私と私と私と違うもの
私が出社すると、すでに私が来ている。
「おはようございます」
「おはようございます」
私の部署の部屋の鍵を取り、扉の前に行くと私が待っている。
「おはようございます」
「おはようございます」
私と一緒に私は部屋に入り、パソコンの電源を入れる。そうするうちに、私が出社してくる。
職場には選ばれて入ってくる以上人と人とにどこかしら共通したところがあるのはもちろんだが、むしろ違いが年齢や性別や性格などのヴァリアント程度に過ぎないと気づいてから、全ての人が私に見えるようになった。会