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ウクライナ侵攻への姿勢から改めてNetflixへのロイヤリティが上がった話

こんにちは。モダンエイジの映画大好きマーケター栗原健也です。

今回は作品のマーケティングって感じではないのですが、先日ある映画を観てどうしても扱いたいテーマがあったので書かせていただきました。

それがドキュメンタリー映画、『ウィンター・オン・ファイア ウクライナ、自由への闘い』です。

2013年にウクライナで発生した学生デモが大規模な公民権運動へと発展した93日間の様子をとらえ、第88回アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にノミネートされたNetflixオリジナルのドキュメンタリー。13年11月、欧州連合協定の調印を見送ったヤヌコービチ大統領に抗議するため、キエフの独立広場でデモが発生した。当初は学生たちを中心とした平和的なデモだったが、治安部隊が武力をもって押さえつけようとしたことから衝突が激化。参加者の数は瞬く間に膨れ上がり、暴力が暴力を呼ぶ過激な革命へと変貌していく。多くの人々の命が失われたこの革命の過程を克明に描き、自由を求めて闘う人々の姿を映し出していく。

https://eiga.com/movie/83550/

EUとの協定に署名しようとせず、ロシアとの関係を強化していたヴィクトル・ヤヌコビッチ元大統領に対して、学生を中心にデモ運動が起こった「マイダン革命」の顛末を克明に写した作品です。

この運動によりウクライナはヤヌコヴィッチ元大統領を追放することに成功しましたが、これによりウクライナとのロシアとの関係性が悪化し、今の戦争にも繋がっているということも知り、ウクライナの闘争はずっと続いているのだと、無知な自分が恥ずかしくなりました。

と同時に、なぜヨーロッパ最大ともいわれる軍事大国ロシアに対して、これほどまで軍事力の差がありながらも、ウクライナの人々が立ち上がるのか、その理由を少しでも理解できた気がしました。

『ウィンター・オン・ファイア』キービジュアル

日本にいる私では、この状況に対してできることは限られていますが、この作品を通して、ウクライナについて知り、ウクライナの人々を想うことができきたこと、本当によかったなと思っています。

ロシアのウクライナ侵攻が日々過激さを増す中、私と同じように、この作品を観たという方も多いのではないかと思います。

というのもNetflixオリジナルの本作は、加入者であればいつでも視聴ができ、そしてなんと本作はNetflixを通してYouTubeでも無料公開されているからです。

■ロシアに対して様々な対応を講じたNetflix

『ウィンター・オン・ファイアー』の提供元であるNetflixですが、侵攻したロシアに対して、エンタメ業界の中でも非常に厳しい対応を講じました。

3/7時点では、ロシアで制作していた4本のオリジナルドラマシリーズの制作を含め、ロシアと関係を持つすべてのプロジェクト、および買収の一時停止を発表。またロシアでは、1日10万人以上の視聴者を持つ動画プラットフォームに、プロパガンダ的な国営放送の配信を義務付ける新法を制定していましたが、Netflixはこれについても遵守を拒否

さらに踏み込み、3/9にはロシアでのNetflixのサービスを全面停止しました。Netflixはロシアでローンチして1年ほどでしたが、すでに会員は100万人近くおり、このユーザーたちは一切Netflixにアクセスができなくなった形となります。

そして、これに合わせ、前述のとおり『ウィンター・オン・ファイア―』をNetflix公式からYouTubeで無料公開し、多くの人が観ることができる環境を提供しました。(これには本当にびっくりしました)

こうした非常にスピーディーな対応の背景にあったのが何だったのか。私はそれはNetflixの「パーパス」だったのではないかなと考えています。

■Netflixが掲げるパーパス

改めて企業における「パーパス」とは、「社会における"存在意義"」です。

明確にNetflixがパーパスを発表しているわけではありませんが、「社会における存在意義」という定義を当てはめると、下記がNetflixのパーパスと言えそうです。

https://about.netflix.com/en

日本語サイトだと、このように表現されています。

物語には、大きな力があります。
観る人に感動や新しい視点をもたらし、
世界と繋がることで、互いへの思いやりをもてるようになります。

Netflixは良質な作品を生み出し、提供し、その作品が持っている「物語の力」で、観客の感情を動かす。それを通じて、どんな人でも、肌の色が違くとも、性別が違くとも、置かれている環境が違ったとしても、誰もが相互に思いやりを持てる世界を作っていきたい。そうした社会への責任を綴った素晴らしいパーパスだと思います。

