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「COVID-19専門病院はコロナ治療に積極的でアウトカムも良好」

TONOZUKAです。



COVID-19専門病院はコロナ治療に積極的でアウトカムも良好

以下引用

米国Minnesota大学のZachary R. Bergman氏らは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者のケアに特化した専門病院に転換した施設と、他の患者も受け入れている一般病院で、COVID-19患者の死亡率や合併症に違いがあるかを検討する後ろ向きコホート研究を行い、COVID-19専門病院の方が2020年当時の臨床研究結果を反映した治療を実施する割合が高く、死亡率を含む治療成績が良好だったと報告した。結果は2022年3月3日のJAMA Network Open誌電子版に掲載された。

 M Health Fairview Hospital Systemは、ミネソタ州内に大規模な教育病院を含む11病院を所有する医療提供者だ。同システムは90床の急性期病院であるBethesda Hospital in Saint Paulを、2020年3月に35床のICUと55床の一般病床を持つCOVID-19専門病院に転換した。その際にテレメトリー設備を充実させ、陰圧室を増設するなど感染症病院としての機能を補強した。2020年11月には同様にBethesda to Saint Joseph's Hospitalも41床のICUと68床の一般病床を持つCOVID-19専門施設に転換した。

 専門病院の設置が、COVID-19患者から他の疾患で入院している患者への感染拡大を防ぐのに役立つことは明らかだが、COVID-19専門病院での治療が、死亡率や合併症などの治療成績に与える影響は明らかではなかった。そこで著者らは、M Health Fairview傘下にある11病院で治療を受けたCOVID-19患者を対象に、2カ所の専門病院とその他の施設で治療成績に違いがあるかを検討することにした。

 対象は2020年3月1日から2021年6月30日に、PCR検査を受けてCOVID-19の診断が確定し、同システムの11病院に入院した18歳以上の患者とした。主要評価項目は院内死亡とした。副次評価項目は、合併症とCOVID-19特異的な治療とした。特異的治療として、深部静脈血栓症(DVT)予防、レムデシビル、トシリズマブ、デキサメタゾンの使用を調べた。合併症は、人工呼吸器の使用、肺炎、菌血症、尿路感染症、脳卒中、心筋梗塞、肺塞栓、DVT、急性腎障害、肝機能障害、出血イベントを調べた。そのほかICU入院率や滞在日数なども検討した。

 期間中に同システムの医療施設で4万5609人がPCR検査で陽性と判定されていた。このうち11病院に入院した5504人のCOVID-19患者を分析対象にした。年齢は中央値で62.5歳(四分位範囲45.0~75.6歳)で、51.9%が女性患者だった。90.8%の患者が生存退院しており、入院中に死亡した患者の割合は9.2%だった。ICUに入院した患者は全体の1478人(26.9%)で、そのうちの1110人(75.1%)は生存退院していた。539人(9.8%)が挿管と機械的換気を必要とした。入院期間の中央値は5.0日(四分位範囲2.8~9.2日)だった。ICUに入院した患者に限定すると、ICU期間の中央値は5.4日(2.0~12.6日)で、入院期間全体の中央値は10.9日(5.7-19.1)になった。

 COVID-19専門病院で治療を受けていたのは2077人(37.7%)で、年齢の中央値は63.4歳(50.7~76.1歳)、女性患者の割合は48.0%だった。それ以外の9病院に入院した患者は3427人(62.3%)で、年齢の中央値は62.0歳(40.0~75.1)、54.2%が女性患者だった。

 COVID-19専門病院では、より重症の患者が治療を受けていた。ICU入院率は、専門病院では41.1%、それ以外の病院では18.2%で、専門病院に入院した患者の方が、入院期間全体(7.2日と3.9日)およびICU入院期間(6.9日と3.6日)が有意に長かった。生存退院患者の割合は、COVID-19専門病院が88.4%、その他の病院が92.0%だった。

専門病院に入院した患者とそれ以外の病院に入院した患者では、多くの患者特性に違いが見られた。専門病院に入院した患者の方が、BMIの中央値が高く、女性が少なく、併存疾患スコアが高く、ACE阻害薬使用者が少なく、吸入ステロイド使用者が多く、パルスオキシメーターにより測定した酸素飽和度の最低値が低く、呼吸数は多く、体温も高く、クレアチニンの最高値が高く、Dダイマーの最高値は低く、CRPの最高値は高く、白血球数の最低値は低く、機械的換気の適用率は高かった。

 これらの特性による偏りを補正するため、傾向スコアがマッチした患者1317ペアを選び出した。マッチング後の生存退院率はCOVID-19専門病院が90.2%、その他の病院が88.4%だった。

 リスク調整院内死亡率は、専門病院の方が有意に低かった。患者全体で比較した場合のオッズ比は0.75(0.59-0.95)、傾向スコアをマッチさせたグループの比較ではオッズ比は0.78(0.61-0.99)だった。傾向スコアをマッチさせたグループの、あらゆる合併症の発生率は、オッズ比0.81(0.66-0.99)で専門病院が有意に低かった。

 COVID-19に特化した治療の実施率は、専門病院の方が高かった。低分子ヘパリンまたは未分画ヘパリンを用いた深部静脈血栓症予防を適用された患者の割合は、専門病院が83.9%、その他の病院では56.9%だった。高用量ステロイド(デキサメタゾン6mg/日以上)の投与は56.4%と22.2%で、レムデシビルの投与は61.5%と44.5%、トシリズマブの投与は7.9%と2.0%だった。

 これらの結果から著者らは、COVID-19専門病院では、診療ガイドラインに沿った治療が行われる頻度が高く、院内死亡率と合併症のリスクが低いなどの利点が認められたと結論している。この研究は米国Agency for Healthcare Research and Qualityなどの支援を受けている。

 原題は「Comparison of Outcomes and Process of Care for Patients Treated at Hospitals Dedicated for COVID-19 Care vs Other Hospitals」、概要はJAMA Network Open誌のウェブサイトで閲覧できる。




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