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オタマジャクシの受賞作品を収めた記念マガジンです

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note公式✖︎Panasonic『#スポーツがくれたもの』入賞 note公式✖︎NeWork『#あの会話がきっかけで』 審査員特別賞【石倉… もっと読む
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「清潔」に詰まっているもの

「清潔」に詰まっているもの

清潔は時に私を疲弊させ、
時に私を安心させる、
そんな存在だった。

おそらく子育てが始まるまではそこまで清潔を意識したことはなかったと思う。
もともと潔癖症や綺麗好きというわけでもなかったし、
独身の頃に参加したカンボジアのボランティアキャンプでは寝袋生活で髪もまともに洗えないような生活をしたこともあった。
そんな経験から、清潔でなくても人は生きていけるという思いがあったのかもしれない。

しか

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「君はどうする?」と聞かれたときに…

「君はどうする?」と聞かれたときに…

夫と結婚する前、ドイツ人の彼とお付き合いしていた。

彼も私も、母国ではない地で働き、生活をし、そして母語ではない言葉を使ってコミュニケーションをとっていた。

私は彼の話す綺麗な英語が好きだったし、彼の明るくて優しい性格も大好きだった。

ある日、彼のお母さんがケガで入院したとの連絡が入った。
彼は母子家庭だったこともあり、一人暮らしのお母さんのことをとても心配していた。

「ちょっと心配だから

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息子には まだ教えたくない言葉がある

「ねぇママ、お手紙よんでないのにもう捨てるの?」

ポストから束になったチラシを持ち帰り、ゴミ箱に捨てようとした私を見て、息子が言った。

私は捨てるのを躊躇い、ゴミ箱の上で手を止めた。

「ママ見て、ピザのお手紙もあるよ?」

“チラシ”と言う言葉をまだ知らない息子は、チラシのことを”お手紙”と言う。

お手紙か、そんな風に言われたら何だか捨てられない…。

「これはね、チラシって言って、要らな

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鍵っ子だった私がスポーツで得たこと

鍵っ子だった私がスポーツで得たこと

小学校2年生の頃、私は鍵っ子(カギっ子)だった。
鍵っ子というのは、帰宅しても家に大人がいないため、自分で家の鍵持ち歩き、帰宅後、留守番をする子どものことだ。

当時、両親は共働きだったため、小学1年の後半頃から、鍵っ子として過ごしてきた。(小1の前半は祖父が家に居てくれた)

小学2年の鍵っ子ともなれば、もう色々慣れたものだった。
鍵を開け、暗く静まり返った部屋の電気をつける。
朝食の食器を洗っ

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