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現代の教育に通じる『落語家の修行』とは?

『落語家の修行』■金原亭世之介

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▲金原亭世之介の弟子3人
プロフィールは下記からどうぞ。

 落語家に成る為には師匠に弟子入りをして前座の修行をしなければなりません。試験は有りませんが、たいがい弟子入りは断られます。情熱を持って何度もお願いをしてやっと許してもらえるのがほとんどです。

 落語家に入門すると先ず前座見習いという見習い期間が一年半ほどあります。この間に落語を覚えるのはもちろんですが、掃除の仕方、着物のたたみ方、太鼓の叩き方、そして何より世の中の礼儀を覚えなければなりません。

 その後前座として毎日寄席の楽屋で働く事と成るのです。
 東京では「鈴本演芸場」、「新宿末広亭」、「浅草演芸ホール」、「池袋演芸場」、「国立演芸場」の楽屋で前座の修行をしています。

 この五つの寄席を定席と言って一年中毎日寄席が開かれています。
 その他にも沢山の寄席が、多い時は関東近県だけで一日五十か所も開かれています。
 前座の仕事は先ず寄席に行って開演に先立ち楽屋を整えるところから始まります。

 末廣亭では今でも冬は炭を起こしたりお湯を沸かしてお茶の用意をしたりします。

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寄席の楽屋一口メモ
『楽屋のしきたり 座る場所』
 寄席の楽屋では前座から色物、お囃子さん真打ちまで色々なキャリアの違う芸人が同じ空間で一緒に居る事と成りますから厳しい寄席のしきたりが存在します。

 例えば座る場所は自ずと決まってきます。
 大師匠の座る場所はその人が居なくても誰も座りません。普通に座わる場所も上下が決まっていて先輩が来ればその場を譲ります。
 二つ目はたいがい立っているか楽屋の端に居て前座は座布団さえすることは有りません。もちろん前座から師匠に話しかける事はほとんどありません。

 末廣亭では大きな火鉢の廻りに順位があって鏡を背に座るのが大真打ちの師匠で出入り口の遠い場所から順に偉い師匠が座って行きます。
 楽屋を知らないお客様がもし大師匠の席に座ったりすると大変!怒鳴られることも有ります。
 旅先の楽屋も暗黙で座る位置が決まります。楽屋を訪ねたお客様は「どうぞ」と出された座布団に座るのが礼儀です。
 くれぐれもご注意くださいませ。

 さて、お客様が入場と同時に「一番太鼓」を叩くのも前座さんの仕事です。

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▲名前を先輩に覚えてもらうため、前座は胸に名札をつけます

 一番太鼓はお客様が沢山入るように「ドンドンドンと来い」と叩きます。
 開演五分前には「二番太鼓」を叩きます。
 そして開演前に高座に上がって落語を喋ります。

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 なぜ開演前かと言うと前座はまだお金を取れる芸ではありませんと言う意味があるのです。厳しいですね!

 さて高座返しも前座のお仕事。
 前の噺家さんが一席終わると座布団を返して「めくり」の名前を変えて高座をつくります。そして休憩前の「中入り太鼓」寄席の最後には「追い出し太鼓」で「出てけ出てけ、テンテンバラバラ、カラカラ」と叩いて寄席の仕事を終えます。

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 この修業が見習いから約五年。
 やっと二つ目という一人前になって十年後真打ちとして師匠と呼ばれるように成れるのです。

 二つ目に成ると自分のお囃子で高座に上がれます。
 つまり先輩全てが自分のお囃子を持って居る訳ですからそのお囃子を前座さんは全て太鼓で叩けるわけです。

 今落語家の数は千人ほど。凄いですね。
 さて二つ目に成っても落語の他に色々な芸の稽古をしていきます。

 まず日本舞踊は必修と言っても過言ではありません。

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▲毎週月曜日の踊りのお稽古。欠かさずいきます。

 たった一人で演じる落語は即座に男性から女性、お年寄りから子供、おサムライから町人と演じ分けなければなりません。
 そこでその演出の形と言うものを学ばなければ多種多様の人物を演じ分けられないのです。

 金原亭世之介も浅茅流の名取で「与志寿郎(よしじろう)」という名前を持って居ます。

 他の芸能の歌手やお笑い芸人、タレントとは随分と違うのが解ると思います。あなたも落語家になって芸能界の大スターになりませんか。
 但し三十歳未満までと決まっていますから、おじぃやおばぁは諦めて下さいね。

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▲香盤表
国立演芸場の香盤表です。黒は在室、赤は留守です。

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▲国立演芸場 袖からの光景
ここから高座に上がります。


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