kimka

登山のフリーペーパー『山歩みち』編集長。山登りのこと、クライミングのこと、スキーのこと…

kimka

登山のフリーペーパー『山歩みち』編集長。山登りのこと、クライミングのこと、スキーのこと、健康のことについて思ったこと、感じたことを書き連ねていきたいと思っています

最近の記事

標高差60mで山を刻む

低山トレーニングを始めて数年。これまで標高差60mを行ったりきたりすることで心拍数をコントロールしていたが、同じ場所を繰り返し登るのはどうしてもモチベーションが下がる。すでに1500回以上それを繰り返したので、先日から標高差60mごとに地図にマーカーし、高度を上げるトレーニングに変更した。例えば登山口から標高差300mを登ればこれまで行ってきたトレーニングに換算して5回、600m登れば10回とカウントするのである。 これがじつにモチベーションを上げてくれることに気がついた。

    • 農機具としてのブルホーン

      農繁期に備え、農機具(!?)の整備をした。 まもなく始まる田んぼパトロールは1回約10km、1日朝夕2回。田植えする6月から8月いっぱいまで行うルーチンワーク。数年前まで、この作業がイヤでKトラやスーパーカブを使ってとにかく時短に励んでいた。けれど、ある日ふと気づき、この時間をトレーニングにしたらと思い立った。自転車の導入である。 といっても、あまりに時間をかけては無駄が多すぎる。試しにカブと自転車でその所要時間を比較してみたが、10分程度の差であった。だったら、自転車に

      • 自転車の雪上走行について考える

        雪国に住んでいると、避けて通れないのが雪のこと。ただやっかないもの、と見ればこの上なく邪魔な存在だが、楽しみにひとつと捉えれば、じつに魅力的な存在でもある。例えば、自転車の雪道走行などはとても爽快で、特別感を味わえてとても楽しい。 自転車の雪道走行で注意したいのは、まずはタイヤである。単に雪の上だけなら太いだけのタイヤでも事足りるが、少しでも凍っている場所があるのなら、スパイクタイヤが安全である。値段は張るが、下記のタイヤはかなりいい。ピンが抜けたら、追加で打てると聞いたこ

        • 氷点下の朝に

          10年に一度の寒波が訪れた翌朝、除雪作業で外を歩いていると、軒下に掛けておいたハシゴに丸い物体がぶら下がっていることに気がついた。近づいてみると、その物体は頭を下にして揺れているスズメであった。尾羽の一部をハシゴに凍りつかせて、ぶら下がっていたのである。 特に感情もなく、ゴム手袋をした手で包み込むようにして持ち上げてみたが、ハシゴから取れなかった。凍りついた尾羽を少し引っ張ると、パキッと取れた。改めてスズメを見てみた。目を瞑り、体の一部を凍らせていた。嘴がやたら黒々してい

        標高差60mで山を刻む

          効果的な低山トレーニングを考える

          低山歩きをトレーニングとして活用する場合、ただ歩いているだけでは効果が薄いことを今さならながら気がついた。 思えば、近場の低山を好んで歩くようになったのは10年くらい前のこと。始めた当初は年間100回程度であったが、その数年後から100〜200回に。そして体力の衰えを感じ始めた3年ほど前は400回、一昨年は約500回、去年は約700回を登った。 登ったといっても、標高差60mの「丘」を登る程度なので、いわゆる山とはほど遠い。しかし、例えば年間100回登山であれば月あた

          効果的な低山トレーニングを考える

          おもしろくない山登りを通じて

          近場の山の標高差60m登山を日課にして2年。2021年の年間登山回数は471回、2022年は654回。通算で1125回となった。22年の目標は、確か1日2回であったが、届かなかった。仕事が、体が、年齢が、などと、なんのかのと理由をつけては、登らなかったのが主因である。 およそ山登りとは、登らない理由はごまんとあるものだが、登る理由はただひとつしかない。登るということである。その一念を持てなかったのは、登るという気持ちが弱かったからだろう。 これはやって初めてわかったこ

          おもしろくない山登りを通じて

          近場の山を1000回登ってみて

          側から見たらなんの意味もない、自分でいえば自己満足にもならない行為を2年間続けてきたが、1000回を超えて、ようやく「やったな」と思えるようになってきた。近場の山歩き、標高差60m登行である。2年間の累計標高差が6万メートルに達したのである。 火星には太陽系最高峰のオリンポス山があるが、その標高は約2万5000メートルという。今のところ、その約2座分を登ったことになる。たかが60mでしかない標高差でも、バカのひとつ覚えの単純運動で太陽系最高峰に匹敵するとなれば、なかなかおも

          近場の山を1000回登ってみて

          行動変容は多様であってほしい

          困難な時こそ、そのひとの地が出るという。なんらかの危機に直面して、なにか具体的な行動に出るひと、なにかの理論をみつけて右往左往してみるひと、不安をだれかにぶつけてみるひと…ひとそれぞれである。けれど、こんな時こそゆったり構えることも、時に大切だと思う。 というのは、最近よく聞く言葉に〝行動変容〟があるのだが、これに日本人得意の同調圧力が加わると、なにか具体的な行動をしないとダメなんじゃないか説に悩まされることがあったからだ。一方で、おそらくある種の行動変容のひとつであろう、

