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少女の聖域vol.2|Miss Moppet Dolls|どんな魔法よりも

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Text|Kayoko Takayanagi

 ボーイッシュという形容は少女には似合わない。
 少女ははじめから性別も年齢も超えているものなのだ。
 少女を心に抱く人は誰でも少女を名乗る権利がある。 

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 Miss Moppet Dollsが生み出す、ビスクで作られた球体関節人形。
 アブサン色の瞳を持つそのドールは、相棒のウサギと共に戦う魔法少女だ。ショートカットの髪をなびかせ、誰よりも速く走り、誰よりも高く跳ぶ。
 魔法のステッキはなくてもかまわない。強い味方のぬいぐるみのウサギがいてくれる。いくつになっても、ずっと一緒に過ごしてきた宝物と一緒。理不尽な押し付けに抗うために、可愛いアイテムは外せない。

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 35センチという小ぶりのドールは、ビスクならではの内側から発光するような温かみのある肌色をしている。細部まで作り込まれた造形は驚くほど繊細で、指先爪先が仄かに色づいた様子は、その下に息づく血管の存在を感じさせるほどだ。

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 まつげの1本1本まで丁寧に描き込まれた物憂げな目。インタリオアイと呼ばれる沈み彫りで表現された鮮やかな瞳は、グラスアイよりも表情豊かに感じられる。 
 押し付けられた理想から自由になっていい。らしくなくていい。
 魔法少女とウサギは、少女の夢に寄り添って一緒に走ってくれる。

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 少女は可能性の塊だ。何にでもなれる。何処にでも行ける。
 ビスクのフェイスブローチの少女たちは、いまにも飛び跳ねたくて仕方ないようだ。ふわふわの髪に縁取られた顔は、好奇心でいっぱい。リボンや花を飾り精一杯おめかしをしたら、金色の馬やバンビの後を追いかける。
 まだ見ぬ広い世界に走り出す前の希望に満ちた瞳の輝きを忘れないように、あどけない少女と共にまず一歩踏み出してみよう。

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 ビスクという素材が硬さと脆さの両面を持ち合わせているように、少女も常に強さと弱さの間で揺れ動く存在なのである。
 少女をその内に抱く全ての人の支えとして、Miss Moppet Dollsが創り出す少女の薔薇色の頬を贈る。

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Miss Moppet Dolls|人形作家 →Twitter
2000年ころから人形制作を始める。2013年よりビスクドール(主にアンティークドールのリプロダクション)を学ぶ。不定期にクラフト、ドール関係のグループ展に参加。2018年・2019年Silent Music「祈りの光」展参加。2017年より恋月姫人形教室「銀の翼」所属。

★2020年オンライン開催《少女の聖域》展アーカイヴ

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00_通販対象作品

作家名|Miss Moppet Dolls
作品名|Twinkle Rabbit

ビスク・布・皮革等
作品サイズ|身長約35cm×肩幅約10cm
制作年|2021年(新作)

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00_通販対象作品

作家名|Miss Moppet Dolls
作品名|フェイスブローチ(2種)

ビスク・布・羊毛・皮革等
《bambina(バンビ)》
作品サイズ|10cm×10cm
《gallop(花)》
作品サイズ|10cm×8.5cm
制作年|2021年(新作)

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