【初心者向け】初めての落語のすすめ【解説】
いつもたくさんの応援をいただき
誠にありがとうございます。
キングプロダクションです。
落語を聞きに行きたいけど
具体的にどうすればいいの?
落語って敷居が高いんじゃない?
どんな勉強が必要?
そもそも落語って何?
今回は、そんな疑問に
芸歴40年以上の噺家
金原亭世之介とともに
お答えします。
2023年2月中席より
二つ目に昇進した
金原亭杏寿の
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壱. 落語とは
「落語」とは、笑いあり 涙あり
世界で日本にしかない
唯一の言語芸術です。
何だか芸術と言うとちょっとカッコいいですが、落語家はそれを「芸」と呼んでいます。
舞台上ではたった一人
基本的に、舞台=高座 (こうざ) の上ではたった一人。
一人で何役も演じます。 着物を着て座布団に座って、小道具の[手拭]と[扇子]だけで面白可笑しく物語を語ります。
そしてお話の内容はほとんど会話形式。説明はほとんどありません。
これこそが世界で日本にしかない特徴なのです。
「オチ」のない噺もある
落語は噺の最後にオチがつくのが特徴ですが、オチのない(オチまで話さない)噺もたくさんあります。
もちろん、“落とし話”といわれるくらい最後の「オチ」が肝心です。しかしながら、オチのない人情噺も笑って泣ける。
「落語」は不思議な世界です。
江戸が舞台じゃない噺もいっぱい
落語には「古典落語」と「新作落語」というものがあります。
だいたい明治時代以前に作られた噺を「古典落語」といいます。時代背景は江戸時代が基本ですから、江戸の貨幣価値や生活感の違いが時代劇のように感じるのも魅力です。
一方、落語には「新作落語」という大正時代以降に新しく作られた作品も数多くあります。
もともと「新作落語」は噺家(=落語家)自身が作った「創作落語」のことを指しましたが、今では大正時代以降に作られた作品を指す言葉となりました。
どちらも多くの名作があり、話す落語家によってそれぞれ違う演出を味わう事ができます。
落語の歴史
さて、その歴史は戦国時代までさかのぼります。
落語の祖、つまり落語っぽい噺を始めたのが、曽呂利新左エ門 (そろりしんざえもん) と言われています。今聞くとかなり変な名前ですね。浄土宗の僧侶で御伽衆 (おとぎしゅう) (戦国大名に仕え、話の相手をしたり、世情を伝えた人達)でもあった安楽庵策伝 (あんらくあんさくでん) と同一人物とも言われています。
その後江戸時代に入り上方では露の五郎兵衛 (つゆのごろべい) の辻噺に始まり米沢彦八の「彦八はなし」が一世を風靡します。今でも年に一回上方芸人が一同に「彦八まつり」を開いてその名前を祀っています。
そうして江戸落語は多くの芸人たちを経て、中興の祖として三遊亭圓朝 (さんゆうていえんちょう) が幕末から明治にかけて大活躍し今の寄席芸人へと延々と芸をつないで来ました。
弐. 寄席とは
\ 初心者歓迎 /
面白い話やあっと驚く技を
見せてくれる場所
「寄席」とは大衆芸能を演じる劇場のことです。
講談・落語・浪曲・漫才・奇術(手品)・太神楽など大衆芸能の興行が催されます。
「寄席」の語源は、もともとこのような演芸場を「講釈場」「寄せ場」と言ったことからきています。
▼ 毎年2月恒例 「鹿芝居」の様子
365日 年中無休!
寄席は年中無休です。寄席の興業期間は、毎月「上席」「中席」「下席」と10日間ずつ区切られ、10日間はおおよそ同じ演者が毎日出演しています。
東京の定席
常設の寄席(毎日興行がある寄席)を「定席 (じょうせき) 」といいます。
▼東京の代表的な4軒▼
1日中やってます
「昼の部」は午後12時前〜4時頃、「夜の部」は夕方5時前〜夜9時頃まで。
入れ替え制でない寄席は、「昼の部」「夜の部」通して一日中楽しむこともできます。
出入りも自由ですが、再入場はできません。
(※寄席や公演によって異なります。正確なスケジュールは直接演芸場にお問合せください。)
バラエティ豊富なプログラム
落語はもちろん、講談・落語・浪曲・漫才・音曲・手品・曲芸など。
寄席はバラエティーに富んだ番組(=プログラム)となっています。また、落語・浪曲など番組の主演目以外の演目は色物 (いろもの) と呼びます。昔から演題を書く際に、落語は「黒」その他は「朱墨」を使うため、今もこのように呼ばれています。ただし、落語よりも歴史が古い講談は色物と呼びません。
寄席、最後の演者は主任(=トリ)と呼ばれ、基本的に真打 (しんうち) の落語家が登場します。
このネタが聞きたいんだけど
実は、落語家は客席の様子でネタを決めています。なので、一般的に定席では何のネタが聞けるのか聞く時までわかりません。寄席ではその日の寄席で既に高座にかけられた噺はしません。落語家は高座に上がる前にネタ帳を確認し、今まで話されていないジャンル・雰囲気の話をチョイスします。
つまり、トリに行くほど高座にかけられるネタがどんどん少なくなっていく。トリを務めるというのは実力が必要なのです。
特定のネタが聞きたい場合は、落語家の独演会 (=共演者を持たず一人で演じる会) やあらかじめネタがわかっている落語会に赴くのもオススメです。
参. 落語、初体験 「落語へ行ってみよう!」
1. 予習なしでOK
思い立ったが吉日。ふらっと立ち寄れる伝統芸能。それが落語です。
2. 予約不要
定席は基本的に予約不要です。 気軽に足をお運びください。
( ※特別公演等、予約が必要な場合がありますので、 詳しくは各WEBサイト等をご確認ください。 )
3. 服装はなんでもOK
どんな服装で来てもOK! 「ゆかた割」「和服割引」がある寄席もあります。
4. 木戸銭(=入場料)を払おう
木戸銭は、寄席の入り口にある受付でお支払。チケットを一回購入すれば、入場してから興行が終了するまで、時間一杯楽しめます。ただし、途中外出はできません。
代金は通常公演の場合、2,000円〜3,000円程度。
団体割・シルバー割引・夜割など、様々お得な割引もあります。
5. 厳しい「シキタリ」はありません
雰囲気を例えるなら、寄席は声を出して笑っていい映画館のような空間。
リラックスして、ゆったりとお楽しみください。
寄席によって異なりますが、飲食をしながらの鑑賞もOKな寄席もあれば、飲酒をしながらの鑑賞もOKなゆるっとした寄席もあります。
6. 予備知識は不要!
