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少女の聖域vol.2〜跳躍と疾走

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オンライン開催 霧とリボン企画 高柳カヨ子プロデュース《少女の聖域vol.2〜跳躍と疾走》|2021.7.22〜30 *7/25(水)〜7/27(金)休|少女がお淑やかなんて誰が… もっと読む
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#アート

少女の聖域vol.2|展覧会のご案内

* オンライン開催 at MAUVE CABINET * 霧とリボン実店舗は休業中のため 実店舗にご入場頂くことはできません *  昨夏開催した第1回目の《少女の聖域》展では、プロデューサー高柳カヨ子先生が多彩なアーティストの作品群を鋭い筆致で批評する、オンラインならではのスタイルでお届けし、大好評を頂きました。  夏を駆け抜けた展覧会の記録は以下のリンク先でご高覧頂けます。  そしてふたたび、少女をめぐる夏がやってきました。  第2回目となる本展のテーマは《跳躍と疾

少女の聖域vol.2|開催方法と作品販売

不自由な日常から少しだけ離れて、 作家達が描く少女と共に より高くより速く羽ばたいてみませんか—— * オンライン開催 at MAUVE CABINET ★実店舗は休業中のため、ご入場頂くことはできません★ 霧とリボン 実店舗「Private Cabinet」に作品を展示、会場の様子や各作品の紹介を主に写真・スライドショーと文章で、会期中、毎日ここnoteにてオンライン配信致します(7/25〜27休)。当サイト更新も含めた最新情報は霧とリボン ツイッターをご覧下さい

少女の聖域vol.2|トレヴァー・ブラウン|誰も追いつけない

TextKayoko Takayanagi  少女は駆ける。幻想の中を。  少女は跳ぶ。軽く軽く、まるで重力などないかのように。  少女は走る。誰も捕まえられない速度で、どこまでもどこまでも。  トレヴァー・ブラウンの描く少女は強い。  向こうが透けて見えるくらい薄く繊細で儚くか弱い少女など、そこにはいない。  どんなことをしても/されても、少女たちは平然とした顔をしている。それは何者にも侵食されないという毅然とした決意を秘めているからかもしれないし、または少女の王国

少女の聖域vol.2|白玉ゆり|バタフライ・エフェクト

TextKayoko Takayanagi  まるで重力などないかのように蝶は飛ぶ。  舞い上がり舞い降りて、吹き寄せられるように光の方へ。  少女はまるで光に溶けていくようだ。風になびく髪とともに、伸ばした手はそのままふわりと空に浮かんでしまいそう。  枷(かせ)や箍(たが)から解き放たれて自由に飛んでいきたい。自分を縛る全てのものから離れられたら、どんなに軽くなれるだろう。幾千万もの蝶の群になれば、光を集めて舞い上がることができる。  その先には希望しかない。

少女の聖域vol.2|DAY 1

TextKIRI to RIBBON  今年も少女たちの夏がやってきました。  昨年大好評を頂いた、高柳カヨ子プロデュース展がモーヴ色の霧の中を駆け抜ける少女を先頭に、菫色の小部屋に帰ってきました。  DAY 1の本日、聖域の扉をくぐり、少女たちに会いにきて下さった皆様に心より御礼申し上げます。 * *  オンライン開催ならではの趣向として、アーティストの皆様のお声をお届けする恒例の《Artist’s Tiny Letter》——本展の3つの質問は、展覧会テーマ「

少女の聖域vol.2|永見由子|たとえ苺がなくても

TextKayoko Takayanagi  少女で在るということは、いばらの道に等しい。  常識の中に押さえこもうとするあらゆる外圧と戦いながら、世界の果てを目指すことだからだ。  傷つき、戸惑い、迷い、それでも少女は進むことをやめない。  その翼に力を蓄えながら、いつでも高く速く飛び立てるように、その機会をうかがっている。  少女を侮ってはいけない。その可能性と瞬発力を見誤ってはいけない。  “Good girls go to heaven, bad girls

少女の聖域vol.2|福寿りり|一緒なら大丈夫

TextKayoko Takayanagi  少女が少女で在るための戦いには、心強い眷属が欠かせない。  花の妖精や猫に兎、そしてバンビ。  バッグに擬態した彼女彼らを連れて、さあ、出かけようではないか。  福寿りりが創り出す作品は、いずれもまるでぬいぐるみがそのままバッグになったかのようだ。  既存のバッグの概念を覆すような生き生きとしたその造形は、福寿りりならでは。一目見ればその存在感故に強烈な印象を残す。バッグを持っているというより、お供を連れているという感覚に

