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人生で最も幸福だった10日間−30万円使った初めてのヴェネツィア旅②

こんにちは。camelです。

前回の①を書き切るのにまた時間がかかってしまい、「私は本当に文章を書くことができるのか」という思いが強くなりました。まぁしょうがない。マイペースでやっていこう。

コロナ禍になってから海外旅行について考えると「でも行けないじゃん」と辛くなってしまうので避けていましたが、やっぱり思い出って心を温めてくれますね。
死ぬときってきっと思い出しか持っていくことができないだろうから、やりたいことをやれるだけやっていきたいですね。

さて前回からの続きです。


決めてからは早い、謎の行動力

海外なんて行ったことがない

当時の私は今よりももっと旅の経験がありませんでした。
子どものときから家族旅行に連れ出してもらえることは多くはなかったですし、行き先も両親の実家とか親戚の家とかが多かったです。
実家には車もありませんでしたし、私は20歳を過ぎるまで新幹線に乗ったこともありませんでした。でも高校の修学旅行で初めて飛行機に乗れました(今思えばすごい体験をさせてもらいました。ありがとう公立高校!)。

学生時代、友達から「三連休は北海道に行ってきた」「夏休みはグアムだった」「なんかベタだよね」なんてことを言われたときの、私の心境がわかりますでしょうか。ベタでもいいじゃん、こっちは1度だって行ったことがないんだからさ。

そんな私がいきなりイタリアの、それもヴェネツィアに行こうとしているのだから本当にわからないことばかりでした。
パスポートはまぁわかるとして(たぶん)、トラベラーズ・チェックって何?トランジット??ホテルの予約は、交通機関は…

そもそも言葉どうするの???

イタリア語は当然聞き取れないし、話せない。英語っていったって、受験英語(それだって十分あやしい)しか勉強してないんですけれど!笑

これは全て終わった今だから言えることですが、
正直なところ話せなくてもなんとかなります。

今なんてそれこそ当時と比べて信じられないくらい情報技術が発達しているので、スマホ1つあれば旅行くらいなんとでもなると思います(もちろん話せた方が楽しいとは思いますが笑)。
しかも旅先はヨーロッパの、さらに言えば観光都市ヴェネツィアです。今どうなっているかわからないけれど、マジで何も困らないんじゃないかな。

でも、当時の私は本当に何もわからなかったので、最初にすべきことは情報収集でした。

借り物の地球の歩き方を読んで、必要なところだけをプリントアウトする

PCを持っていなかった私にできる情報収集方法は主に「地球の歩き方」を読むことと、全然使いこなすことができていないスマホでのGoogle検索でした。あとは先述の友達との情報交換。

本を読むことは自然にできたので、それこそワクワクしながら「地球の歩き方」を読み進めたのを覚えています。
治安はいいけれどスリや置き引き、ぼったくりには注意しましょうなんて記述を読んで「さすが海外、日本と違うのか」なんて思いましたね。なんだかとてつもなくすごいことに挑戦しようとしているようで。

そして「地球の歩き方」を読み終えた私は、
必要だと思う箇所をコピーしてから友達に返却しました。

…そうなんですよね。実は買ってすらいないんですよね。

①で私を焚き付けた友達が買った「地球の歩き方」の中から必要そうな箇所だけコンビニでコピーしてプラスチック製のファイルに入れて持って行ったんですよ。
重くなるから、嵩張るからというのも理由のひとつでしたが「必要なところだけあったらいいや」みたいに思っていたんですよね。だから買わなかった。
UL思考?いやいや、彼からすればかなり図々しいと思います…笑。この場を借りてごめんなさい。そしてありがとう。読んでいないだろうけれど。

アナログ人間はGoogleマップもプリントアウトする

本を読む情報収集はそれこそ慣れ親しんだものだったので特に問題ありませんでしたが、問題はGoogle検索の方。

Google検索。

今となってはちょっと古い方法なのかもしれませんが、当時の私にとっては革命的な手段でした。なんならPCを持っていなくても、スマホでPCみたいにネットができる。もうそれだけで感動です。就職前に勢いでスマホ買っておいて良かった。ありがとうauショップ某店の店員さん。

ただ、今以上にこの革命的なツールを使いこなせていなかった私は、wifiを使うことさえできていなかったんですよね。実はX(旧Twitter)もInstagramも、LINEすらインストールしていませんでした。

