流れに乗って

小さい時に、土日には自転車に乗って父と大きな公園まで行った。そこには大きな岩が組んであって、その口から水が流れ出て水路を作っていた。当時は水路の中に入ることもできたし、岩陰に潜むアメリカザリガニを釣ることもできた。(大体は釣れなかった)。でも、一番楽しかったのは笹舟を流すことだ。

何かが流れの上を漂いつつ流れていくのを見るのが好きなのはこの頃に養われたに違いない。新しく住んでいるこの町には家の脇の側溝が用水路に集まり、さらにそれが集まって川に流れ込むようになっていて、土日にはそれを伝って歩くのが楽しい。夏には用水路に蛍がいる。川には山椒魚も住んでいる。

しかし、これを言っては良くないとは思うけれど、大雨が降った時の様子を見るのがやはり一番心が躍らされる。家の近くにも側溝の集まる流れがあって、それが溢れはしないかとヒヤヒヤさせられてるというのもある。大雨の時に見に行ってはいけないというのはわかっているので見には行かない。

だから、降り終わってから見に行く。(それもいけないのはわかってるけど、気になるんだもの)。一度は山から溢れた水が神社の境内を伝って用水に流れ込んでいるのを見たこともある。川沿いの道まで水が来ていることもあった。特に気になるのは用水路の合流地点に飼われている鯉のことで、いつも流されている。

あの鯉たちはどこにいったんだろう? まあ、元々川に住んでいる魚だし、別に弱い魚でもないから大丈夫なんだろうけれど、というか、どんなふうに流れていくんだろう? 鯉が川を下っていくところを想像している。滝を登れば竜になるというけれど、この用水を遡って行ったら何になるのだろう?

chute/樋・用水

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