散文2
膝を擦りむいて
泣かなかったら、偉いと褒められた
我慢するのを覚えたのは
もう遠い昔の話
重ねた嘘が厚塗りのファンデーションのように重たくなる
綺麗に舗装された道路を歩くのが少し後ろめたくて、
通り過ぎる車の横暴さに嫌気が差す
肺に入れることのできない煙草の煙
風に乗った誰かの香水に咳き込む
好きなものには好きと言えるのに
嫌いなものには嫌いと言えない私は
屈託もなく笑うあの子になりたかった
大人ぶった自分の
子供じみた嘘
午前3時半
帰路に向かう道すがら
いつも電気のついているひと部屋に安心する
こんな時間まで何してるんだろう
こんな時間まで何してたんだろう
自分中心に世界を捉える方が
なんとなく窮屈に感じた
久々に開いたパソコンの画面が
やけに明るくてさ
年々悪くなる視力の前にはなす術もなく
こうやって老いて行くのね
そうやって置いていくのね
明けない夜
醒めない夢を見ている
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