見出し画像

JW84.4 牛さんは異邦人?

【阿蘇開拓編】エピソード4 牛さんは異邦人?


紀元前592年、皇紀69年(神武天皇69)8月、日子八井命(ひこやい・のみこと)(以下、ヒコヤ)は神武天皇(じんむてんのう)こと狭野尊(さの・のみこと)(以下、サノ)の命令で、筑紫(ちくし:今の九州)に赴いた。

三毛入野命(みけいりの・のみこと)の八人の息子たち(タカチホズ)も旅に加わり、草部(くさかべ)の地に到着。

そこで、木本(きもと)さんを初めとした、奥阿蘇(おくあそ)のみなさんと解説をおこなうのであった。

タカチホズ「浜床(はまとこ)には、二つの棟が有って、左の棟は、神主、宮総代と木本さんだけが入れるんやじ。」×8

木本さん「そいで、正面の棟に神輿を安置さすっとばい。」

浜床地図
浜床1
浜床2
浜床3

タカチホズ「これを『アオハゼ』と呼ぶそうやじ。」×8

ヒコヤ「アオハゼ?」

奥阿蘇の民①「ハゼは、漁業で使われちょる、羽瀬(はぜ)のこったい(ことです)。」

タカチホズ「じゃが(そうだ)。竹などで作るんやが、陸の方を開けて半円形に立て並べ、満潮の時に入って、干潮の時に逃げられなくなった魚を獲る漁法やじ。」×8

羽瀬
竹羽瀬

木本さん「山深い草部にも海人(あま)の影響が見らるっとよ。興味深い風習たい。」

ヒコヤ「これも出雲の影響かもしれぬな。」

タカチホズ「じゃあ、ついでと言ってはなんやが、草部吉見神社の摂社(せっしゃ)である、牛神社(うしがみしゃ)も紹介するっちゃ。牛神社の祭神は、牛神(うしがみ)という、そのまんまのお名前っちゃ。ヒコヤが来る前に、この地を治めていた豪族みたいやな。」×8

画像7
画像8
牛神社鳥居
牛神社拝殿

そこに、当該の人物、牛さんがやって来た。

牛「我こそが、この地を治めていた『牛さん』ばい! 牛頭天王(ごずてんのう)と言われとるばい。牛頭天王は、元々、インドのお釈迦(しゃか)様の生誕地を守る神様やったみたいやな。」

牛頭天王像

奥阿蘇のみなさん「おおっ! 牛様!」×多数

ヒコヤ「牛さん・・・。お初にお目にかかる。日子八井にござる。」

牛「知っとっとぉ(知ってるよ)! よろしく!」

タカチホズ「では、解説を続けるっちゃ。牛頭天王は日本に来て、素戔嗚命(すさのお・のみこと)の事だとか、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)の荒魂(あらみたま)のことだとか言われて、一緒にされたみたいやな。」×8

牛「じゃっじゃぁ(そうそう)。元々、地元の豪族やったとが、牛頭天王(スサノオ・オオクニヌシ)と合体して、神様になってしもうたんやろな。」

ヒコヤ「まあ、どちらにせよ、我(われ)の開拓に協力してくれたことだけは確かじゃ。」

牛「なして、そぎゃんこつ分かっとね?」

ヒコヤ「我がこの地に来た時、牛さんが五穀の種を与え、栽培方法を伝授したという伝承があるのじゃ。協力体制になければ、このような伝承が残るはずがなかろう。」

牛「オル(わたし)が教えたっと? とつけむにゃぁ(とんでもない)話たい!」

奥阿蘇のみなさん「そりゃ、ほんなこつかいた(本当のことですか)?」×多数

タカチホズ「まこち(本当だよ)!」×8

ヒコヤ「まあまあ、そういう伝承もあるということで・・・。」

タカチホズ「な・・・なんち・・・。長々と解説しちょるうちに、年は流れて、紀元前586年、皇紀75年(神武天皇75)になっちょるじ!」×8

ヒコヤ「ろ・・・六年もかかったのか? 宮を建てるのに?」

タカチホズ「宮より河川の開拓などを優先させたのやもしれん。大蛇退治もそういうことやないか?」×8

奥阿蘇の民②「もしかすっと、阿蘇に入らんなはったんわ(入らなかったのは)、次の健磐龍命(たけいわたつ・のみこと)の為とか?」

ヒコヤ「ちょっ! それは、異国(とつくに)の言葉で、フライングと言って、まだしゃべってはならぬことなのじゃ!」

奥阿蘇の民②「ばっ!? あいちゃぁ(嗚呼)! しもたぁ(しまった)!」

タカチホズ「こうなったら、言うしかないっちゃが!」×8

ヒコヤ「そ・・・そうじゃな。では、申すと致そう。この翌年、すなわち紀元前585年(神武天皇76)に、先ほど、名前が挙がった、健磐龍命(たけいわたつ・のみこと)が筑紫にやって来るのじゃ。」

奥阿蘇の民③「たつお、と呼んでくんなっせ!」

ヒコヤ「ま・・・まあ、その『たつお』じゃが・・・。我(われ)がいるにも関わらず、なにゆえ筑紫に来たのか・・・。その理由は定かでない。」

タカチホズ「そこで、この物語では、ヒコヤの阿蘇開拓が厳しい状況のため、救援を要請したことにしたじ。ヒコヤファンのみなさま、許してくんない(ください)。」×8

ヒコヤ「で・・・では、そういうことで、救援要請の文(ふみ)を書きまする。」

こうして、この物語のオリジナル設定による文(ふみ)が、遠い橿原宮(かしはら・のみや)に届けられたのであった。

橿原から阿蘇

橿原では、サノと可美真手(うましまで)(以下、ウマシ)と弟磯城(おとしき)こと黒速(くろはや)(以下、クロ)の協議がおこなわれた。

サノ「ヒコヤの阿蘇開拓は困難を極めておるようじゃ。」

ウマシ「作者の陰謀で、そういう設定にされたみたいでんな?」

クロ「どう致します。紙面の都合で、もう呼んじゃいますか?」

サノ「奥阿蘇の民②の失言で、赴く者が分かっておるからな・・・。」

ウマシ「ほんなら、さっそく呼んでくるでっ!」

サノ「うむ。頼んだぞ!」

次回、健磐龍(たけいわたつ)こと『たつお』が登場する。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?