・サンブラノ=ロハス、サロメ・キットとイサドラ・パーラの3人は、アンドレアのパフォーマンス作品「HAMBRE(読み:アンブレ、訳:空腹)」を実

    • ラ米の先住民アクティビストと学者を紹介

      今日、8月9日は国際先住民族の日(International Day of Indigenous Peoples、World Indigenous Day)である。ここではラテンアメリカで活動する先住民アクティビストや学者を少しだけ紹介していきたい。エクアドルの先住民族組織ネットワークCONAIEのSNSをフォローするとエクアドル国内の各民族の活動や近況について知ることができる。 南米では、先住民アクティビストが国家やパラミリタリーに殺害される事件が後を絶たない。アマゾンの

      • エクアドルの大学院の話

        珍しく「エクアドル在住者の話」みたいな投稿です。私が通ったエクアドルの大学院についてご紹介しようかなと思いました。私は留学生ではないので、留学手続きとかそういう話はできません。 (*トップの写真は合格証を取りに行ったついでに撮ったもの。もっと映える場所で撮ればよかったけど日差しが強くて早く帰りたかったので適当な場所で撮ってしまいました。) 大学の概要とちょっとした歴史通ったのはUniversidad Andina Simón Bolívar - Sede Ecuadorとい

        • 南米フェミニスト・アート・アクティビズム講座【申込終了。たくさんのお申し込みありがとうございました!】

          【本講座は申込を終了いたしました。】 ここ数年、日本語でも「フェミニズム」や「アクティビスト」という言葉を聞く機会は増え、たくさんの情報が流通しているものの、ラテンアメリカでは何が起こっているのか日本語で情報を入手することはまだ難しいのが現実ではないでしょうか。南米在住のアーティストが講師を務めるこの講座では、5回のクラスにわたりエクアドルとチリ発の3つの事例を見ながらグループ・ディスカッションなどを交えて南米のフェミニスト・アート・アクティビズムについて一緒に学ぶことがで

        コロナ禍でのパフォーマンス作品:作家インタビュー「統治者たちに突きつける、記憶をのせた皿」

        • ラ米の先住民アクティビストと学者を紹介

        • エクアドルの大学院の話

        • 南米フェミニスト・アート・アクティビズム講座【申込終了。たくさんのお申し込みありがとうございました!】

          チリのアートx政治ーー「エセナ・デ・アヴァンサーダ」

          [見出し画像:"Una milla de cruces sobre el pavimento" ロティ・ローセンフェルド(Lotty Rosenfeld, 1979)] 世界にはいろんなアートが存在するが、美術史の授業では学ばないものが多い。特にヨーロッパや北米圏外で起こった芸術は「国際的な潮流」に含まれないことが多々ある。今回は南米の大学院で勉強して初めて知ったアートの潮流の一つを紹介したいと思う。 チリの独裁制時代には様々な形で「政治」と「アート」を交差させていたアー

          チリのアートx政治ーー「エセナ・デ・アヴァンサーダ」

          苦しみがグローバル化されるなら、私たちは抵抗をグローバル化する:エクアドルのストライキから一年

          2019年10月、政府が提示したIMF(国際通貨基金)との条件である緊縮財政策が発表されたことをきっかけに、エクアドル市民は怒りの声を上げ、立ち上がった。これは全国に広がり、先住民が抗議をリードした。国中から様々な先住民族がキトに集結し、抗議に参加した。それは、国の問題は2019年の政策よりも根深く、植民地、新自由主義、貧困、差別が根底にあったことを見せつけた。 これは昨年10月12日に二人のアクティビストが書いた文章の邦訳である。(原文はこちら:Si globalizan

          苦しみがグローバル化されるなら、私たちは抵抗をグローバル化する:エクアドルのストライキから一年

          技術と美学を盛り合わせたペルーの古代テキスタイル

          ティシオ・エスコバルの文献を紹介した記事の冒頭に、先住民のアートに詳しいクラスメート、サラの話をした。私たちはコロナで外出できなくなっていたころ、他のクラスメートも誘ってZoom女子会をしていた。話題は修論の話になり、そこでサラにテキスタイルについて教えてもらうと盛り上がった。翌週、Zoom越しにサラはプレ・コロン時代のテキスタイル文化について教えてくれた。その話が本当に面白かったので、紹介していきたいと思う。 今回の記事の内容はサラのパワポと知識をお借りしています。 サ

          技術と美学を盛り合わせたペルーの古代テキスタイル

          ティシオ・エスコバル:アートの普遍性を問う「アルテ・インディヘナ」

          私が在籍するエクアドルの大学院のクラスメートに、アメリカからの留学生が一人いる。彼女は学部時代、アメリカ合衆国の大学で美術史を勉強し、アメリカ大陸の先住民のアートに興味を持っている。学部時代のある授業で、彼女が先住民のアートの話をすると、「それは工芸だ」とクラスメートたちに批判された。彼女はそれでもアートの文脈で考えようと議論しようとしたが、それに対して2人の女子クラスメートが「工芸をアートとして語るのはアートへ冒涜だ」と主張した。 今でもインディヘナ(先住民)は自分たち作

          ティシオ・エスコバル:アートの普遍性を問う「アルテ・インディヘナ」

          アルゼンチンのアートx政治ーー「エル・シルエタソ」

          ラテンアメリカには独裁制という過去がまだ記憶に新しい国がたくさんある。その一つがアルゼンチン。独裁制時代、たくさんの人が行方不明になった。それは、国家によって誘拐され、家族はそのまま行先も生存もわからないまま。 その現実を前にして、行方不明者の親たちが路上での抗議活動を始めた。それは「エル・シルエタソ」(El Siluetazo)という芸術行為に繋がり、広く知られるようになった。これについて長年研究を重ね、本も出版しているのがアナ・ロンゴーニ氏(Ana Longoni)。彼

