「小川洋子的モチーフ」とは何か? を知る一冊|三宅香帆 第16回
小説は、作家のフィルターを借りる媒体小説とは、畢竟、世界の見え方を知る媒体なのだ。
――小川洋子の小説を読むたびそんなことを思う。
たとえばある作家の小説を読むと、そのようにしか世界が見えなくなる。ほかの作家の小説を読むと、世界がその作家の見ているように、見えてくる。そういう力をもった表現こそが、小説なのだと、思う時がある。
作家のフィルターを貸してもらうこと。それが小説を読むという行為なのではないだろうか。
逆にいうと、作家とは「それ以外の方法で世界を見ることができな