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【エッセイ】 毎日が分岐点。


定期的にタイムスリップしたくなる。静かな夜道を歩いている時なんて特に思ってしまう。「このまま夜の世界に飲み込まれて、気づいたら学生時代で・・・」なんてね。

夢みたいなことを考えながら歩いているからガードレールに膝をぶつけることもしばしば。あの時の痛さったらない。歯にくるんだよね、衝撃が。たぶん、現実的な痛みを使って神様が教えてくれてるんだよ。過去に行ったら今のお前はいなくなっちゃうぞーって。

考えれば考えるほど、今の自分は偶然の産物なんだなって実感する。無意識の選択の連続が、今のアタシを形成しているんだと思う。それは主体的なことだけじゃなくて、晴れの日が続くとか雪が降るみたいに、コントロールできないことも含んでいる気がする。

たぶん、運命の分岐点なんてそこら中にあるんだろうね。受験とか就職とか恋愛とか、大きなイベントだけじゃなくて、なんのドラマを見たとか、誰と遊園地に行ったとか、台風で遠足が中止になったとか。そんなの全部含めて、常に運命の分岐点に立たされているのかもしれない。

西洋の人は、こんな考え方はしなさそう。「アタシの人生、全てアタシが決めてるのよ!」って言うんじゃないのかな。「運命なんて変えてしまえ!」ってね。これは完全なる偏見だけど。

気持ちは分かるのよ。だからアタシはタイムスリップしたくなるんだと思う。あの時、コッチを選択していたら! って。頭の中だけで完結して物事を考えてるんだろうねえ。

なんだか自分を否定しているようだけど、理屈じゃ説明できない瞬間なんてたくさんあって、そもそも両親が出会ってなかったらアタシは生まれてきてないんだから! 意思もなにもないよね。それは祖父母の出会いだってそうだし、ご先祖様たちだって同じ。

偶然と偶然が重なって重なりまくって、今のアタシあり。
んなこと分かってるのに、タイムスリップしたくなっちゃうんだから、アタシって本当にアホなんだろうなあ。

でもね、人気のない夜の住宅街を歩いていると、幻想的な気分になっちゃうのよ。このまま違う世界に誘われてしまうんじゃないかと心の底で期待してしまう。それで過去を振り返ってみたりして、パラレルワールドを想像する。

今、この文章を書いていなかったら、違う未来が待っている。
昨日の夜、映画を観てなかったら、違う今を過ごしてる。

毎日が分岐点。

なんてロマンチック!


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