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【不登校の理由】“学習の遅れからくる不安”と答えた中学生が約50%いる件

普段は学習指導専門員をしていますが、時々非常勤で通信制高校の教員をしているので、先日、その肩書でネット配信を利用した教職員限定の「不登校セミナー」に参加しました。

内容は素晴らしいものでしたが、途中でグループに分かれてのディスカッションタイムがありました。

私のグループは4人。所属は公立中学校の先生が2人、公立小学校が1人、私立高校が1人(私)でした。

ディスカッションの内容は、自分たちの学校における不登校の現状を共有し、原因や支援方法をみんなで考えるといったものだったのですが、その方たちがみな、

「不登校は家庭の問題である」

「親子の愛着問題から不登校になっているケースがほとんど」(愛着については後日記事にします)

親に問題があるので、学校としては対策がなく困っている」

とおっしゃっていて、大変驚きましたし、悲しくなりました。

というのも、私は元々、中学校まで不登校だった子が入学する通信制高校の教員だったので、不登校だった子がどんな思いをしていたかとか、理由は何だったかとか、親子関係ももちろん見てきました。

確かに家庭問題で不登校になった子もいたけど、全体的な割合でいったら圧倒的に少なかったです。むしろ理解のある親御さんの方が多かったです。

今日は数値的なものから、不登校の現状をお伝えできればと思います。

【不登校の現状】

文科省の調査によると、平成25年度以降、少子化で児童・生徒数は年々減少しているにも関わらず、不登校の人数は現在も右肩上がりです↓(H30版)

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今年最新版のデータでも、人数は増えています(R1版)↓

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(出典元:文科省『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果』)

以前、最も不登校数が高かったのはH13年度。翌H14年度よりその数は年々下がっていました。近年では、H24年が最も不登校数が少なかった年です。

このH14年度からH24年度は、実はピッタリ「ゆとり教育」の期間に重なります。

つまり、色々言われていた「ゆとり教育」ですが、不登校問題に関して言えば、成果があったことが立証されているのです。

ですが、現行の学習指導要領がスタートしたH25年度以降、残念ながら不登校は再び右肩上がりになっています。

原因が家庭問題であれば、学習指導要領が変わっても数値は変わらないはずです。

つまり、これらのデータは現行の学校システムに何かしら原因があるため、不登校が増加していることを示唆します。

【不登校の理由とは】

■文科省調査児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果』による理由

文科省の調査では、担任の報告から数値を出しており、公立小中での不登校の理由は以下のようになっています。

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【不登校の理由】(担任による数値)
■学校に係る状況
・いじめ:0.3%
友人関係をめぐる問題:15.1%
・教職員との関係をめぐる問題:1.6%
学業の不振:7.2%
・進路に係る不安:0.9%
・部活への不適応:0.7%
・校則をめぐる問題:1.1%
・入学、転編入額進級時の不適応:3.2%
■家庭に係る状況
・家庭の生活環境の急激な変化:3.1%
・親子の関わり方:10.3%
・家庭内の不和:1.8%
■本人に係る状況
・生活リズムの乱れ・非行:9.1%
無気力、不安:40.2%
■上記に該当なし:5.2%

圧倒的に多いのは「無気力・不安」で40.2%、「学業の不振」は7.2%となっています。

日本財団調査不登校傾向にある子どもの実態調査』による理由

ところが、日本財団による「不登校傾向にある子どもの実態調査」では、実際の不登校(年間30日以上欠席)の中学生本人に理由を尋ねたところ、49.9%とほぼ半数の子が「授業がよくわからない・ついていけない」と答えました。

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(参考:日本財団「不登校傾向にある子どもの実態調査」)

・朝、起きれない:59.5%
・疲れる:58.2%
・学校に行こうとすると、体調が悪くなる:52.9%
・授業がよくわからない、ついていけない:49.9%
・学校は居心地が悪い:46.1%
・友だちとうまくいかない:46.1%
・自分でもよくわからない:44%
・学校に行く意味がわからない:42.9%
・先生とうまくいかない、頼れない:38%
・小学校の時と比べて、良い成績が取れない:33.9%

学校の授業がわからないのに学校に行く意味はあるのか、行っても嫌な思いをするだけだから行きたくないなど、学業面での不安から不登校になる傾向が、ある一定数存在することがわかりました。

前項でお伝えした、再び不登校が増えだしているH25年度から始まった現行学習指導要領はかなり学習内容が増えたため、勉強がついていけなくなっている子どもたちはさらに増えていることが容易に推測されます。

また、事実H25年度以降、不登校の数が増加しています。

文科省調査は単数解答、日本財団の調査は複数回答なため、直接数字の比較はできません。

ですが、不登校の理由って1つではないと思うんです。

キッカケは1つだったかもしれません。ですが、少しずつ学校に行かなくなるうちに、もしくは突然登校しなくなったあとから他の理由が出てきて、現状「不登校の理由は?」と尋ねられたら、回答は複数になるのではないでしょうか。

キッカケは友だちとのトラブル、学校に行かなくなるうちに戻るのも気まずいし、授業にもついていけないし、といったパターンも多いと思われます。

なので、日本財団の調査結果はよりリアルな状況を表しており、文科省調査の「無気力・不安」に該当する子どもの多くは、日本財団調べの「学業不振・不安」に該当するのではないかと推測します。

【不登校の子にできる支援とは】

もし、この記事をご覧いただいている方の中で、お子さまが不登校でその理由がよくわからない場合、もしかすると「学業不振」が理由の一つかもしれません。

実際、不登校だった子が、私が普段勤務している児童福祉施設にて学習支援を受けたあと、登校できていることもしばしばあります。

なので、理由がわからない場合は学習を支援する、ネット配信の家庭教師や個人塾など、その子に合ったレベルで学習できる環境を与えてみるのも一つの方法です。

今はYOUTUBEでも、勉強を教えるチャンネルが多数あります。ぜひ、一度確認してみていただきたいです。

また、学校の教科にとらわれない学習支援も有効です。

その子が興味のあること、例えばお菓子作りが好きな子であれば、それを磨き上げてレポートを作成したり、新しいレシピを考案するなど、学びの場はたくさんあります。

一見勉強には見えないお菓子作りも、そこから家庭科理科に結び付けることもできるので、興味の芽をつぶさない、何に興味があるのかを知るところが重要です。

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今回は不登校の実態と、学習支援の提案を記事にしました。

お子さまが不登校だと、自分の力不足だからではないかと悩まれる保護者の方も多くいらっしゃいますが、思い詰めないでください

みなさんは充分、りっぱに保護者をされています。お子さまがもしかすると今の学校システムと合わないのかもしれません。

今後、さらに不登校に関しての記事を作成予定なので、またお立ち寄りいただけたらと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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