もっと問題だったのはGoogleマップ。

今となっては車のナビも路線検索も、なんなら「駅から徒歩○分」みたいなお店に行くのもGoogleマップに頼りっぱなしの私です。
事前に調べることなんてもはや稀なことで(それはそれで問題な気もするけれど)、最寄りの駅を降りてから「えーっと?どっちに歩いたらいいのかな」みたいな能天気さでiPhoneを取り出してGoogleマップを開く始末。

でも当時はそんなことできなかったんですよね。
なんとなくデジタルに対して懐疑的というか、「でもバッテリーなくなったら終わりじゃない?」みたいに思っていたので、なんとなく「信頼できるのはやっぱり紙でしょ」という考えを持っていたんですよね。まぁ今でも間違いだとは思いませんが、極端というかなんとかいうか。

そういうわけで家の近所にあった(今はもうない)ネットカフェで
①行きたい場所に関するブログを表示
②行きたい場所がわかるGoogleマップを表示

①②をそれぞれプリントアウトしてクリアファイルに入れて持っていきました。

えーっと2013年の話です。アナログすぎて笑ってしまいますが、それが当時の私にできる方法の中で、最も安心できる方法だったんですよね。ちなみにwifiについてはよくわからないままだったので、海外でもスマホが使える契約を日本で結んでからヴェネツィアに向かいました。

親友との定期的な夜のドライブで決めたあれこれ

右も左もわからない私が無事に海外を旅して無事に(しかも心身共に超絶健康になって)日本に帰ってくることができた理由は、もちろんひとつではないと思っています。
旅先で親切な人に会えたとか体調を崩さなかったとか、あとはとにかく運が良かったとか。

でも、そもそも出発するために知らなければいけないことのあれこれについては、定期的に開催していた親友との夜のドライブ中に決めたんですよね。車内で決めて翌日とか翌週とかに行動するみたいなペースで進めていました。

今となっては旅といえばほぼひとり旅で、ルートから宿の予約から食事まで旅程の一切を自分だけで決めてばかりの私です。

でも、このときは「ひとり旅スキル」が低すぎて、ひとりではなかなか行動にうつすことができなかったんですよね。本当に彼が同じ時期に旅に出なければ、私が経験したものは全然違うものになっていたに違いありません。そもそも日本を出ることができたのかすらあやしい。

というわけで、以下が「親友との夜のドライブ中に車内で決めたこと」です。

初めてのクレジットカードを契約、少額の現金をユーロに両替

先述の通り、私は超アナログ人間でしたのでクレジットカードも持っていなかったんですよね。現金しか持っていなかった。カード払いってなんとなく怖かったんですよ。今ではすっかりヘビーユーザーなのに笑。

でも色々調べた結果、私のプランにはクレジットカードをメインに据えて保険的に少額のユーロを現金で持っていくのが良さそうだと判断しました。

そうと決まれば行動!

クレジットカードは旅行保険が付帯したものを契約し
日本円で3万円分くらいをユーロに両替。

反省点といえば、契約したクレジットカードが日本国内で使うのに向いているものだったせいか、現地で使えないことが多かったところでしょうか。
ヒヤヒヤしたけれど、今となっては良い思い出。ちなみに帰国したときに手元に残っていたユーロ硬貨は全て親戚の子どもたちへのお土産になりました。

僅かな理性で保険はかけておく…泊まるところさえ決まっていればOK

バックパッカーってパパパッとその日泊まれる宿を調べて、バシッと適切な宿を選んでいるイメージありませんか?
「どこに泊まるの?」って聞いたら「まだ決めてないよ」って返事が返ってきそうというか。しかも涼しい顔で答えたりしてね。旅慣れているというか、自立的っていうか。要するにかっこいい(主観)。

でも私は①にも書いたような「よくわからんけどなんとなるやろ精神」で旅の計画を始めた人間なので、大事なところは保険をかけておかないと危ないような気がしておりまして。
その保険というのが、「宿だけは日本にいる間に予約しておく」ことでした。とりあえず泊まるところだけは確保しているから、まぁあとはなんとかなるでしょという。。。

ちなみに私は10日間全て同じ宿の同じ部屋に泊まりました。

これは私の旅程が離島も含めて全てヴェネツィアのみで完結していたことで実現したことです。国境を跨ぐほど移動していたら移動先に泊まった方が便利だと思いますし。

デメリットは宿代が比較的高くなることと(当時のレートで約5000円/日でした)、帰国日がほぼほぼ決まってしまうこと。結果的には不満のない宿だったのですが、旅慣れている人からしたらもったいないことなのかもしれません。

