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会社の研修で「居残り」させられて、帰って泣いた話

社会人2年目。
田舎のワンマン社長が経営する中小企業に勤めているが、この度の会社の研修で惨めな思いをしたので書き留める。


毎年年末になると、会社の1〜3年目が集められて年始に立てた目標が達成したかを報告する。文字にすると普通だが、この発表自体は3日間ある研修の最終日で、残りの2日間は違う。発表自体はパワポを使いながらで特に何がどうとは思わない。怠いが目標を立てることが悪ではないので、きちんと立てている。

問題は最初の2日間。
MG研修を知っている人はどのくらいいるんだろうか。会社経営のボードゲーム。5人くらいでルーレットのような台を囲み、資金繰り表に自分の動きによって生まれる入出金を書いていく。製品の材料を中心の市場で買い、自身の手元で製品にしてから再び市場に売り出す。その際にプライスカードと呼ばれる数字の書かれたカードを出して、同じテーブルのプレイヤーと競り合うのだ。

正直このゲームの何が面白いのか全くわからないが、「会社経営」という言葉から何か意味があるのかと考えて参加してきた。私は経営の才能が皆無で、毎度大赤字になるのだがそれはまだ飲み込める。

1回のゲームが終わると、ゲーム中に書いていた資金繰り表を集計して、マトリックス会計表とかいう表に1つずつ記入していく。これもまた苦手で、ちまちま数字を書くことも、プラスとマイナスが混じる足し算も、とにかく無理。学生時代から計算ミスが多かったが、ここにきて極めたかのように毎度計算ミスで誤差が生まれる。ミスがあると書き直しと計算し直しが必須なので、もれなくイライラしてもっとミス。

周りにいた3年目までの社員25人ほどは、着々と表を完成させて提出する。やり方はわかるが計算ミスが止まらない。周りができてるともっと焦る。このゲームを合計6回行い、6回表と格闘したわけだが毎度一番最後をうろうろしていた。


一番最後の表を書いていると帰る時間になり、「できた人から帰る」「縦列駐車なので車を動かしてからまた戻ってやってください」と全員に告げられた。必死に表と戦っていて気づかなかったが、みんな終わっていた。社長が最後に一言感想を言う。

「計算ミスをしている人は毎回同じようなことでつまづいている。見直すべき。このゲームは内容はどうでもよくって人間性を見ている」

人間性を見るならこんなに複雑なものじゃなくてよくないか。イライラして視野が狭くなる私みたいな人間はどうしたらいいのか。なぜこんなにもスピードや計算の正確さで無意味な優劣をつけられないといけないのか。「居残り」をする私にお辞儀をしながら後輩が、同期が帰っていく。給食が食べられなくて、掃除時間も後ろで食べてる子どものような、惨めで自分のプライドが傷つく感触がした。


このイライラを上司に伝えても「ゲームに勝てなくてイライラしている」と単純に捉えられてしまいそうで、それも腹がたつ。公の場で恥をかかせるためにやっているのだろうか。家に帰ってあの状況があまりにも悔しくて、泣いてしまった。できないことを際立たせて突かれるとはどんな気持ちなのか。私の人間性が試されているのか。こんなゲームと研修に涙が出ることが悔しさに拍車をかける。


できない自分がダメなのだと認めたくないのか。私1人で悶々と考える研修だった。

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