このパーパスがあるからこそ、平和を脅かすロシアに対しては強硬な姿勢を取り、誰もがウクライナに想いを馳せることができるよう、『ウィンター・オン・ファイア』を無料でアクセスできるようにした

すべての行動がパーパスのもと一貫されていて、これぞまさに「パーパスドリブンな経営判断」だと思いました。

■パーパスの意義とNetflixへのパーセプションチェンジ

「パーパス」の基本的理解については、弊社noteが非常にわかりやすくまとまっているので、ぜひ読んでみてください。

近年、「エシカル消費」といった言葉も良く聞かれますが、現代の生活者は、「安い」、「質が良い」はもちろんのこと、それに加えて自分の価値観と企業の価値観が一致しているのか、企業が社会課題の解決に寄与しているのか、といった観点から、消費を行う傾向が強まっています。

そこで各ステークホルダーに社会における企業の存在意義を明確にしようという概念が「パーパス」であり、それを体現する活動が「パーパスドリブンな経営」です。

ここで少し身の上話をさせていただくと、私は映画を中心としたエンタメコンテンツが大好きということもあり、Netflixはもちろん、アマゾンプライム、U-NEXT、ディズニープラス、Huluなど、複数の動画サブスクリプションに加入しています。

正直最近は可処分時間・可処分所得がなくなってきたという背景もあり、こうしたサブスクをいくつか退会しようかと考えていました。実はNetflixについては、オリジナルコンテンツが強いものの、最近はドラマを観る時間もあまりなく、一度退会して、本当に観たい映画作品が出てきた時だけスポットで入る形にしようかと悩んでいたところでした。(映画だったらやはりU-NEXT、アマプラが強いので、、)

でも今回Netflixのパーパスドリブンなウクライナ侵攻に対する姿勢をみて、やっぱりNetflixには入り続けたいと思いました。思えば『ウィンター・オン・ファイア』だけでなく、『13th -憲法修正第13条-』や『クィア・アイ』などの素晴らしい作品を通して、様々な人への共感を呼び起こしてくれたのがNetflixだったなぁと。

もちろんロシアのサービスを停止し、会員100万人分の利益が完全になくなってしまうのは、少なからずダメージだと思います。でもその利益よりも上位に来るパーパスがあるからこそ、反ロシアを断固として打ち出し、『ウィンター・オン・ファイア』を無料で公開し、物語の力で平和な世界を作り出そうとしている。その姿勢に感銘を受けました。

Netflixが提供する作品なら面白いはずだ、Netflixがオススメするなら観てみようかな、Netflixが好きだから応援し続けたいな……、だからNetflixは退会せずにこれからも続けていこう。こうしたパーセプションチェンジを促し、私のNetflixへのロイヤリティ(愛着)を強固なものにしたのが、パーパスと、パーパスドリブンな一貫した姿勢だったのです。

私は「Netflixの作品」はもちろん好きなのですが、それ以上に「Netflix」が大好きなんだなということを思い知らされました。

面白い作品にファンが付くことがもちろんですが、Netflixやピクサー、A24、スタジオドラゴンなど、作品の送り手に対してファンが付くことも最近では多くなっているのではないかと思います。

そうした意味でも、エンタメ業界でも社会的な意義=パーパスを打ち出し、それを体現していく行動は重要になってくるかもしれません。

物語の力で世界を変えられると本気で信じ、愚直に向かっていくNetflixに、私はどこまでもついて行きたいなと思った話でした。

■最後に

最後になりますがNetflix会員もそうでない人も、無料で見られるので、『ウィンター・オン・ファイア』をぜひ鑑賞してみてください。YouTubeには日本語版がないのが少し残念ですが、本当にたくさんの人に観ていただきたい作品です。(オリヴァー・ストーン監督の『ウクライナ・オン・ファイアー』と間違えないように注意です)

一刻も早くこの戦争に平和的な解決がなされることを、心より祈っております。

今回はいつもよりまとまりのない文章を書いてしまった自覚がありますが、読んでいただいた皆様、ありがとうございました。(いつもまとまりがあるわけじゃないですが…)

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