少女の聖域vol.2|DAY 2

TextKIRI to RIBBON  夏の緑が眩しく揺れる奥、モーヴ色の倦怠の中で今日も少女たちはそれぞれの時間を生きています。  DAY 2——いかがでしたでしょうか。お楽しみ下さいました皆様に感謝申し上げます。  プロデューサー高柳カヨ子先生のテクストでアーティスト作品を紐解く本展。ここオンライン・ギャラリー「MAUVE CABINET」に高柳先生がご在廊するイメージで、まとめ記事では毎日異なるコーディネート写真をお披露目しています。背景の緑も美しい一枚と共に、

少女の聖域vol.2|ruff|菫色の秘匿

TextKayoko Takayanagi  少女の聖域は秘密の場所にある。  そこは少女しか入ることができない。  少女しか、少女をその心に抱く全ての人しか。  ruffの作品は非常にモダンでスタイリッシュであるにもかかわらず、同時にどこか古典的な美しさを備えている。  祈りを捧げているような少女の肖像は、敬虔なイコンのようだ。閉じられた両の目は、密かにその内に抱く聖域に向けられている。端正なその面にかかるほつれ毛が、秘密の存在をそっと教えてくれる。胸元に揺れる鍵穴

少女の聖域vol.2|Karte|傷痕の記憶

TextKayoko Takayanagi  怒り、悲しみ、憤り、不安。  閉じ込めておきたい思いや辛い記憶は誰にだってある。大人になることでそれらを手放してしまったら、傷付いた少女は何処に行けばいいのだろう。  他人と同じようにできない。他人に合わせることができない。どうしてできないのと言われても、わからない。これが自分だから。  歩調を合わせることができないから、一人で居残りをさせられる。誰もいなくなった教室で。誰もいない広い部屋で、たった一人で少女は過ごす。  

少女の聖域vol.2|DAY 3

TextKIRI to RIBBON  訪れたいと思った時に、いつでも辿り着ける場所。内なる少女を自由に羽ばたかせることのできる場所——今日も菫色の聖域の扉が開かれています。  展DAY 3をお楽しみ下さいました皆様に感謝申し上げます。 * * * * * *  臈長けた精神性がヴェールのように白磁の肌を覆うruff様の少女。少女でい続けることを強い意志で選択するKarte様の少女。モーヴ色の空間で、それぞれの少女たちが自身の時間を生きています。  前半三

少女の聖域vol.2|Miss Moppet Dolls|どんな魔法よりも

TextKayoko Takayanagi  ボーイッシュという形容は少女には似合わない。  少女ははじめから性別も年齢も超えているものなのだ。  少女を心に抱く人は誰でも少女を名乗る権利がある。   Miss Moppet Dollsが生み出す、ビスクで作られた球体関節人形。  アブサン色の瞳を持つそのドールは、相棒のウサギと共に戦う魔法少女だ。ショートカットの髪をなびかせ、誰よりも速く走り、誰よりも高く跳ぶ。  魔法のステッキはなくてもかまわない。強い味方のぬいぐ

少女の聖域vol.2|monomerone|祈りのかたち

TextKayoko Takayanagi  ブランドのアイコニックな存在である、Tiny Sacred Heart。  架空のアンティークを標榜するmonomeroneの作品の中でも、少女性が際立つ作品だ。不在の少女の持ち物に相応しいこの手の込んだ美しい聖心は、ひとつひとつ異なる意匠で創られている。  中でも霧とリボン限定のスミレや菫色を用いた作品は、殊の外柔和で可憐な面持ちを持つ。新しく金色の手のモチーフが描かれたものは、さらに祈りの要素が加わり、まるで優しく抱か

少女の聖域vol.2|DAY 4

TextKIRI to RIBBON  緑まぶしい夏の一日、しばしのお休みからふたたび聖域の扉がひらきました。本日より展の会期後半がスタート。それぞれの少女たちがメッセージを豊かに放つDAY 4の小部屋を訪れて下さいました皆様に感謝申し上げます。  オンライン在廊中のプロデューサー高柳カヨ子先生の力強いメッセージと毎日変わる素敵なコーディネートと共に、作品鑑賞をどうぞお楽しみ下さい。 * * * * *  メランコリックなアブサン色の瞳の奥にしなやかな意志を