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【Vol.11】状態目標を生々しくイメージすることの重要性

前回、本は複数冊同時に読むと良いよ。という話をしました。

その時は、複数冊同時読みのメリットについて、「本を嫌いにならない」ということと、下記のようなことを書きました。

1度読むと決めた本を最後まで読んでから次を読もうと思ってしまうと、その読み始めた本が読み終わるまでの時間が、次の本を読むまでのリードタイムになる。もしかすると、本当は、2冊目の本を読めば1冊目の本がわかりやすくなったかもしれないし、そっちはすぐに読み終わって私生活に活かせるかもしれないのに、制約条件になってしまう。だから、複数同時読みの方が良い。

もう1つ、本を複数冊同時に読んでいていいことがある。それは、全然関係ない本を読んでいたとしても、その内容の共通項に気づく瞬間があるということ。共通項に気づいた瞬間に、その内容が一段抽象化され、本質に繋がる。すると、いま読んでいるその本の内容への理解が深まるから、単体で本を読んでいる時よりも学びが多い。

さらに、"こないだ読んだあの本"とも内容が繋がったりして、ハイコンテクストで理解ができるので、様々なことに応用や転用が利きやすい。きちんと本をアウトプットしておくこと、内容を自分の中にきちんと落としておくこと。これが重要になってくる。

ただただ、書評を書いても面白くないので、本から学んだこと、そして、複数冊を通じて学んだことについて、アウトプットしてみたいと思います。

状態目標をどれだけ生々しくイメージができるか

先日、経営戦略の大家である伊丹先生が出された「経営戦略の論理」を読了。それと同時に、居酒屋てっぺんの社長である大嶋さんとひすいこうたろうさんが書かれた、「前祝いの法則」を読了しました。読んだ後の、自分のまとめ・感想はそれぞれ、以下の内容。

脳は未来志向だから、行動を起こす時に、そこには必ず得たい結果が存在する。そして、その得たい結果を先に祝ってしまうことが予祝という考え方。

自身が得たい結果をどれだけリアルに描くか。そして、その時の状況をありありとイメージすることが重要。そして、そこに到達するまでの間に、何がポイントなのか、どんな困難が起こったのか、それをどのように乗り越えたのか。それを予め想像しておくことで、途中で起こる困難を乗り越えられるし、さらには、困難が起こらないように事前に準備することもできる。

普通、未来のイメージは現在までの延長線上に存在してしまうが、理想のイメージをまずは置き、そこに対してどのような角度・長さの線を引けばよいかが分かれば、行動は変わってくる。「前祝いをしなさい。」「先に祝って後から現実にしていけばいいよ。」って話かというとそんな単純な話じゃなくて、状態目標をしっかり描いて面白おかしく先に祝っちゃえばいいじゃん。達成した気になってやるべきことやれば良いじゃん。ってこと。
30年前に書かれた本だが、非常に本質を捉えている(偉そう)。

経営戦略には、"中核戦略"と"展開戦略"が存在する。中核戦略とは、その企業がありたい姿であり、①製品・市場ポートフォリオ/②ビジネスシステム/③経営資源ポートフォリオの3つの要素から構成される。
つまり、誰に何を提供するのか、そのためにどんな仕事の仕組みにするのか、どんな能力・資源を自分で持つのか。

そして、あるべき姿である"中核戦略"を定めてから現状を見つめ、ありたい姿を実現するための、STEPを描く。それが"展開戦略"である。よく、戦略は数値目標と現在とのGAPという形で考えられるケースが多いが、数値目標を達成するために"どんな姿"になっている必要があるかってことを考える。

現状の積み上げでありたい姿を見るのではなく、どうなりたいかが合った上でGAPを考えることで、ストレッチした状態に持っていくことができる。

そして、展開戦略を考える際に見るべきポイントは、①市場/②競合/③資源/④心理への適合。一番響いたのは、"心理適合"の部分。戦略を描いた後、実際に動かすのは組織にいる"人間"。その人達の気持ちを考え、一体感と勢いをどのように組織にもたらすかが重要になる。

だからこそ、"人間くさい戦略"が求められている。
戦略の人間くささ・そこに血が通っているかは強く意識していきたい。

共通するのは、状態目標を設定するということ。予祝は、達成した時のイメージを明確に持つこと。中核戦略は、達成した時にどんな姿なのか、どのような姿でありたいかを考えること。そして、そこに対してどのようなSTEPで実現していくのかを考えること。つまり、予祝の時点で中核戦略と展開戦略が明確になっていて、そこに紐づく課題や問題点も明確になっている。さらには、乗り越えるイメージもできているということになる。

実際に自分の組織では、「予祝インタビュー」というのを全体で2人ペアになって実施している。"営業目標を達成した時を想像し、達成した時の気持ちをインタビューするという内容。ちなみに以下のような感じ。

①達成したいま、どんな気持ちですか?
②達成したときの詳しい状況を教えてください?
③達成したことで、周りからはなんと言われてますか?
④特に印象に残ってるシーンはありますか?
⑤具体的に何をしたから達成したんですか?
⑥多くの人は苦しい数字で達成を諦めてしまうのに、
どうしてあなたはあきらめなかったんですか?
⑦なにが達成の要因でしたか?
⑧達成するために誰がキーパーソンでしたか?
⑨途中で、どんな困難がありましたか?
⑩それをどう乗り越えましたか?
⑪達成したとき、誰が一番喜んでくれましたか?
⑫その人は、どんなふうに喜んでくれましたか?
⑬いま誰に感謝したいですか?
⑭誰にどんなふうにお礼を伝えたいですか?

これがまぁ面白い。達成した時のイメージを描き、結構生々しい話をしてくれる。そんなに易しい目標設定はしていないのでかなり厳しい状況にも関わらず、みんなが嬉々として楽しそうに話をしているのを見ていると安心する。さらには、「この案件でトラブルが起こって大変だった。」とか、「あのお客さんを攻略できるかが肝だったんだけど、斯く斯く然々のアプローチで~。」と具体的なActionまで話が及んでいる。

目標達成するという数値目標に対して、どんな姿かのイメージ(中核戦略)ができ、そこに対してどんなSTEPでどういう困難を乗り越えていくのか、誰を使いどんなリソース配分をするのかが描けている(展開戦略)ので、あとは具体的に実行していくこと。そして、それをマネジメントラインがサポートしてあげれば良い。

以前に書いた、有言実行の美学とも近い。つまり、宣言したからにはやらなきゃいけないし、自分の理想の状態を描いているので達成したくなる。そうすると、恐怖観念は起きない(はず)。

『経営戦略の論理』を読んだだけだと、どうしても堅苦しい表現になる。見えざる資源をどう活用するのか、市場に対して何を提供するのか・・・・。など。ただ、そこに『前祝いの法則』が加わると、短期の目標についても、中長期の目標についても、具体的なSTEPをメンバーが描きやすくなる。ちなみに、いま話題のOKRも一緒。状態目標=意義目標だからね。それをチームで目指していきましょうって話だ。

こうやって、複数冊を読んでいく中で、内容を組み合わせてまとめていくと、Learningが深くなるし、解釈がしやすくなっていく。その分野に詳しくなりたかったら、同じ分野の本を4~5冊読みなさい。みたいな言葉があるように、様々な人が同じ事を言っている内容にいろんな角度で接することが人生をより濃くしていく1つのヒントになるし、シンプルに、いろんな人が言っている同じようなことは、物事の普遍の真理なんじゃないの?って話だと思う。

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