          行動変容は多様であってほしい

          今、登山者にできること

          新型コロナウィルスが蔓延している。自粛ムードが続き、気分転換に山登りにでも。そう思うひとは多いことだろう。けれど、こんな時こそ、私たち山を愛するひとたちが最重要課題として認識すべきが「山でケガをしないこと」「コロナを出さないこと」だと思う。 確かに、山歩きは気分転換にもよいし、適度な運動は免疫力を上げるためにも効果があることだろう。けれど、仮にこうした状況で、山中で遭難を起こしてしまったら…。世間一般として山は遊びであり、遊びによって医療資源を当てることにでもなれば、非難さ

          今、登山者にできること

          書店営業で考えた

          初の著作『親子で山さんぽ』は関東を中心に配本されているため、地方書店には当然ながら店頭に並ぶことはない。ひとにもよるが、地方ではまだネットで本を買うことは少なく、せっかく宣伝しても、本屋にないと買えないと言われてしまうので、自主的に地元書店に営業をしてみた。近辺には蔦屋のほか、個人書店が2軒あるのみなので、半日かけてゆっくり営業。「一冊買うから、数冊書店に入れてPRしてくれ」というゴリ押し営業である。 おもしろかったのは、大型書店(蔦屋)と個人書店のちがいである。大型書店で

          書店営業で考えた

          書籍を編むということ

          本日発売の『親子で山さんぽ』(交通新聞社)は、人生で初めて手がけた書籍となった。かつて所属していた会社でも書籍の提案は何本も出したが、いずれもボツとなった苦い思い出があるが、今回は担当編集の力添えにより、実現にこぎ着けることができた。担当編集さまさまである。 およそ仕事とはどれも共通していると思うが、ひとりではできない。今にして思えば、かつて所属していた会社では、他人の協力をうまく得ることなく進めてしまったのが実現できなかった大きな要因ではなかろうか。自分だけ突っ走っても、

          書籍を編むということ

          フリーペーパーの力

          「奈良県の山奥からなんですが、『山歩みち』をおかせてもらえませんか」というメールが届いた。なんでも、晩秋にフィルムフェスをするそうで、そこに集まる多くのひとに、アウトドアの魅力を伝えたいから今回連絡したという。こういう問い合わせは、制作者としてすごくうれしくなってくる。 内容が先か、体裁が先か フリーペーパーの強みは、まさに無料であることである。その意味で、フリーペーパーの勝負は、まずは手に取ってもらえるかにある。どうやって冊子を手に取ってもらうのか。よく聞かれる質問に「

          フリーペーパーの力

          いつか役立つ(かも)! 腰ベルト3種

          ヘルニアになったことをきっかけに、腰ベルト3種を導入。腰の状態を大きく3段階に分け、その使用感をもとに、登山、クライミング、スキーでの使用感をイメージしてみました。まだ腰なんて痛くないよ、なんて思うみなさん、そんなことないですよ。山をやってる人間は意外と腰痛持ちが多いことを考えると、まだ痛くないみなさんもいつか痛くなる日だってくるかも!? いつかきっと役立つ腰ベルト考です! 【段階1】あまり痛みを感じない場合 おすすめアイテム:マックスベルトS2 https://www

          いつか役立つ(かも)! 腰ベルト3種

          中ノ岳遭難を考える その2

          前回は運動強度の指標であるメッツを導入すれば、現状の体力、トレーニング、ペース配分に役立てることができると書いた。また、中高年・男性は、自分を筆頭に体力と気持ちの間に乖離があり、それが危険に結びついている可能性も指摘した。 2回目の今回は、最終的には「滑落」をキーワードに地図をみながら事例について考えみたい。 ◇遭難事例 https://mainichi.jp/articles/20190809/k00/00m/040/279000c 標高差を読むのがメッツの基本

          中ノ岳遭難を考える その2

          中ノ岳遭難について考える その1

          8月上旬、越後三山・中ノ岳で遭難があった。 https://mainichi.jp/articles/20190809/k00/00m/040/279000c 地元紙では小さくしか扱われず、また、詳しい内容はわからなかったのであくまで推測の域を出ないのだが、この事例については北アルプス岩稜帯での滑落や富士山での落石とは異なる性質をもっているようで、ふと、この遭難について考てみたくなったのだ。 とはいえ、単に遭難原因について考えるのではあまり実りがないし、そもそもそれにつ

          中ノ岳遭難について考える その1

          山の「家」「ヤ」問題

          山登りを楽しむひとのことを広く登山者というが、別な呼び方として登山家や山ヤといって、あえて使い分けることがある。 呼び名なんて、別にどーでもよい話ではないかなどと思いながらも、いざ実在の人物を想像しながら2つの呼び名をあてはめようとしてみると…。その呼び名がしっくりくるひとこないひとがいて、であればやっぱり「登山家」と「山ヤ」には歴然とした差があるってことに改めて気づいてしまったのだ。 例えば夏は北アルプス、週末には低山を楽しむような山登りが趣味のひと。この場合は登山家な

          山の「家」「ヤ」問題