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結婚式ゾンビ

「新郎正彦、あなたは美弥を妻とし、健やかなる時も、病める時も、愛をもって支え合うことを誓いますか?」

「誓います」

「新婦美弥、あなたは正彦を夫とし、健やかなる時も、病める時も、愛をもって支え合うことを誓いますか?」

「はい、誓います」

アアァァァ…ポタッ…ズルリ……バタッ……クチャ…

「えー…今、私たちはこの場で夫婦になる誓いを立てました。美弥さんは優しい笑顔で私のことを救ってくれました。何が起こっても絶対に美弥さんを守り抜きます」
「私は、いつも何かと気にかけてくれる彼が大好きで、そのひたむきさに惹かれました。この先、何が起きようとも…二人で力を合わせて乗り越えていきたいです」

「「このことを深く心に刻み、明るく楽しい家庭を築くことを改めて誓います。私たちはとても幸せです。本日はありがとうございました」」

式場の観客からの拍手はない。
その代わり、血でできたバージンロードを歩き出した暁には―二人の"家族"がいっぱい増える。

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この小説はたらはかにさん主催企画「#毎週ショートショートnote」参加作品です。

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