生徒会長が美しい公式と出会う旅
いらっしゃい。
今日も来てくれて嬉しいです。
継続のこつとして空いた時間に書きだめしてます。
書けるときに書くメリットは
他のnoterの記事を読む余裕ができること。
ただ、毎日更新は無理にしてはいけない。
それは続ける気持ちを損ねてしまう。
ゆっくり楽しんでいこう!
▶︎数学は好き?
数学は好き?
言葉に詰まったかな笑
数学を勉強して思うこと。
これ、勉強する意味あるのかな。
社会人になって10年近く経つ。
未だ三平方の定理を使ったことがない。
営業しながら斜線の長さを求めるとか、
まず出くわすことがないからね。
数学に限った話ではない。
他の教科も同様のことが言える。
それは学生時代からわかってた。
◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎
子どもから勉強の意味を問われたとする。
みんなは何て答える?
意味を考えてる暇があったら勉強しろ。
なんて、冷たいこと言わないでさ。
将来の選択肢を増やすため。
僕だったらそう答えるかな。
あと、全ての教科を勉強する理由。
自分は何が好きかを理解するため。
僕はそう思う。
少なからず、僕の同級生は
全てを勉強した中で数学が好きになった。
今、准教授になっている。
▶︎黒板であそぼう
中学2年生の頃。
クラスメイトのO君と初めて話した。
O君は文武両道ができる学生。
テストの順位は上から3番目。
部活としてはバレーで県大会に出てる。
当然だが先生にも慕われていた。
クラスメイトからも。
彼とはクラス委員会をきっかけに仲良くなった。
クラス代表が彼、私は副代表。
2人で放課後の打ち合わせが多くなり、
ついでに宿題を教えてもらっていた。
◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎
O君は数学が特に好き。
彼のカバンには数学の本が入っている。
中学2年の後半から証明を習う。
彼はすでに証明を知っていた。
証明は数学に限らず全てに通ずる。
綺麗な証明は美しい。
O君がよく言っていた言葉。
初めはよくわからなかった。
でも、彼と数学を学ぶうちにわかってきた。
黒板であそぼうか。
彼は数学について話し出す。
教室の時計は静かに刻んでいた。
▶︎ヘロンの公式
ヘロンの公式って知ってるかい?
O君はチョークを握りながら僕に問う。
知らないと答えると三角形を書き出す。
これは、高さがわかるときの話。
じゃあ、高さがわからなかったらどうする?
僕は、それは答えられないと返した。
何故なら、高さがわからないんじゃ求めようがない。
「だよね」
O君は公式を書き始めた。
その公式は"ヘロンの公式"というものだった。
◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎
三角形の三辺の長さがわかるとする。
ヘロンの公式を使えば面積がわかる。
その公式に数字を当てはめる。
確かに面積が合っていた。
僕にとって目から鱗だった。
無理だと思っていたことが出来たのだから。
数学はアプローチ次第。
未知だったことも先人達の教えで解決できる。
高さがわからなかったら
周りから攻めてみる。
どこかの長さがわからなかったら
他の長さで導く。
数学は旅のようなものだ
▶︎綺麗な式
O君とそれから毎日のように勉強した。
学校では習わない数学の話。
高校になったとき先生から驚かれた。
それもこれもO君のおかげだった。
その後、中学の生徒会長と副会長の関係になった。
O君が会長、僕は副会長だ。
生徒会室でも数学の話をする。
数学の雑誌を買って難問を解く。
解いたらもっと綺麗な方法がないか先生に聞く。
その度に、先生は頭を抱えた。
そして僕らは喜んだ。
どこか勝ち誇った気持ちだったからだ。
◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎
ある時、O君と勉強をしなくなった。
受験が近い頃だった。
僕は他の教科が壊滅的。
O君と同じ進学校は諦めた。
僕と勉強していたらO君の邪魔になる。
僕から一緒に勉強することを辞めた。
たまに本屋に行くと数学雑誌が目に入る。
その気持ちを押し切って、受験勉強をした。
なぜ、大好きなものだけに集中できないのか。
受験というものを恨んだ。
▶︎離れ離れ
僕は工業高校に進学した。
好きな数学と工学を学べる。
というのは建前。
進学校に行くための点数が足りなかった。
O君は県内トップの進学校。
そこから会う機会は減った。
あの頃は数学にふけっていた。
そう思いながら授業中に思い出す。
あー楽しかったなってね。
◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎
大学を卒業して社会人になった。
そして上京。
中学のクラスメイトから連絡があり
居酒屋で集まることに。
すると、そこにO君がいた。
O君は高校でも勉強ができた。
特に数学はクラストップ。
その好きな数学を追求したいと
大学で数学の研究を目標とし
受験に励んだ。
そして、誰もが知る大学に入学した。
O君はヘロンの公式知ってる?
と飲みながら僕に聞いてくる。
あの日初めて数学を好きになった公式だ。
忘れるはずないだろう。
注文用紙にペンで公式を書くと
彼はニヤッと笑ってお酒を飲んだ。
▶︎そして
O君は准教授になった。
幾何学というよくわからない内容を
研究している。
目標は何?と聞いた。
より美しい公式に出会うこと
それも彼らしいと思った。
美しい公式とは。
僕が聞かれたらシンプルな式と答える。
アインシュタインも
オイラーも
追求した先にはシンプルな式があった。
そのような式に出会った時
きっとO君は「この公式知ってる?」と
また話しかけてくるだろう。
彼の数学に対する旅はまだまだ続く。
今日もどこかで誰かが日常を旅する。
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今日も来てくれてありがとう。
こちらのnoteは僕が出会ってきた人の
『人生 ショートショート』です。
お話は青色マガジンでまとめています。
他も読んで頂けると嬉しいです。
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