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2023年のKitSをふりかえって

スマートエデュケーション大澤です。
今年も、北海道から沖縄まで本当にたくさんの園の先生方とお会いすることができ、たくさんの元気をいただきました。本当にありがとうございました。
コロナ禍ではオンラインの「おしゃべりきっつ」でお会いすることが多かったのですが、ようやく公開保育・カンファレンス・研修などリアルの場で先生方の声を聞くことも増え、うれしい1年でした。

2023年はKitSも大きく進化しました。
その背景には「子ども主体の保育」を大切にしたいという先生方の強い思いがありました。
これまでは月に数回もしくは週に1回、園の活動の中に「KitSの時間」を設けて、子どもたちはその時間の中でiPadを活用するという、カリキュラム的な使われ方をすることが多くありました(私たちもカリキュラム的な活動を想定したマニュアルの作成や研修などを行っていました)。
もちろんクラスの一斉活動も大切です。クラスで活動するからこそ、多様な視点に触れることができたり、クラスみんなで一つのことに取り組む面白さや達成感を味わうことができます。

ところが、先生方の中から
・「KitSの時間」に限定してiPadを使っているのでは、ICTが特別な道具になってしまう。もっと身近に触れて、いろいろな使い方を体験してほしいが、どうしたらいいんだろう?
・クラス活動でやった遊びをもっと深めたい子どももいるはず。自由遊びの時間にも上手に使わせたいが、どうしたらいいんだろう?
・そもそもうちの園では一斉活動をしない。子どもの興味関心に合わせてKitSの教材を使い、遊びや学びがもっと豊かになるような環境を、どのように作って行ったらいいんだろう?
という疑問が多く寄せられるようになりました。

子どもの日々の生活や遊びのなかに、他の素材や道具と同じようにICTがある。そんな環境を作るために、私たちに何ができるのか。
またどんな教材があれば、子どもの興味関心から始まる遊びを豊かにできるのか。

そんなところから、玉川大学 大豆生田先生にもご参画いただき「『こどもの道具』としてのICT」プロジェクトが始まりました。

● 「こどもの道具」としてのICTセミナー

2月に第1回「『こどもの道具』としてのICT」セミナーを開催した後、第2回を5月、第3回を8月、第4回を11月に開催しました。

いずれの回も、先生方が悩みながら「ICT」という新しい道具に向き合い、子どもたちの体験を豊かにするために試行錯誤をされてきた、その生の声をお伺いすることができました。

冒頭に書いた先生方の疑問に対しても大きなヒントとなる保育事例・環境設定事例をご紹介できたのではないかと思います。

セミナーの中では大豆生田先生から「乳幼児期に最も重要なのは五感を通した体験や、身体性を伴う直接体験。ICTはそういった体験と対立するものではなく、むしろ豊かにできるものである。そのためにどういう使い方をすべきか、しっかりと考えなくてはいけない」という一貫したメッセージがありました。
このメッセージは、私たちが先生方にいろいろな提案をする中で、とっての大きな基盤となっています。

2024年2月には、第5回セミナーも開催いたします。追ってお知らせしますので、ぜひご参加ください。登壇園さんのその後……もぜひレポートしたいなと思っています。

● KitS 新教材 「おとえ」「チョキペタ」

さまざまな園さんでの実践事例を通して、私たちが最も重要だと意識し始めたことが「アナログとデジタルの往還」です。
デジタルの世界に没頭することが「悪いこと」だとは考えていません(もちろん程度はありますが)。そこで気持ちが満たされたり、そこから新しい表現が生まれたりすることもあると思います。
ただ乳幼児期に最も重要な体験は何かと考えると、できるだけ五感を通した体験、身体性を伴う体験の中でICTが使われてほしい、というのが私たちの思いでもあります。
そんな中で、新しい教材が2つ生まれました。

おとえ」は、写真と音を組み合わせられるツールです。絵や立体作品、写真に音(聴覚)を融合することで、子どもたちの世界は広がります。作品はQRコードとして出力できるので、そこでもアナログの遊びと接続することができます。

