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「COVID-19回復者とワクチン接種者のオミクロン株に対する中和抗体価」

TONOZUKAです。


COVID-19回復者とワクチン接種者のオミクロン株に対する中和抗体価

以下引用

オーストリアInnsbruck医科大学のAnnika Rossler氏らは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染から回復した人とワクチン接種者の血液標本を用いて、アルファ株、ベータ株、デルタ株、オミクロン株に対する中和活性を調べる予備的研究を行った。少人数のデータだが、接種後にブレークスルー感染した人や回復後にワクチンを接種した人に比べると、過去の変異株からの回復者やワクチン接種から時間が経過した場合はオミクロン株への中和効果が低かったと報告した。結果はCORRESPONDENCEとして2022年1月12日のNEJM誌電子版に掲載された。

 SARS-CoV-2の変異株が新たに登場するたびに、感染性は高まっているように見えるが、ワクチンは引き続き有効と見られていた。最も新しいVOC(懸念される変異株)であるオミクロン株(B.1.1.529系統)は、スパイク蛋白質に26~32の変異を有する。そこで著者らは、SARS-CoV-2ワクチン接種者または過去のSARS-CoV-2感染から回復した人に由来する血清が、オミクロン株を中和できるかどうかを検討することにした。

 血液標本を提供してもらったのは、既に感染した経験がある人からは、アルファ株(B.1.1.7系統)10人、ベータ株(B.1.351系統)8人、デルタ株(B.1.617.2系統)7人。ワクチン接種者は、Moderna社のmRNA-1273の2回接種者10人、AstraZeneca社のChAdOx1-Sの2回接種者10人、Pfizer/BioNTech社のBNT162b2の2回接種者20人、異なるワクチン(ChAdOx1-SとBNT162b2)を使用した人20人。さらに感染回復後にBNT162b2接種も受けた人5人、いずれかのワクチン2回接種後にブレークスルー感染した人5人からも提供を受けた。今回の対象には3回目のブースター接種を受けた人は含まれていない。

 標本血清のアルファ株、ベータ株、デルタ株、オミクロン株に対する中和抗体価をフォーカス形性アッセイ法で測定した。
 ワクチン接種者で、過去の変異株に比べると中和活性は低めだが、オミクロン株にも交差活性が観察されたのは、BNT162b2の2回接種者とChAdOx1-SとBNT162b2の使用者だった。ChAdOx1-Sの2回接種者とmRNA-1273の2回接種者では交差活性が観察されなかった。ただし、ワクチンの他の組み合わせが2回目の接種から1カ月程度だったのに対して、mRNA-1273の標本は4~6カ月経過していた点が異なる。

 アルファ株、ベータ株、デルタ株に感染して回復した人の血清標本では、実際に感染した変異株のみならず、他の変異株にも中和活性を示したが、オミクロン株に対する中和抗体陽性と判断された人はわずかで、アルファ株感染者では10人中0人、ベータ株感染者では8人中1人、デルタ株感染者では7人中1人だった。

 回復後のワクチン接種者とブレークスルー感染者10人の、デルタ株とオミクロン株を対象とする中和活性を検討したところ、デルタ株に比べ活性は低いものの、計10人中9人の血清がオミクロン株に対して中和抗体陽性と判断された。

 これらの結果から著者らは、BNT162b2の3回目の接種を行えば、オミクロン株に交差結合する中和抗体のレベルは上昇すると予想されるが、変異株に合わせた新しいワクチンの開発も進めることが望ましいとしている。

 原題は「SARS-CoV-2 Omicron Variant Neutralization in Serum from Vaccinated and Convalescent Persons」、概要はNEJM誌のウェブサイトで閲覧できる。

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