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『チーズはどこへ消えた?』 スペンサー・ジョンソン

半年間の長い転職活動がひと段落して、3週間の休暇をもぎ取ったのでその合間にビジネス書にも手を出した。今回ももれなく図書館で借りてきたが、朝の1時間で読み切ってしまうくらいには短い。


あらすじ

高校のクラス会に参加した面々に1人が『チーズはどこに消えた?』の本を紹介するところから話は始まる。「この本を読んで、変化への見方が変わった」と言う彼の言葉に、仕事や人間関係、人生で悩む面々は興味津々。「それってどんな物語?」から話は始まっていく。ちょっとディズニーっぽい。


物語

この物語には4人の登場人物がいる。4人は迷路の中に住み、チーズを探し当てて手に入れることで生活をしている。このチーズが現代を生きる読者にとっては仕事での成功だったり、豊かな生活、富、地位、人との出会いを指している。

  • スニッフ(ネズミ):非効率な単純行動でチーズの匂いに敏感に反応する

  • スカリー(ネズミ):非効率な単純行動でとにかく動いてチーズを探す

  • ヘム(小人):複雑な頭脳で慎重かつ安定を求める

  • ホー(小人):複雑な頭脳で慎重だがこのままでいいのか悩みながら進む

4人は長い道のりの末ステーションCに辿り着き、山積みのチーズに出会うことができた。ネズミの2人はチーズ探し中のランニングシューズを首に下げ、毎日朝早くステーションCに来てすぐ変化はないかを確認してからチーズにありつく。一方、小人の2人は毎日遅くに到着して、シューズを置いてリラックスしながら日々過ごしていた。そんなある日、ステーションCのチーズが一つ残らず消えた。

ネズミの2人は動揺せず、すぐに新しいチーズ探しへと暗い迷路へと乗り出していった。小人の2人はチーズがなくなったことへの動揺と、奪われたチーズへの怒りが込み上げて動けなかった。しばらく経って、ネズミの2人はステーションNを発見する。そこには、今までとは比べものにならないほどのチーズがあった。

小人の2人は依然動けなかったが、ホーは次第に新しいチーズを探した方がいいのではないかと考え始める。「見つからなかったら?」「迷路に迷ったら?」不安が押し寄せるが、チーズを探しに出る自分をイメージして一歩を踏み出した。

『もし恐怖がなかったら何をするだろう?』

ホーは自分に問いながら、成功のイメージをし続けた。「遅れをとっても、何もしないよりはいい」と笑いながら迷路を進んだ。ヘムを何度かチーズ探しに誘いに戻ったが、ヘムの気持ちを変えることはできなかった。またしばらく経って、ホーはネズミたちのいるステーションNを見つける。

以前のホーとは異なり、毎日ステーションNに来たら首にランニングシューズを引っ掛け、ステーションに変化はないか確認する。変化にいち早く気づき、行動できるようにするために。



それぞれにとってのチーズは違うだろうが、変化はどんな形であれ人生には訪れる。本書の中に

『新しいチーズを見つけることができ、それを楽しむことができれば人は進路を変える』

とホーが壁に刻んでいた。私は今回の転職で未経験異業種の未知の世界に飛び込むが、きっかけはまさに新しいチーズを見つけたからだ。もちろん楽しむこともできた。仕事は楽しいことばかりではないが、面白いと思わないと足は動かない。

押し付けられたやり方に固執した前職で、10以上離れた同僚に転職の話をした際に、「私は歳だからもうそんな動けないな。若いっていいね」と言われた。変化を怖がっても何も改善しない。何が起こるかわからないが、踏み出して行動する者にだけチーズは現れるのかもしれない。


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