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JW117 三人目の大臣

【孝昭天皇編】エピソード8 三人目の大臣


紀元前445年、皇紀216年(孝昭天皇31)1月、新たな大臣(おおおみ)が誕生した。

大臣に就任したのは、津守瀛津世襲(つもり・の・おきつよそ)(以下、オキツ)である。

今回は趣向を変え、オキツの屋敷を舞台としたい。

まず最初に屋敷を訪れたのは、伯父の尾張天忍人(おわり・の・あまおしひと)(以下、オワリン)であった。

オワリン

オワリン「オキツ、大臣就任、おめでとう。」

オキツ「伯父上! 来てくれて嬉しいぜ。」

オワリン「来たついでに、わての息子を紹介するで。」

オキツ「我(われ)の従兄弟だぜ!」

オワリン「では紹介しますぅ。息子の天戸目(あまとめ)やで。トメと呼んでおくんなはれ。」

トメ「やっとかめだなも(お久しぶりだね)! トメだがや!」

トメ

オキツ「ひ・・・久しぶりだぜ。だが、読者から見れば、お初にお目にかかるはずだぜ?」

トメ「ほうだったきゃ(そうだったっけ)? 忘れとったがや。」

そこに、オキツの父、津守天忍男(つもり・の・あまおしお)(以下、アマオ)と、オキツの母、賀奈良知姫(かならちひめ)(以下、カナ)がやって来た。

アマオ「兄上。ようこそ、おいでくださりました。」

カナ「トメちゃんも大きくなって・・・。」

オキツ「久しぶり感が出てるぜ!」

トメ「叔父上、叔母上・・・。今後は、我(われ)が尾張氏を率いてくんだに。」

アマオ「ということは、兄上は、今回でクランクアップっちゅうことですか?」

オワリン「せやで! 汝(なれ)も息子が大臣に就任したんやさかい、クランクアップしとき!」

アマオ「せやな。そうしましょか。」

オキツ「任せてほしいんだぜ!」

するとそこに、物部(もののべ)の三兄弟がやって来た。

すなわち、大禰(おおね)(以下、大禰)、出雲色(いずものしこ)(以下、イズモ)、そして出石心(いずしごころ)(以下、いずっち)である。

物部三兄弟

大禰「エピソード110以来の登場やで。」

イズモ「わても来たで!」

いずっち「オキツ! おめでとう!」

オキツ「親戚のおっちゃん・・・。嬉しいぜ!」

アマオ「わてら兄弟と又従兄弟(またいとこ)の関係になるんやなぁ。」

イズモ「せやで! なかなか、わてらの関係性を説明できる機会が無かったからなぁ。」

オワリン「ところで、イズモは引退したんやなかったんか? たしか、エピソード111で、弟の『いずっち』に大臣職を譲るとか、なんとか・・・。」

イズモ「政界から引退しただけで、クランクアップは、まだやで!」

アマオ「ほな、今回を機にクランクアップするんでっか?」

イズモ「その通り! そこで、わての息子たちを紹介させてもらいましょか!」

トメ「クランクアップなんだで、息子が出るに決まっとるわさ。」

イズモ「そう言わんといてくれ! では、紹介します。息子の六見(むつみ)と三見(みつみ)やで!」

六見「私が六見だ。よろしくな。」

三見「み・・・三見です。よろしくお願いします。」

出雲色の二兄弟

オキツ「こいつらが、次の物部氏を背負っていくのか?」

イズモ「背負っては行くんやけど、わての子孫は、ここで終い(しまい)や。」

六見「えっ? 父上? 私と三見には、子孫がいないのですか?」

三見「ま・・・まさか・・・。そ・・・そんな・・・。」

オワリン「ほな、物部氏の今後は?」

いずっち「大変言いにくいんやけど、わての子孫が繫栄していくんや・・・。」

六見「ふっ。これでは道化だよ。」

三見「ちょっと悲しいですね・・・。」

大禰「何を言うてるのや! 汝(いまし)らは、ちゃんと記録に残ってるんやで! 感謝せな、あきまへんで! 記録に残らんかったモンは、ぎょうさん(たくさん)居るんや!」

三見「ぼ・・・僕、頑張ります!」

六見「私も頑張らせてもらうとするか・・・。」

オキツ「なんとか丸く収まったぜ。」

カナ「ところで、大禰殿も、今回でクランクアップなのですか?」

大禰「わては、もう少し出るつもりや。子孫も居らんしな・・・。」

六見「伯父上には、子孫がいないのですか?」

大禰「せやで・・・。一番悲しいのは、わてかもしれへん・・・(´;ω;`)ウッ…。」

三見「ぼ・・・僕、伯父上の分も頑張ります!」

大禰「ありがとうなぁ。」

オキツ「ちなみに、今回登場した人物は、みんな、饒速日命(にぎはやひ・のみこと)(以下、ニーギ)の子孫だぜ。」

ニーギ集会

アマオ「言われてみたら、そうやなぁ。ニーギの子孫たちっちゅうことやな。」

トメ「今後も、定期的に『ニーギの子孫たちによる集い』をしよまいか(しようよ)。」

オキツ「いいぜ! 長ったらしいから『ニーギ集会』にするぜ!」

六見「おもしろそうだな。」

三見「ぼ・・・僕もいいと思います。」

アマオ「ほな、定期的に『ニーギ集会』を開いて、わてら一族の解説をしていくんやで!」

オキツ・トメ・六見・三見・大禰「御意!」×5

いずっち「大禰兄上・・・。なんで、兄上まで返事してるんや?」

大禰「もう少し出演するんやさかい、ええやないか。」

こうして、瀛津世襲の大臣就任にかこつけた、ニーギの子孫解説は終わった。

そして、この物語のオリジナル、『ニーギ集会』の発足にも漕ぎつけたのであった。

つづく

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