          アルゼンチンのアートx政治ーー「エル・シルエタソ」

          世界も警察も注目するチリのフェミニスト・コレクティブ Lastesis[インタビュー]

          修論のテーマであるフェミニスト・アート・アクティビズムのために8月中旬、チリのLastesisとインタビューを行った。 ラステシスとは?Lastesis(ラステシス)はチリのバルパライソ出身の4人組で結成されたフェミニスト・コレクティブである。メンバーはダフネ、シビラ、パウラ、レア。ビジュアルアート、演劇、デザイン、音楽などそれぞれの専門分野を活かしながらアートを通して表現活動を行っている。2019年に路上で発表し、SNSで拡散されたパフォーマンス「Un violador

          世界も警察も注目するチリのフェミニスト・コレクティブ Lastesis[インタビュー]

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          チリのフェミニスト・コレクティブLastesis(予告編)

          先日、チリのフェミニスト・コレクティブ LASTESIS(ラステシス)とインタビューを行いました。 インタビュー全容:https://note.com/kiwama/n/n105ebc82f388 動画内のちょっと文字が小さかった部分はこちらです: アクティビズムについて フェミニズム理論について SNSの活用について 政治について みどりのバンダナの意味は? 警察からの訴訟について 【関連記事】 【アーティスト紹介】ディアナ・ガルデネイラ(エクアドル) https://note.com/kiwama/n/n9e34e4debb02?nt=like_1135453 【アーティスト紹介】アンドレア・ザンブラノ=ロハス(エクアドル) https://note.com/kiwama/n/n0df674d1fd8c 【動画】エクアドルのアーティストとインタビュー(予告編) https://note.com/kiwama/n/na61cb44c510a

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          【アーティスト紹介】アンドレア・サンブラノ=ロハス(エクアドル)

          修論のテーマであるフェミニスト・アート・アクティビズムのために、エクアドルのアーティストとインタビューを行った。 アーティストと活動内容アンドレア・サンブラノ=ロハス(Andrea Zambrano Rojas)との出会いは2016年夏、私が初めてエクアドルを訪れた時だった。その後エクアドルに移住してからも仲良くしていて、お世話にもなっている大事な友達であると同時に、とても尊敬するアーティストである。エクアドルのキト出身の彼女はメキシコのグアダラハラ大学で美術を学び、FLA

          【アーティスト紹介】アンドレア・サンブラノ=ロハス(エクアドル)

          【アーティスト紹介】ディアナ・ガルデネイラ(エクアドル)

          修論のテーマであるフェミニスト・アート・アクティビズムのために、エクアドルのアーティストとインタビューを行った。 アーティストの紹介ディアナ・ガルデネイラ(Diana Gardeneira)との出会いは、私が大学院を始める前まで勤めていた現代アートギャラリーで行われたトークシリーズに彼女がゲスト・アーティストとして呼ばれた時だった。それからたまたま同じグループ展に参加していたり、交流が続いた。 エクアドルの港町グアイアキル出身の彼女は生まれ故郷と中米コスタ・リカを行き来し

          【アーティスト紹介】ディアナ・ガルデネイラ(エクアドル)

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          エクアドルのアーティストとインタビュー(予告編)

          エクアドルで活動するアーティスト、ディアナとアンドレアとのインタビューの一部です。アートとアクティビズムについてお話を伺いました。 日本語字幕付き。 【関連記事】 【アーティスト紹介】ディアナ・ガルデネイラ(エクアドル)はこちら→ https://note.com/kiwama/n/n9e34e4debb02?nt=like_1135453 【アーティスト紹介】アンドレア・サンブラノ=ロハス(エクアドル)はこちら→ https://note.com/kiwama/n/n0df674d1fd8c 【動画】チリのフェミニスト・コレクティブLASTESISとインタビュー→https://note.com/kiwama/n/n04562e63d810 世界も警察も注目するチリのフェミニスト・コレクティブ Lastesis →https://note.com/kiwama/n/n105ebc82f388

          エクアドルのアーティストとインタビュー(予告編)

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          アメリカ合衆国の歴史を大人になってから教わった 【あとがき】

          ベントー先生の第一回目の授業を受けてから古い友人とメッセージでやりとりしていた。彼女に、私たちがこれまで受けてきたアメリカの「公式」な歴史教育はめちゃくちゃ偏っていたと話したら、彼女は「あーだろうね」と同意するものの、私ほどの怒りを表してはいないように感じた。活字でのやりとりだったからかもしれないと思いながら会話を続けた。 しかし話しているうちに、やはり私たちの間では視点が異なっていると感じる節がいくつかあった。視点というより、「感覚」だろうか。 特に私が気になったのは、

          アメリカ合衆国の歴史を大人になってから教わった 【あとがき】

          アメリカ合衆国の歴史を大人になってから教わった(3/3)20世紀から現在まで

          アメリカ合衆国の歴史を大人になってから教わった(1/3)今までの教育はなんだったんだ?を読む アメリカ合衆国の歴史を大人になってから教わった(2/3)17世紀から19世紀までを読む [見出し画像]Taking a stand in Baton Rouge(バトン・ルージュで立ち構える)と題したこちらの写真はカメラマンのJonathan Bachman(ジョナサン・バクマン)がロイター通信のために撮った一枚である。中心にいる女性はIeshia Evans(アイーシャ・エヴァン

          アメリカ合衆国の歴史を大人になってから教わった(3/3)20世紀から現在まで