見出し画像

「ワクチン接種状況とオミクロン株による入院率」 ブースター接種者に比べると未接種者の感染率は3.6倍、入院率は23倍

TONOZUKAです。


ワクチン接種状況とオミクロン株による入院率

ブースター接種者に比べると未接種者の感染率は3.6倍、入院率は23倍


以下引用

米国Los Angeles郡公衆衛生局のPhoebe Danza氏らは、2021年11月7日から2022年1月8日まで、同郡の18歳以上の地域住民を対象に2週間単位の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の累積感染率と累積入院率を調べる横断研究を行い、ワクチン接種状況と照合したところ、感染の主流がデルタ株からオミクロン株に交代してから感染者数も入院患者数も増加していたが、ワクチンは一定の予防効果を維持していたと報告した。観察期間の最後の週では、ワクチン未接種者の感染率はブースター接種者の3.6倍、入院率は23.0倍だった。結果は、米国疾病管理センター(CDC)の疫学週報であるMMWRのEarly Releaseで2022年2月1日に公表された。

 オミクロン株は、それまでのSARS-CoV-2変異株に比べ伝播性は高いが、デルタ株と比較すると重症化リスクは低いことが示唆されている。しかし、オミクロン株感染者の数が非常に多くなったために、それまでの変異株の流行期間に比べ、医療現場の負担は大きくなっている。そこで著者らはオミクロン株に対するワクチンの効果を調べることにした。

 分析の対象にしたのは、2021年11月7日から2022年1月8日までに核酸増幅検査または抗原検査で感染が確定したLos Angeles郡の18歳以上の住民42万2966人だ。ワクチン接種状況はCOVID-19 surveillance and California Immunization Registry 2(CAIR2)のデータを照合した。Pfizer/BioNTech社のBNT162b2やModerna社のmRNA-1273の2回目の接種から14日以上が経過していた人と、Janssen社の単回接種ワクチンAd.26.COV2.Sの接種から14日以上が経過していた人々を接種完了者とした。ワクチンの初回接種から14日未満の人とCALR2に接種歴が登録されていなかった人を未接種者とみなした。接種完了者のうちブースター接種を受けてから14日以上経過していた人をブースター接種者に分類した。COVID-19関連入院はSARS-CoV-2感染が確認されてから14日以内の入院とした。

 検査で陽性となった標本を対象として日常的に行われている全ゲノムシーケンスデータを用いて、変異株ごとに各週の感染者の割合を算出した。オミクロン株の感染が認められてからの置き換わりは速やかで、12月18日までの1週間のオミクロン株の割合は57%で、2022年1月8日までの1週間には99%になっていた。

 対象期間に感染が判定された42万2966人のうち、未接種者は14万1928人(33.6%)、ブースター接種者が5万6185人(13.3%)、接種完了者が22万4853人(53.2%)だった。年齢の中央値はそれぞれ、35歳(四分位範囲27~48歳)、46歳(33~59歳)、36歳(27~49歳)だった。

 感染後の重症化のリスクはワクチン未接種者で高く、2.8%が入院し、0.5%がICUに入院、0.2%が機械換気のための挿管を受けていた。ブースター接種群ではその割合は、0.7%、0.08%、0.03%で、接種完了者では1.0%、0.12%、0.05%だった。死亡も非接種群に多く、0.3%に発生したが、ブースター接種群では0.07%、接種完了群は0.08%だった。

デルタ株が主流だった最後の週となった2021年12月11日までの14日間の、年齢調整した累積感染率と入院率は、未接種者が10万人当たり443.9と45.9で、ブースター接種群ではそれぞれ36.1と0.6であり、接種完了群では、115.9と3.6だった。この期間のワクチン未接種者の感染率と入院率は、ブースター接種者に比べ、それぞれ12.3倍と83.0倍だった。また、接種完了者と比較すると、それぞれ3.8倍と12.9倍になった。

 オミクロン株の流行が拡大して以降は、感染率と入院率はどのグループでも上昇した。2022年1月8日時点で、年齢調整した14日間累積感染率と入院率は、未接種者が10万人当たり6743.5と187.8で、ブースター接種者が1889.0と8.2であり、接種完了者は3355.5と35.4だった。この期間の率比は、デルタ株流行期に比べ低くなり、ワクチン未接種者の感染率と入院率は、ブースター接種者に比べ、それぞれ3.6倍と23.0倍で、接種完了者と比較すると、2.0倍と5.3倍だった。

 これらの結果から著者らは、変異株の主流がオミクロン株に置き換わった後は、どのグループでも感染率と入院率が増加しており、ワクチンの予防効果は下がったと考えられるが、未接種者に比べると接種者の重症化リスクが低い状態は続いており、医療機関の負荷を減らすためにもワクチンの接種が重要だと結論している。

 原題は「SARS-CoV-2 Infection and Hospitalization Among Adults Aged ≧18 Years, by Vaccination Status, Before and During SARS-CoV-2 B.1.1.529 (Omicron) Variant Predominance - Los Angeles County, California, November 7, 2021-January 8, 2022」、全文がMMWRのウェブサイトで閲覧できる。




宜しければサポートお願い致します。いただいたサポートはポータルサイトの運営費用として大事に使わせていただきます。 https://music-online.kingstone-project.jp/