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静 霧一/小説
2020年9月29日 18:40
ごくりと呑んだその一口は、とても芳醇なホップの香りと独特な苦みが口の中で混じり合い、スッと体の中へと馴染んでいく。「突然呼び出してごめんね」朋美はグラスをテーブルの上に置いた。「どうしたの?そんな神妙な顔して」 私は頭を傾げた。「空季(たかき)には先に伝えなきゃなって思っててさ」 そして、数秒の沈黙が続いた。「私、結婚することになったの」「……え?」 私はあまりにも驚