KitSで最も新しい「チョキペタ」は、写真を撮ってコラージュができるツールです。最大の特徴は、連続模様を作ることができること。オリジナルデザインの折り紙を作ることができます。ぜひ印刷して、手を使った遊びにつなげていただきたいと思っています。

2024年も「アナログとデジタルを往還する」新しい教材を提供する予定です!もう少しでリリースできそうなもの、企画の芽が出始めているもの、いろいろあります。
「こんなツールがほしい!」「こんな機能をつけてほしい」という先生方のお声も大歓迎です。

● 導入園向けオンラインイベント「おしゃべりきっつ」

毎月実施している「おしゃべりきっつ」には、この1年間でのべ125園の先生方にご参加いただきました。
北海道から沖縄まで全国各地からご参加いただき、気温の違いやご当地おやつなどちょっとした雑談も盛りあがりました。

主なおしゃべりテーマは、
・最近KitSでどんなことやった?
・KitSのお悩み
・大澤から保育事例や新教材のご紹介
など。

今年度特徴的だなと思ったのは
・「自由遊びの時間にiPadをどうやって使っていけるかを知りたい」という園さんがとても増えた。
・行事の中での活用が増えた。
ということです。

子どもたちの日々の生活や遊びのなかで、より身近な道具としてICTを考えたいという園さんが増えています。
他園さんの実践やアイデアを聞いて、「やってみよう!」と思われる先生もたくさんいらっしゃったようです。先生方の新しいチャレンジは、私にとっても大きな励みとなっています。
そこでお聞きした保育事例は、事例集として皆さんに共有しています。
2024年も「おしゃべりきっつ」を盛り上げていきたいと思います!

● Webマニュアル

2023年度は、マニュアルが紙からWebになりました。
いろいろな実践事例が出てきているので、その事例をできるだけスピーディーに先生方にお届けしたいという思いからです。

きっつ事例集サイト
※ 導入園さま限定の「マニュアルサイト」は別にご用意しています。

私たちが想像していなかったような使い方が、子どもたちや先生方から生まれ、社内で「すごいー!!」と盛り上がることも多々あります。
より多くの園さんに、楽しくKitSをご活用いただくために、来年度もたくさんの事例を集めたいと思います。
「面白いことやったよ〜」という園さんからの情報も、常にお待ちしています!

● さいごに

そのほか、今年は公開保育(宮崎県 中央ヴィラこども園 ・ 北海道 別海くるみ幼稚園)でも、素晴らしい保育を見せていただきました。
公開保育やセミナーからご縁が広がって、いろいろな園さんに訪問させていただくことも増えています。

園での子どもたちの遊びにICTを取り入れるにあたっては「いかにICTの知識があるか、ICTが得意であるか」よりも「いかにアナログの保育環境が豊かであるか」「子どもの興味関心に寄り添っているか」が大切だということを、この1年、いろいろな園さんの環境や先生の実践を拝見して学ぶことができました。

保育環境が豊かであるということは、保育室が立派であったり、いろいろな素材や玩具・遊具がふんだんに取り揃えられていたりということではありません。もちろん豊富であるに越したことはないのですが、KitSを上手に活用されている先生方は「目の前の子どもの姿を見ることを大切にして」「工夫する気持ち」をお持ちだなということを感じました。

ICTという新しい道具を前に、戸惑われる先生方の姿もたくさん見てきました。私自身は、先生方が皆さん最初から「ICT大好き!」「得意!」ではなくてもいいと思っています。
「子どもの世界が大好き!」「子どもの探求心や想像力、子どもの表現を大切にしたい!」という思いがあれば、上手に活用していけると確信しています。

不安や戸惑い、お悩みも含めて、2024年も皆さんの挑戦に伴走させて頂けましたら幸いです。

改めまして、今年もお世話になりました。来年も、どうぞよろしくお願いいたします。

スマートエデュケーション 大澤






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