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読書会に参加しての学び 11~ 相手へのリスペクトが底流にある・身をもって示す     

 先日、読書会に参加してきました。
 今回は「修身教授録」(森信三 著)の「第29講 対話について」を読み、感想などを交流しました。

 今回の講では、対話の際の心得や具体的な方法が書かれて(話されて)いて、現代でも通じる内容がたくさんあり、以前、その具体的な内容や感想を記事にしました。

 今回は、さらに細かい対話にまつわる「エチケット」「マナー」的な内容について紹介します。次の通りです。
 
<対話の際に、相手に尋ねてはいけない事>
・相手の収入
・相手の家の家賃
・時によっては、職業さえ、遠慮しなければならぬ場合もありましょう。
・女性の年齢
 
<対話の際に、相手に言ってはいけないこと>
・自分の身内のものの名誉や財産、地位などに関しては、よほどの場合でない限り、一切言うべからざることでしょう。
・自分の過去の学業の成績のごときは、これを口にするだけでも、その人のお里が知れるというものです。
・相手の顔色が悪いとか、歳をとったとか、痩せたとか太っているとか、背が高いとか低いとか、すべてこうした種類のことは、これまたよほどのことでない限り、言わないものです。
(相手としてもどうするわけにもいかず、結局、相手の気を悪くさせるのが落ちだから)
 
<対話中の眼のつけどころ>
・上は相手の眼のあたりから、下はまず襟の辺、ときには帯の辺までの間
 
 森信三先生は、今でいうところの教員養成学校の先生で、将来、教師になる人たちへの講義内容がまとめられて、この「修身教授録」はできています。なので、「教科書」のように、テキストがあるわけではなく、その時々で、森先生が気になる話題、学生さんに必要な話題を考えて講義されています。

 今回の「対話について」の最後のほうでは、対話とは離れて、日常生活の中でのちょっとしたエチケット?マナー、作法?についても触れています。次の通りです。
 
・銭入れ(財布)というものは、なるべく人に見られないように。
 もちろん、他人の財布を見ないように。
・人の眼の前で財布を開かねばならないような場合は、ちょっと身体を横に向けるとか、場合によっては後ろを向くとかするんです。
 相手に財布の中を覗けるようにするのは、無作法もはなはだしい。

 
・逆に言えば、人の財布を見ないこと。
 もし相手が目の前で見えるように扱ったら、それとなく目を他へそらすようにするんです。

 
・乗り物の中で、隣の人の新聞や雑誌などをのぞかないこと。
 これは他人がしているところを見てみると、いかにさもしく、はしたないことかよくわかりましょう。

 
 これらの部分を読んだある方の感想で、

「時代は違っても(この講義は、90年くらい前のもの)、現代に通じる内容も多い。

 結局のところ、対話の際の注意点であっても、人と関わる時に相手に嫌な思いをさせない、失礼にならないようにするために何が必要か、何に気を付けるかと言う目で見れば、うなずけるものばかりです」

と聞き、大いに共感しました。

 私自身は、

現代何かと問題になる「〇〇ハラスメント」も、結局のところ、どうすると相手に嫌な思いをさせないで、良好な人間関係をつくれるかが問題になってくると思いました。

 そのために、どんな話題や言葉を選ぶか、相手に通じるかを考えて発言する必要がありあますが、

一番、底流にあるのは、相手への敬意を伴った「丁寧さ」にある気がします。

 人間なので、ひょっとしたら、誤解や自分はそのつもりもなくて相手を傷つける言い方、言葉を投げかけることもあるかもしれません。

 しかし、たぶん、1回のことであれば、あるいは、いけないことをしたとすぐに謝罪すれば、世間をにぎわすような大きな問題にはならないような気がします。相手も自分も、完ぺきではないから、間違いもあると納得できるからです。
 
 逆に、相手に嫌な思いをさせていることに気づかず、あるいは、普段からリスペクトとは程遠い対応をしていると、問題が大きくなってしまうのではないかと思います。
 
 実際、森先生が亡くなられる前に、師事したり、話をされたりした人の思い出話の中に、
 

・先生は、年齢いかんにかかわらず、どなたに対しても、終始丁寧な言葉遣いをされていた。
・路傍の物乞いの人達に、「しっかり頑張ってください。くれぐれも身体を大事に」と声をかけ、こっそりと投げ銭しておられた。

等があります。
 いろんなエチケットやマナーなど、それこそ「生き方」については、口ではいろいろと言えます。
 大切なのは、どれだけ行動、自分の身に付いたものになっているかだと思います。そこが問われるなあという思いを強くしました。
 
 全然、話は違いますが、今回の読書会に、これまで病気で長らく入院していた方が久しぶりに来られました。

 話によると、ガンで、内臓の多くを摘出し、入院生活中は、腰の骨を折るなど、大変苦労されたようですが、それでも「少しでも学び続けたい」と再び、参加されたとのことでした。
 会の途中、途中で体をいたわりながらの参加でしたが、私からすれば、人生の先輩が、こうして「身をもって」示す姿が何よりも、大きな学びとなっていると、感銘を受けました。
 
ここまで読んでいただき、ありがとうございます
皆様の心にのこる一言・学びがあれば幸いです
 
 
 

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