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フランス人は10着しか服を持たない

 俺は身長が180cm近くあって細身なので、シャツが似合う。
 普段着としてジャケットを羽織る事が格好いいと思ってるし、実際に「お洒落だ」と言われてきた。でも、「そんな服着なくていいよ」と言われた事も、幾度となくある。
 驚きだ。服なんて好きな物を着たらいいのに、他人の着こなしに口を出す人がいる。きっと、「着なくていい」という表現になるのは、特別な機会以外はお洒落しないからなんだと思う。
 普段は安物の、毛玉とかほつれなんかがある服を着ているんだろう。
 かく言う俺も、元々はそうだった。なんだったら、TPO関係なく、安物の服を愛用していた。
 着れれば、なんでもよかったんだ。
 そういう粋じゃない着こなしを辞めたのは、この本に出会ってから。
 普段からお洒落していい。そんな当たり前の事に、気付かされた。
 ――自分が一番格好いいと思う服を着て、街を歩いていたい。
 これは他人に見せびらかす為でなく、自分にうっとりする為の行為なんだ。
 常にそういう身のこなしでいたい。
 ドラマ『火村英生の推理』の火村や、アニメ映画『ゲゲゲの謎』のゲゲ郎みたいな、外見に無頓着だけどどこか魅力的な雰囲気を漂わせる、謎多き男性に、俺はなりたい。

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