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あなたを好きだった私

いつも通り他愛もない私の言動の揚げ足を取りバカにしてくる好きな人。やめてよとふざけて肩を叩く私と折れたと大袈裟に痛がる好きな人。ヨシヨシと撫でながら痛いの痛いの飛んでいけとふざける私と、そんなんじゃ全然足りないよという好きな人。可愛いねとふざける私の肩を強めに叩く好きな人。痛いと大袈裟に痛がる私を座った目で見つめる好きな人。最初の情景と逆になって同じ様な事をしてる私達。ヨシヨシされないから痛いままなんだけどとふざけたら目尻に皺を作って笑ってくれた。無事にヨシヨシとされて満足した私といつも通り面倒を見てますなんて顔をしてる好きな人はまた歩き出す。気づいたら出会って季節が何周もしていた。好きになってからも何周もしていた。振られてからも何周もしていた。何回目かの春がもうすぐ終わる。  好きだと伝えた時の困った様子を忘れられない。あと何回か季節が巡ったら忘れられるのかは分からないけど多分まだ好きな私は忘れられなさそう。  彼に振られてから私は他に何人も彼氏ができて、好きな人はいろんな人とデートをして私は友達としてその報告を聞いていた。それでも多分私が1番好きなのはこの人だったんだろうなといろんな人と別れた今こうやってnoteを制作しながら思う。

友達のままでいて欲しいと言われてから好きな人に誘われて2人でご飯を食べに行った事もあれば、お散歩をした事もあって、カフェを巡ったりカラオケに行った日もあった。2人でいこうといわれた旅行は流石にうまく断った。SNSのアイコンは私が撮った写真、大勢で電車に座る時は大体隣、寒がりの私に上着を貸してくれる、そこの2人は本当に仲良いよねと言われる始末。嫌だと言われるのが怖くて自分からは誘えない私と違って彼は普通に誘ってくれる。振られる前も振られた後もこんな感じで一見思わせぶりな事をさてる私はもうすっかり慣れていて、こんな事ではもう期待しなくなった。

ただ振った後彼が一番仲の良い友達に、気まずくなったらどうしよう、避けられたらどうしようと相談していた事を私は知っている。そんな心配をさせて申し訳ない私は絶対にそうはしないと決めて一緒に過ごしている。喧嘩もするし遊びにも行くいい友達。頑張って毎日友達をしている、多分明日も友達。

ただ、荷物は重い方を持ってくれる所だったり、どんな時でも立ち止まって私の話を聞いてくれたり、他の人にこの子はこうだからと得意げに話してる姿だったり、今年に入って急に下の名前で呼び出した所とか、あいつはまじでいいやつなんだと私の居ない飲み会で話してる事を聞く度にこの人が私の事を好きだったらどんなにいいだろうと思ってしまう私。大好きな声で私の名前を呼ばれる度に嬉しくてつい頬が緩む。けどそれでもこの人は私の事好きじゃないという事を思い出し悲しい気持ちになる。振り返る瞬間に笑顔を作る私。そんな事を思っていたなんて悟られない様に満面の笑みで振り返る私。振り返って目が合う時に思うのは結局同じ事。もう何度目かわからない、この人が私の事好きだったらいいのになぁ。何の宗教も信仰していない私は神様に祈る資格はきっとないんだろうけど、もしよかったらこの人がちょっとだけ私の事を好きになってくれるように仕組んでくれませんかと祈ってしまう。多分どんな人よりもあの人のこと好きだよ。多分どんな人よりもあの人の笑った顔が好きだよ。多分どんな人よりもあの人ことを幸せにしたいと思ってるよ。けどやっぱりあの人好きな人と幸せになって欲しいなぁ。彼女欲しいなんてぼやいてるあの人好きだと思う人と幸せで居て欲しいなぁ。その好きな人が私ならもっと嬉しいけど。

早く同じコミュニティから卒業したいような、もう少しだけ隣で友達なんていう言葉に甘えたいような。何でこんなに好きなんだろう、なんで会っちゃったのかなぁ。本当にしっかりしろよ自分。

あなたを好きだった私だけは許してあげる。さっき好きな漫画を読みながら見たセリフ。私はまだ許してあげられないけど、あなたを好きな私だけはいつか許したい。

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