仮説

ちょっと座って話さない?そんな彼の一言で雑談を始めた私たちは夜中の2時までベンチで話していた。最近溜まってた愚痴、楽しかった思い出、行きたいお店、結婚したい話、お互い恋人が欲しい話、好きなタイプ、とにかく話は尽きなかった。今までも似たような事を話した気もするけどつい話してしまった。寒いね〜眠いね〜なんて話しながら一向に帰らない私たち。そんな言葉じゃ解散しないことを知ってるからか安心してそんな言葉を言う私と彼。もう今までも沢山話したし寒いのに立ち上がらない2人。

ついこの前、今年でこの沼から抜け出したいと決意した。LINEは自分からはしない、すぐ遊びにいかない、すぐ家に行かない、そう決意して行動できていたはずの私。そんな私の気持ちは冒頭の彼の一言であっさり崩れた。オンラインに体が慣れすぎていたのだろうか、対面になるとうまくいかない。なんて言い訳を重ねる。気が許せる人がまだおもちしかいないなんて言われたら少しだけ嬉しくなってしまう、そんな私は今日も好きをやめられない。   きっとこれは冬のせいなんだろう。つい近くにいたくなってしまう。暑いから、汗をかくから、メイクが崩れるから、そんなことを考えずに近くにいける季節。人の体温が心地いい季節のせいじゃないかな。むしろそうであって欲しい。        なんの約束も責任もない関係だからこそ手軽に近づいてしまう。これが夏だったら少しは違ったのだろうか、なんてよく分からない仮説を立てる。冬に責任を押し付けたくなる程に私はこの沼から抜けられない。つい話してしまう、帰らなきゃいけないのに長居してしまう。ベンチから立てない、こんなに寒いのに帰ろうが言えない。

けどやっぱり夜中の気温は長居させてくれない。ふと彼に沼ることをやめたいんだと思い出す私。帰ろうか、ようやく絞り出した一言。自分から言えた私にスタンディングオベーション。頑張ったね自分。明日何しようかな〜ここ行きたいんだけどなんて言う彼。絶対に自分からは誘わないと決めた私は、じゃあ一緒に行こうよを我慢する。もう都合の良すぎるコンビニにはならない。少しずつ営業時間も営業日数も減らしていくんだ。神接客もしない。帰り際の信号で、明日まじでどうしようと言う彼にばいばいを言う私。今日も帰り道は寒い。きっと1人で寝るベットも寒い。

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