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JW114 えびす様の正体
【孝昭天皇編】エピソード5 えびす様の正体
紀元前469年、皇紀192年(孝昭天皇7)8月10日、石津太神社(いわつのおおじんじゃ)が創建された。
祭神は「えびす様」である。
祭神について、第五代天皇、孝昭天皇(こうしょうてんのう)こと、観松彦香殖稲尊(みまつひこかえしね・のみこと)(以下、松彦)が熱く語る。
聞き手は中臣御食臣(なかとみ・の・みけつおみ)(以下、ミケツ)。
そして、息子の伊香津臣(いかつおみ)(以下、イカ)。
果たして「えびす様」について、ちゃんと解説できるのであろうか・・・。
松彦「二千年後、福の神の一柱(ひとはしら)となっておる神様じゃぞ。」
イカ「その通りにあらしゃいます。右手に釣り竿、左脇に鯛を抱えた神様にあらしゃいますなぁ。」
松彦「福の神となった理由は知っておるか?」
イカ「それを説明するためには、まず『えびす様』が、海から流れ着く、漂着物の神様であるということを解説せねばなりませんなぁ。」
松彦「そうじゃ。漂着物の代表格が、クジラじゃ。クジラが流れ着いたことで、飢饉(ききん)から救われたという伝承が、各地に残っておるぞ。」
ミケツ「漂着物が福の神になったのであらしゃいますか?」
松彦「こちらが御願いして、流れ着くものではないからな・・・。いわゆる幸運というヤツじゃ。それゆえに、福の神となるわけよ。」
イカ「更には、クジラ関連で、漁業の神様にもなっておりますぅ。クジラいるところに、魚の群れ有り、ということにあらしゃいますなぁ。釣り竿と鯛も、ここから来ているんでしょうなぁ。」
松彦「これもまた、運に恵まれたということで、福の神に通ずるのう。」
イカ「更に更に、運を呼び寄せるということで、商売の神様にもなっておりますなぁ。」
松彦「漂着物と客を掛けたわけじゃな。福の神にふさわしい。」
ミケツ「ところで、もとの名前は、何という神様にあらしゃいますのか?」
松彦・イカ「えっ?」×2
ミケツ「日本古来の神様にあらしゃいますか? 『日本書紀(にほんしょき)』や『古事記(こじき)』には、何と書かれております?」
松彦・イカ「・・・・・・。」×2
ミケツ「異国(とつくに)から来た神様にあらしゃいますか?」
松彦「そ・・・それは、まあ、なっ?」
イカ「えっ? そ・・・そうですなぁ。そこはかとなく、異国の風が吹いてきたような・・・。」
その時、雷鳴と共に、一人の男が出現した。
一人の男「我(われ)こそが『えびす様』と言われておる。」
ミケツ「ど・・・どなた様にあらしゃいますのんか!?」
一人の男「我か? そう、我が、事代主神(ことしろぬしのかみ)じゃ。『ことっちゃん』と呼べ。」
松彦・ミケツ・イカ「ええぇぇ!!」×3
ことっちゃん「我は、国譲り神話の際、釣りをしている状況で登場するのじゃ。」
松彦「釣り?」
ことっちゃん「そげだ(そうだ)。父上が、釣りをしている我のところに来て『変な二人組がやって来て、国を譲れって言ってきてるんだよ。僕の一存じゃ決められなくてね・・・。ことっちゃんは、どう思う?』と聞いてこられたのだ。」
イカ「そ・・・その釣りの場面と『えびす様』と、どういう関係があらしゃいますのか?」
ことっちゃん「我(われ)が釣りをしていたのと、『えびす』が釣り竿を持っていることが同一視され、江戸時代には、『えびす』と言えば『我』・・・みたいなことになってしまったのじゃ!」
ミケツ「い・・・いやなのですか?」
ことっちゃん「う・・・嬉しくなんかないぞ! コノヤロー(〃艸〃)」
松彦「う・・・嬉しいんですな。」
ことっちゃん「だ・・・だが、本当は蛭子神(ひるこ・のかみ)ではないかと、言われておるぞ。」
イカ「伊弉諾尊(いざなぎ・のみこと)と伊弉冉尊(いざなみ・のみこと)による国生みで誕生する、蛭子にあらしゃいますか?」
ことっちゃん「そげだ(そうだ)! 一発目の失敗で誕生した、海に流されたアイツじゃ。」
松彦「なるほど。海に流された・・・漂着物にござりまするな。」
ことっちゃん「他にも、少彦名命(すくなひこな・のみこと)こと『彦にゃん』という説もある。」
ミケツ「け・・・結局、よく分からないということでは?」
ことっちゃん「そればかりか、ヤマピーこと山幸彦(やまさちひこ)という説もあるぞ。」
イカ「ど・・・どれが本当にあらしゃいます?」
ことっちゃん「そんなことを言われても、『えびす』のヤツ、『記紀』に登場せぬのじゃ。仕方なかろう。分かっておることは、日本古来の神様ということだけじゃ。」
松彦「と・・・とにもかくにも、その『えびす様』を祀る神社が、わしの願いによって創建されたわけか・・・。」
ことっちゃん「うむ。こちらの神社では、我を『えびす』として祀っておる。日本最古の戎宮(えびすのみや)でもあるな。」
イカ「ち・・・ちなみに、大阪府堺市堺区の石津町(いしづちょう)に鎮座する、石津神社(いしづじんじゃ)であると言われておりますぅ。」
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![石津神社鳥居](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/72852731/picture_pc_572d0ca52eaa24576fccc21345144314.png?width=800)
![石津神社拝殿](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/72852757/picture_pc_f29cf7d6f4131b9e6fc57172cdac41cc.png?width=800)
松彦「言われておる? どういうことじゃ?」
イカ「実は、同市西区の浜寺石津町中(はまでら・いしづちょうなか)に鎮座する石津太神社(いわつたじんじゃ)であるとも言われておりまして・・・。」
![石津太神社0](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/72852894/picture_pc_b583d4019ea912f3707f71193b297c46.png?width=800)
![石津太神社1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/72852982/picture_pc_1a5c037014b9d0bc0a5f307ecffe90c4.png?width=800)
![石津太神社2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/72853097/picture_pc_15cb0aae6c2ea2118b6b2c01ac12ecc8.png?width=800)
![石津太神社3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/72853189/picture_pc_adc6a890e94ae1ba003773c9c69d88a2.png?width=800)
![石津太神社鳥居](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/72853313/picture_pc_55b9a1dd067d0ddd476236d2bac0e6ca.png?width=800)
![石津太神社拝殿](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/72853323/picture_pc_75f315717d19fcc702f41b68507407bf.png?width=800)
松彦「こ・・・ことっちゃ・・・いえ、事代主様。どちらが本当なのでしょうか?」
ことっちゃん「これぞ・・・・・・・・・ロマンであるな・・・。」
松彦・ミケツ・イカ「えっ?」×3
ことっちゃん「では、帰るとするか。さらばじゃ! 風邪引くなよ!」
こうして、事代主神は去っていった。
取り残された三人。
いったい、どうなってしまうのか・・・。
ミケツ「どうなると言われても、我(われ)がクランクアップするとしか・・・。」
松彦「ミケツが引退して、イカが、跡を継ぐということか?」
イカ「そうとも言いますなぁ。」
松彦「そうとしか、言い様がないような・・・。」
こうして、石津太神社は、無事に創建されたのであった。
つづく
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