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もしもジャイアンがクラスメイトだったら?⑤「チーム名」決めで一騒動

~アンドレ、サッカーチームを決める話し合いの巻~

アンドレの母親は面談が終わり帰宅。
たけしを呼び出します。
「たけし~~~」
「何だい、母ちゃん」
「ほら、この鉛筆使いな!」
と言いながら、たけしに投げつける母。
「今日、あんたの担任に呼び出されて、鉛筆買ってやれ言われたから買ってききてやったよ」
「大事に使いなよ」
「ありがと!!母ちゃん」
「人のもの勝手に取ったら承知しないからね、たけし」
「今度呼び出されたらもう、あんたを家に入れておかないからね!」
「はあ?何でそうなんの?」
「あんたは、すぐそうやって口応えする悪い子だね」
「あなたからもたけしになんとか言ってよ!」
と母は父にふる。
父は、黙ってテレビの野球中継を見ている。
「……」
「父ちゃんはいつもこうなんだから…」
「あっホームランだ!父ちゃん」
と話し中にアンドレは野球中継が気になってしまいました。
「こら、たけし!!まだ終わってないよ、ちゃんと最後まで話聞きなさい!!」
ボコッボコッ!!
「いてぇっ!!」
またまた殴ってしまった母。
結局面談してものの、普段とほとんど変わらない母だった。
さらに、自己肯定感は下がり続けるアンドレ。
母は父親からの協力もなく、ワンオペ育児。
自分の思考のくせに気付くこともなく、思い通りにならない息子に苛立ちストレスがたまる。
寄り添ってくれた先生へのリスペクトは仮の姿。
孤立していく母だった。

~そして翌日~

今日は、体育の授業で、ジャイアンが待ちに待ったサッカーの授業。
朝の会で、担任のさきお先生が言いました。
「今日の4時間目はサッカーがあります。この前決めたチームに名前をつけましょう。」
「今から少し話し合う時間をとるので、グループになって話し合いましょう」
アンドレのチームは、ほね夫、へび太、しずなの4人。
「俺様はもう、チームの名前決めたぜ!」
「地球連邦軍だ!!かっこいいだろ!!」
「えっ~~~~何それ?かっこ悪いよ~~」
とへび太は反論。
「な~~に~~~俺様にむかって口ごたえするなんて!」
アンドレは顔を真っ赤にさせながら
「へび太のくせに生意気だ!!」
というなり、
ボコッボコッ!!
と2発殴るアンドレ。
「え~~ん、何するんだよ!!アンドレ!!」
と泣きながらアンドレに殴りかかろうとするへび太。

危険を感じたしずなは、さきお先生に報告。
さきお先生が止めに入りました。
「この4人だけでの話し合いは危険だな」
と感じたさきお先生は、一緒に話し合いに入ることにした。
「たけしくんは、地球連邦軍っていう名前がいいんだよね?」
「そうだよ」
じゃ、この名前についてそれぞれの意見を聞いてみよう。
「へび太さんは、この名前じゃない方がいいって意見かな?」
「はい」
「ほね夫くんは、どう?」
「えっと…、ああ、」
アンドレはほね夫を睨みつける。
「…地球…連邦…軍……が…いい…で…す」
「そうだろ、ほね夫、やっぱりお前は心の友だ!!」
といいながら力強く抱擁。
「しずなさんは?」
「わたしは…たけしさんが、地球連邦軍がどうしてもいいっていうならそれでもいいです。」
しずなさん、さすが癒しの天使。
「そうすると、3人は地球連邦軍でもいいってことになるけど。へび太くんは、何か別のチーム名でもあるの?」
「いやっ…これっていうものがあるわけじゃないけど、地球連邦軍だけや嫌です。」
「なんだと!!!へび太のくせに生意気な!!」
「先生が、みんなで話し合ってっていったから、話し合いながら決めたいです。これじゃ話し合ってません。アンドレが一方的に決めただけになります。」
「なんだとぉ~~」
「じゃあ、地球連邦軍って名前を入れてもいいけど、ゼッケンの色だけはチーム名に入れたいです。今回のゼッケンの色は黄色だから、地球連邦軍イエローならいいです。」
「たけしくん、どうだい?君のつけた地球連邦軍とへび太くんのアイデアを合体させて、地球連邦軍イエローってのは?」
「まあ、へび太のくせに生意気だけど…まあ許してやるよ。今回だけだぞ!!あんまり調子のるんじゃねえぞ!!」
その時です。
先生の後ろで、目にゴミが入ったしまったへび太は、人差し指でごみをとろうとしてました。
「へび太この野郎!!」
「たけしくん、落ち着きなさい」
「へび太のやつが…あっかんべぇしやがって…」
「ぼくしてないもん」
「してただろ!!」
「ほね夫くんとしずなさんは、あっかんべぇを見たかな?」
「見てません」
「もしかしたら、勘違いかもしれませんね」
「この野郎あとでただじゃおかないからな!!」
「たけしくん、そんなことしたら、またお母さんとお話しすることになりますよ」
「ひえぇ、母ちゃんだけは勘弁してくれよ、先生」
「しずなさんと、ほね夫くんは、地球連邦軍イエローでいいかい?」
「はい」
「はい」
ようやくチーム名が決まりました。
地球連邦軍イエローです。
さて、地球連邦軍イエローは、体育のサッカーでどんな試合になるのでしょう?

話し合い学習は、協働学習です。
協働学習の注意点は3つ。

①社会的手抜き
②浅はかな決断
③寄り添う

①社会的手抜き

集団で話し合いを行う時に、一人当たりの積極性が人数の増加に伴って低下する現象です。話し合い活動における社会的手抜きが起こる原因としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 責任の分散:話し合い活動では、一人ひとりが必ずしも発言や提案をする必要がありません。そのため、責任が分散され、個人として頑張る必要性が低下します。

  • 他者の貢献への過信:他の誰かがきちんと発言や提案してくれるだろうという過信により、自分は手を抜いても大丈夫という心理が働きます。

  • 目立ちたくない心理:周囲から注目されることを避けたいという心理により、目立たない程度に発言や提案を控えてしまうことがあります。

②浅はかな決断

・多数決の心理:多数決の心理とは、多数派の意見に従う傾向があることです。そのため、少数派の意見が正しくても、多数派の意見に流されてしまうことがあります。

・同調圧力:同調圧力とは、周囲に合わせようとする心理です。そのため、自分の意見を押し殺して、周囲の意見に合わせてしまうことがあります。

・情報の偏り:話し合いに参加するメンバーの視点や立場が偏っていると、偏った情報だけが共有され、判断が誤ってしまうことがあります。

③寄り添う

大人の話し合いではまずやらないことですが、小学生の話し合い活動には欠かせないポイントです。
今回であれば、しずなさんの言動が寄り添いになります。
女の子だから、地球連邦軍などといった名前がいいわけありません。
本来なら、もっとかわいらしい名前がよかったはず。
それを主張することもなく、アンドレの特性を十分理解し、アンドレの考えた案を肯定してあげたのです。
こんな天使のような子はクラスに4~5人は必要です。
小学校における協働学習の一番のポイントはこの寄り添いにあるといっても過言ではありません。

そういった寄り添いができる子が育つにはリエゾン学級経営を実践していくしかありません。

次回をお楽しみに!


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