ちなみに宿泊先は朝食付きのホテル、部屋はシングルルームにしました。
贅沢ですよね、お金ないくせに笑。

でも、これこそ結果的には大成功だったと思っています。こちらについては別の機会に語りたいです。

ともかくも、このようにして準備を進めていきました。こうして書き起こしていくと本当に行き当たりばったりですね。外したら絶対にダメだろというような要所はなんとか押さえられているとは思いますが(だから無事に帰ってきているのだけれど)、けっこうザルな計画です。

それでも「どうしても行きたい」という熱意があれば、絶対に出来ないというわけではないということを経験できたとも言えます。

旅行者に見えない格好で歩くリスクヘッジ

前述の通りスリなどの犯罪が日本よりも多いらしいと知った私たちは、防犯対策を考えました。日本にいたらジーパンの後ろポケットに突っ込んでいた財布も違う方法で持ち運ばないといけない。

いや、そもそも財布いらないんじゃない?

そう考えた私はジップロックに入れた現金を薄いウエストポーチ(その上からTシャツが着られる)に入れて持つことにしました。ポーチには旅券やパスポートなどの「毎日は使わないけれど必要になったらすぐに出したいもの」も入れていました。こうすることでシャワーを浴びるとき以外は離さずに済みます。

クレジットカードやスマホは毎日使うから取り出しやすい方がいいけれど、一番狙われそう。だからそれらは別のポーチに入れて首から下げ、その上からツナギ(前をジッパーで閉じられるタイプ。なんとなく自動車の修理屋さんのイメージ)を着ることにしました。

こうすることで「ツナギのジッパーを前から開けるか服を切り裂くかしないと中にアクセスすることができない」ようにしました。

胸元を触られても気づかずに眠っている、みたいな状況でない限り高確率で異変に気づいて対応できるし、服を切り裂かれるような状況になってたらそれこそさっさとお金を渡した方がいい。
万全とは言えないまでも、「ポケットに財布を突っ込んでいるだけ」に比べれば少しは防御力を上げることができたと思います。

また、これは現地で感じたことですが、
「お金持ちの旅行者ではない格好」というのも良かったと思います。

…実際にお金持ちではないのですが笑。それでもスマホとクレジットカードは持っているわけです。何が言いたいかというと、スリだって狙うなら”泣き寝入りしてくれそうなお金持ち”を狙うだろうということです。

ヴェネツィアに滞在している間に何組か日本人の男女を見かけましたが、みんなオシャレしているんですよね。当たり前ですけれど笑。
せっかくオシャレな街に行くのだからオシャレがしたい。綺麗な景色の中にいる綺麗な服を着た自分でいたい。その気持ち、今ならわかるのですが、当時は「スリに狙われやすいんじゃないかな」と心配しながら見ていました。いや、余計なお世話だってことはわかっているのですが。。。

ただでさえ「欧米人に比べると日本人は幼く見える」と言います。私が見た限りだと実際にそうでした。周りと比べても小柄だし、殴り合いの喧嘩とか絶対したことなさそう。本当に子どもに見える。その子どもがめちゃくちゃ高そうなミラーレスカメラとかを首から下げて歩いているわけです。表情は完全に景色に見惚れているわけです。目はあちこちをキョロキョロとしていて、どう見ても警戒しているようには見えない。

どうしてもスリをしないといけない状況で、絶対に失敗できないとしたら、こういう「簡単そうな相手」をターゲットにした方が自然ではないでしょうか…って犯罪者側の視点で見てしまったんですよね。

その点、私なんかは紺色のツナギを着ていて足元はランニングシューズ、時計は100均です。背負っているデイパックは日に焼けて退色しているし、首にかけているのは毛羽だった白いタオルです。
※旅行中「Are you working?」って訊かれました。No, I'm not.

ヴェネツィアはイタリアの中でも比較的治安の良い地域と言われています。それでも、やっぱり日本とは違うなと感じる場面がいくつかありました。
夜の街で人とすれ違うときに感じる恐怖感や不安感は、私は日本で感じたことのない種類のものでした。日本の公園で野宿したときは全然怖くなかったのに、街灯がある通りを歩いているだけでなんとなく怖かったです。
もしかしたら、それが「その街の当たり前」なのかもしれません(違うかもしれませんが)。

だからこそ、自衛の意識はアップデートしないといけないと思いますし、それが楽しい旅につながると考えています。

さて、次回からはいよいよヴェネツィアに入ります。
引き続きどうぞよろしくお願いします。

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