家電ラヴ

「あなたとはもう暮らしていけないわ。私、濡れてはいけないんですもの。」
ガスコンロの一言に洗濯機は慄いた。
「そんなこと今まで言ってなかったじゃない。」
「と言うかなんで気づかないの!」
炎が一斉に3つ上がった。
「ごめん、そんなつもりじゃなかったんだ。」
「やさしく洗うを点滅させないで!」

「できるだけ水は流さないようにするよ、約束する。」
「本当は流したいくせに。知ってるんだからね、この間こっそり珪藻土のバスマットに排水口から…」
「ち、違うよ、それは誤解だよ。初めてだから試してみたいって…」
「なんでそれに付き合うのよ! シャワーに任せて置けばいいじゃない。」

「お互い家電なんだから仲良くしていこうよ、ね?」
「私は私の炎を受け入れてくれる人のところに行くわ。」
ガスコンロは出ていった。風の噂では換気扇と一緒になったと言う。。
「なんだよ、くるくる回るところは一緒じゃないか…。」
そう言って洗濯機は大粒の涙を流しながら洗濯物を洗うのだった。

soggy/びしょびしょの

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