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再び巴黎

12月30日 日曜日

夜中に目が覚めたのかというほど部屋が暗かった。アラームを止めて時間を見たら、予定通り5時だった。

にしても暗(くら)……。

初日、道に迷った失敗体験が蘇る。昨日、タクシーを予約しようと会社を調べて英語で電話して、時間とホテルの名前を伝え、後は台数と名前だけというところで電話が切れた。だからその後、最寄りのトラム乗り場で始発の時間を調べた。だが、乗り場に時刻表が無かった。トラムを運営する会社のサイトにあるのだが、路線の名前がわからずお手上げ。朝方と思えないぐらい暗い道を徒歩30分決定。Wow.

カードキーを部屋に置いてホテルを出た。街路樹のイルミネーション、まだ点いてない。石畳の道、軋むスーツケースのキャスター、ぱつばつの土産の袋、重みで千切れかけたバックのショルダー、埃っぽいコート、昨日食べきれなかったレモンタルトとオレンジジュースと洋梨の入ったペーパーバック、あと今気づいたけど靴底がなんかペタペタする多分ガムでもくっついてるな。なんか全体的にぼろぼろ。

目の前をトラムが横切った。もう走ってる、やった。駅へ行く路線の乗り場に行くと、一本発車したところだった。10分おきに来るので余裕だ。助かった。

無事にホームにもたどり着き、車両も間違えず座れた。とても空いていた。6時40分発はやはり早いからかな。斜め後ろの席の男女二人連れは、人というの字のように寄りかかり合い、眠っている。通路を挟んで隣は女性一人。パソコンを打っている。

そういやチョコレートとキャラメルも残ってたわ。

斜め前の席にはスーツ姿の男性。ボックス席っぽいところに一人で座っているので向かいの空席に足をのせて携帯を見ている。うーん……。車両の照明やインテリアの雰囲気のせいで幻惑されていたのか、よく見たらスーツの仕立てがぺらぺらしてるかもしれん。特急列車の自由席で寝てるのと変わらない。

1時間10分遅れて発車。奇しくも当初取っていたチケットの時間と同じ時間に発車した。発車が遅れるというアナウンスは10分、50分、10分とかかった。その度に乗客たちは苦笑していた。舌打ちも、しかめ面もなく、おう参ったね、というジェスチャーをしながら苦笑していた。斜め後ろの二人は眠っていた。

モンパルナス駅コインロッカーに荷物を預け、ブランチ代わりにレモンタルトと水。痛いくらい酸っぱいレモンカードとクリームのような甘いメレンゲ。駅構内のベンチが混んでいたので早食い。

路線バスで凱旋門に向かう。画像や映像で見るより彫刻の陰影がくっきり。門の真下から見上げた時に見える花の彫刻もいい。ここに来るまで彫刻があったかどうかすら曖昧だったのに。

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この火に女の子が手をかざして「ケラ・ショ」と呟いていた。「これ暖かぁい」くらいの感じだろう。「ケラ・ショ」と「これ暖かぁい」がほぼ同時に聞こえた気がしてドキッとした。

混んでいたので上に昇るのはやめて、シャンゼリゼ通りを徒歩で進んだ。

赤を基調とした街路樹のイルミネーション。小説や映画の中で象徴化しているブランド名の看板。賑わうカフェ。小さな土産物屋。

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publicis……

公共、公衆的な意味だろうか? ということはここは公立の映画館? なんて進んでるんだ!

と思いきや、今調べたところパリに拠点を置く広告代理店グループの名前だそうで。私は馬鹿だ阿呆だ。

※次、ルーブル美術館&コンコルド広場編に続く

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