難しい印象がある落語ですが、どんな人にも楽しんでもらえるよう落語家達はお客様の様子を見ながら話の雰囲気や言葉遣い、演出をその場で変えて話します。
あなたが初めて寄席に出向いた時、きっと芸人はあなたの顔を見ながらあなたに合わせた話をしてくれるはずです。
その時聞いた落語は、その時その場所でしか聞けない。
それが「落語」の良さでもあります。
7. 落語を楽しむコツ
好きな落語家を見つけてください。
ネタは同じでも、落語家によって演出が全く違います。落語をより楽しむコツは「推し」を見つけること。その落語家が真打ちであれば、主催する落語会にその落語家の弟子や育てている前座・二ツ目も高座にあがります。
その時は、まとめて「箱推し」してください。
落語家は一門ごとに演出が似ているので、きっとお気に入りの落語家が増えていきます。(師匠から稽古をつけてもらうので、似ていくのです)
また、前座はまだまだ修行の身。ここが師匠に似てるな、という部分も見つけながら応援いただければ幸いです。
肆. 落語のディープな世界
落語家って何者?
どうやってなるの?
真打ちの落語家の師匠に弟子入りをして、修行積んだ「落語」を演じる人のことを落語家といいます。試験は有りませんが、たいがい弟子入りは断られます。
師匠と弟子は、死ぬまで師匠と弟子です。
情熱を持って何度もお願いをしてやっと弟子入りを許してもらえるのがほとんどです。
弟子入りが許されると「前座見習い」として落語の修行が始まります。
落語の高座は40年を過ぎて初めて一人前と言われる芸。厳しくも先人達の暖かさが身にしみる芸の道です。
階級って何?
落語家には「前座見習い」「前座」「二ツ目」「真打ち」という階級があります。
( ※上方落語はこの限りではありません )
1. 前座見習い
落語家に入門すると先ず前座見習いという見習い期間が一年半ほどあります。
この間に落語を覚えるのはもちろんですが、掃除の仕方、着物のたたみ方、太鼓の叩き方、そして何より世の中の礼儀・マナーを覚えなければなりません。
師匠の後について、その姿を見本に仕事していく心構えを覚えていきます。
見聞きする全てが学びです。
2. 前座
前座になると、寄席に入り楽屋での仕事も始まります。
東京では「鈴本演芸場」「新宿末広亭」「浅草演芸ホール」「池袋演芸場」「国立演芸場」の楽屋で前座の修行をしています。
3. 二ツ目
寄席の番組で二番目に高座へ上がるので『二ツ目』と呼ばれます。 二ツ目に成ると自分のお囃子で高座に上がれます。
つまり先輩全てが自分のお囃子を持って居る訳ですからそのお囃子を前座さんは全て太鼓で叩けるわけです。
前座の仕事がなくなりますが、稽古の毎日です。
落語ももちろんのこと、日本舞踊は必修と言っても過言ではありません。
4. 真打ち
寄席の番組で一番トリをとることができる落語家です。
「師匠」と呼ばれ、弟子を取ることもできますが、落語家は一生が勉強です。
噺を演じるには幅広い物事を学ぶ必要があります。
修行の道は続きます。
寄席文字
寄席文字は、落語・寄席の世界を飾る縁起のいい独特の文字です。
歌舞伎の勘亭流、相撲の相撲字、千社札などの江戸文字と並ぶ江戸文字四体の一つで、寄席ビラの文字「ビラ字」を起源として故・橘右近師匠が完成させました。寄席文字の特徴は、お客が一杯に入るように余白を少なくし、筆に墨をたっぷりと付け、一気に書き上げるところにあります。
番外. オススメの寄席・落語
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