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「無針で皮内投与の新型コロナワクチンによる発症予防効果は7割弱」

TONOZUKAです。


無針で皮内投与の新型コロナワクチンによる発症予防効果は7割弱

以下引用

インドGrant Government Medical CollegeのAkash Khobragade氏らは、Cadila Healthcare社の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)用DNAワクチンのZyCoV-Dを用いた第3相臨床試験の中間解析を行い、針を用いない皮内投与システムによるワクチン3回投与から28日後以降の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)発症予防効果を66.6%だったと報告した。有害事象はプラセボ群と差がなかった。結果は2022年4月2日のLancet誌電子版に掲載された。

 ZyCoV-DはインドCadila Healthcare社製のプラスミドDNAワクチンだ。2~8度で保管することになっているが、室温でも3カ月は安定しており、開封しても28日後までは利用可能とされている。ZyCoV-Dは抗原となるSARS-CoV-2のスパイク蛋白質をコードするDNAと、免疫刺激目的で非メチル化CpGモチーフをコードするプラスミドを大腸菌に生産させたワクチンで、ジェットインジェクターにより1回に2mg皮内接種する。具体的には、PharmaJet社のPharmaJet無針アプリケータにワクチンを装填し、圧をかけて皮膚を通過させる。DNAワクチンの場合、細胞膜と核膜を通過しなければ抗原のスパイク蛋白質が産生されないので、従来の針による注射では効果が得られにくいため、ジェットインジェクターを採用した。

 インドで行われた第1/2相臨床試験では、このワクチンは抗体反応に加えて細胞性免疫も強力に刺激しており、安全で忍容性も高いことが示されていた。そこで著者らは、インドの49施設で第3相試験を行い、あらかじめ予定された評価者数に到達した段階で中間解析を実施した。

 試験の参加者は、SARS-CoV-2感染歴を持たない12歳以上の健康な人。発熱疾患のある人、14日以内に感染者と濃厚接触歴があった人、免疫抑制状態の人などは除外した。サブグループ解析の対象として、年齢60歳以上の人、併存疾患(高血圧、糖尿病、肥満、慢性呼吸器疾患、慢性腎疾患、慢性心疾患)のある人、12~17歳の青少年を設定した。

 条件を満たした参加者は1対1の割合でランダムにZyCoV-D群とプラセボ群に割り付けた。ZyCoV-Dまたはプラセボは、PharmaJetシステムを用いて、1回2mgを28日間隔で3回皮内注射した。

 主要評価項目は、3回目の接種を終了してから28日以降の、RT-PCR陽性の症候性COVID-19発症に設定した。COVID-19を発症した参加者が158人に到達する時点まで追跡を継続することとし、半分の79人が発症した時点で中間解析を実施する予定にした。ベースラインでSARS-CoV-2陰性で、割り付け薬の3回接種を完了していた人々を対象とするper-protocol分析を行った。副次評価項目は、初回のSARS-CoV-2無症候感染、重症のCOVID-19、中等症のCOVID-19などとした。
 2021年1月16日から6月23日までに3万3194人をスクリーニングし、条件を満たした2万7703人が参加登録された。平均年齢は36.5歳(標準偏差13.79歳)、男性が67.11%、女性が32.89%だった。ZyCoV-D群1万3851人とプラセボ群1万3852人にランダムに割り付けた。ZyCoV-D群の709人(5.12%)とプラセボ群の740人(5.34%)が併存疾患を有していた。

 ZyCoV-D群の1万2350人とプラセボ群の1万2320人がper-protocol分析の対象になった。ZyCoV-D群の20人と、プラセボ群の61人がCOVID-19を発症しており、ワクチンの発症予防効果は66.6%(95%信頼区間47.6-80.7)だった。ワクチンの重症COVID-19予防効果と中等症のCOVID-19予防効果はいずれも100%で、軽症のCOVID-19を予防する効果は64.9%(44.9-79.8)だった。

 84日目(3回目の接種から28日時点)で、抗SARS-CoV-2抗体陽性となっていたのは、ZyCoV-D群の93.33%とプラセボ群の52.31%で、IgG幾何平均抗体価は、ZyCoV-D群が952.57 EU(95%信頼区間707.94-1282.00)、プラセボ群は154.82 EU(91.25-262.70)だった。PRNT50の幾何平均中和抗体価はそれぞれ、133.39(86.88-204.81)と30.40(16.35-56.53)だった。

 ELISpotアッセイを用いて細胞性免疫応答を検討した。ZyCoV-D群では2回目の接種時点で、末梢血単核細胞100万個当たりのスポット形成細胞数は、ベースラインの13倍まで上昇しており、3回目の接種時点でもベースラインの9.6倍となっていた。プラセボ群では、ベースラインと比較した有意な上昇は見られなかった。

 安全性と忍容性の評価は、割り付け薬を1回以上投与された人々を対象とした。両群の人々が報告した観察対象の有害事象と予期せぬ有害事象の件数に差はなく、ほとんどが軽症から中等症だった。無針注射器を用いたため、通常の注射針を使用した場合に多く生じる有害事象の報告は少なかった。予期しない有害事象は、ZyCoV-D群の623人(4.49%)とプラセボ群の620人(4.47%)に報告され、頻度は両群間で同様だった。両群とも1人ずつ、計2人が死亡したが、いずれも死因は割り付けられられた治療とは無関係と判定された。

 これらの結果から著者らは、第3相臨床試験でZyCoV-Dの安全性と有効性、免疫原性が示されたと結論している。この研究はCadila Healthcare社やインド政府などの支援を受けている。

 原題は「Efficacy, safety, and immunogenicity of the DNA SARS-CoV-2 vaccine (ZyCoV-D): the interim efficacy results of a phase 3, randomised, double-blind, placebo-controlled study in India」、概要はLancet誌のウェブサイトで閲覧できる。

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