都駅伝の悲劇
どうもこんにちは
以下の内容は俺が某ブログサイトに投稿した記事を一部改編して載せたものです。ただ、底辺ランナーの逆襲の起源となっているのがこの令和4年11月3日に起こった悲劇についてであるため、そういった意味で俺の中では重要な出来事なのでこちらにも載せることとしました。
遡ること8か月ちょっと前、当時の俺は錦城高校陸上競技部を引退しているはずの時期でしたが、東京都駅伝に出場するため部活に残っていました。
この日の出来事を自分に中でも思い起こしていきます。
その日は11月とは思えない暑さだった。
俺は錦城高校のランナーとして最後の爪痕を残すべく都駅伝の舞台、東京都板橋区の荒川河川敷へと降り立った。当時の俺の状態はというと、夏場に一度部活からは退いたものの9月の半ばころから復帰し、10月に5000mで出場した記録会では自己ベストに1秒まで迫る記録を残し、自分の中では悪くはないと思っていた。駅伝では1区の10kmという一番距離の長い区間を任されていたのだが、これは別に俺が速いからではなく、単純に長い距離を専門としていた選手が俺しかいなかったためである。
時刻は12時30分となり、レースがスタートした。錦城高校の中では俺の走りはスロースタートと呼ばれていて、別に入りが遅いわけではないのだが、後半に垂れてきた選手を確実に拾っていき順位を上げていくスタイルであったため、相対的に速くなっているように見えてこう呼ばれていた。この日俺はどのくらいの順位からスタートしたのかいまいち把握できていなかったのだが、前半の5キロでそれなりに順位は上げていった。
しかし、6キロを過ぎたあたりだったであろうか、急激に内臓が締め付けられるような感覚に襲われた。そこからとにかく呼吸をするのが困難になった。さらには11月とは思えないような灼熱の太陽は俺の魂をも焼き尽くす。もう走れないかもしれない…、だが前に進まなければいけない。俺はペースを大幅に落としながらも足を前へと運んだ。
ところが、さらなる絶望が俺に降りかかってきたのだった。8キロを過ぎたあたりだったであろうか、右足のふくらはぎがぶっ壊れた。足をつった時の感覚に近いのだが、とにかく少しでも衝撃を走らせるとバラバラになってしまうであろうことを肌で感じた。その後、なんとか左足に重心をかけて走っていたが、今度は左足も同じ感覚に襲われた。そう、両足がふさがったのである。
だが、駅伝である以上なんとかしてタスキをつながなければならない。俺は足を引きずりかけて最後はジョグみたいなペースで走り終えた。
結果は惨敗である。
とんでもない記録が生まれてしまった。
俺は絶望の淵に追いやられた。
もうどうしたらいいのかわからなかった。
「噓だろ…、何で…だよ…? どうしてこうなった…? 俺が何をしたっていうんだよ…?、いや、何もしなかったからこうなったのか…?」
思いつく敗因はいくらでもあった。
10kmに対応するための土台が出来上がっていなかった、
レースペースを意識した練習が足りていなかった、
レース展開に関することなどまだまだ沢山、
だが、過去に戻ることはできない。
さらにここからの出来事が非常に罪深いものとなった。
レース終了後にミーティングがあり、そこで俺含めた3年生は引退となるということで、一言ずつ言葉を述べさせていただく機会が設けられた。その時の俺の頭は真っ白…いや、真っ黒だったためまともな思考回路は持ち合わせていなかった。全員が走り終えた後だったため、その場はみんなお疲れさまという雰囲気だったのだが、にもかかわらず俺は思っていたこと(主に自分に対する不満)をそのままぶちまけてしまった。俺の放った言葉はその場をお通夜と化してしまった。挙句の果てにミーティングが終わるとすぐに帽子を深くかぶり帰宅したのであった。(泣いてはいない、もはや何も考えられなかった。)
わかっていた…、よくないことをしているのは
だが…
俺は気持ちのやり場を知らなかった。
罪悪感が募るばかりだった。レースで足を引っ張ったこと、最後に適切でない発言をしてしまったことも。
家に着いた俺は日射病気味で頭痛を起こした。
その後寝ようとしてベッドに入った。
そして漆黒の闇に包まれた部屋の中で俺は誓ったのだった。
「もう負けねぇ、二度とあんな無様なレースをするわけにはいかねぇ、ぜってぇ強くなってやる、いつか錦城高校出身の選手として最高にカッケェ走りができるようになるその日まで。」
「それから2か月後の俺よ、聞け、大学入試共通テストが終わったらまず土台を作れ、長い距離にもしっかり対応できる強靭な土台をな、毎日何キロもの距離を走るんだ、そうでなければこの厳しい陸上界を生き抜くことはできないのだから。」
「そして一生忘れるな、この屈辱を。
地道な積み重ねを怠るな。
どんなにつらい練習からも絶対に逃げるな。」
俺は眠りについた。
ご視聴ありがとうございました。