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JW84.3 野の花と風薫る郷

【阿蘇開拓編】エピソード3 野の花と風薫る郷


紀元前592年、皇紀69年(神武天皇69)8月、日子八井命(ひこやい・のみこと)(以下、ヒコヤ)は神武天皇(じんむてんのう)こと狭野尊(さの・のみこと)(以下、サノ)の命令で、筑紫(ちくし:今の九州)に赴いた。

筑紫へ
高千穂1

三毛入野命(みけいりの・のみこと)の八人の息子たち(タカチホズ)も旅に加わり、奥阿蘇の大蛇を退治したのであった。

高千穂と吉の池
灰原で焼かれる

ヒコヤ「大蛇の住処であった池のあとに宮殿を作ったのじゃが、そこが、二千年後の草部吉見神社(くさかべよしみ・じんじゃ)なのじゃ。」

タカチホズ「じゃが(そうだ)。熊本県高森町(たかもりちょう)にある神社やじ!」×8

ヒコヤ「現在の地名も草部(くさかべ)として残っておりまする。」

高千穂と草部
草部吉見神社1
草部吉見神社2
草部吉見神社3
草部吉見神社鳥居
草部吉見神社拝殿

そこに、前回に引き続き、奥阿蘇のみなさんが登場した。

奥阿蘇のみなさん「ヒコヤ様! 『野の花と風薫る郷 高森町(たかもりちょう)』にようこそ! 二千年後も、しっかりと神社を祀(まつ)っとるばい!」×多数

ヒコヤ「皆! かたじけない!」

タカチホズ「ちなみに、神社から東に300mほど行ったところには、日子八井命陵もあるっちゃが。ずっと、ここに定住してたわけやなぁ。」×8

日子八井命陵
日子八井命陵正面
日子八井命陵近景

ヒコヤ「各々方、まだ我(われ)は生きておりまするぞ。先に陵墓の解説をせずとも・・・。」

タカチホズ「まあ、ええやないか。ちなみに、この陵墓には、三つの禁忌(きんき)があるっちゃ。」×8

奥阿蘇の民①「三つの禁忌?」

タカチホズ「一つ、馬に乗ること。二つ、汚物を焼くこと。三つ、婚姻で他の村に出る女や、死人を通すこと・・・の三本です!」×8

ヒコヤ「これは、どういうことじゃ?」

タカチホズ「まあ、馬や汚物に関しては、神社で一般的に禁止されてることやな。三つ目の婚姻女性と死人については、住民減少を防ぐ狙いがあったんやないかと考えられちょるじ。」×8

ヒコヤ「なるほど。陵墓でありながら、神社のような扱いを受けているというわけか・・・。」

タカチホズ「それで、ヒコヤは、ここで開拓使みたいな活動をしちょったんか?」×8

ヒコヤ「まあ、そういうことですな。なお、草部吉見神社は、日本三大下り宮の一つにござる。」

奥阿蘇の民②「三大下り宮?」

ヒコヤ「うむ。鳥居より石段を下ったところに社殿がある神社なのじゃ。エピソード0.5で紹介した、宮崎県日南市(にちなんし)にある、鵜戸神宮(うどじんぐう)も、その一つじゃ。」

下り宮1
下り宮2
鵜戸神宮1
鵜戸神宮2
鵜戸神宮3
鵜戸神宮4
鵜戸神宮5
鵜戸神宮下がる
鵜戸神宮下がるよ
鵜戸神宮拝殿

タカチホズ「我らの祖父、ウガヤフキアエズ様の生誕地とされている神社のことっちゃ!」×8

奥阿蘇の民③「ん? 最後の一つは言わんとな?」

タカチホズ「もう一つは、今回の話題と関係がないかい(から)、別にええんやないかち、思うてな・・・。」×8

奥阿蘇のみなさん「おったい(我々)は知っとごたる(知りたいです)。」×多数

ヒコヤ「仕方ないのう。では、解説致そうぞ。最後の一つは、一之宮貫前神社(いちのみやぬきさき・じんじゃ)であるぞ。」

貫前神社下がる1
貫前下がる1

奥阿蘇のみなさん「・・・・・・。」×多数

タカチホズ「何か反応せい!」×8

奥阿蘇の民④「どん(しかし)、知ったしゃん(知ったかぶり)は、いかんこつよ(悪い事ですよ)。」

タカチホズ「じゃっどん、分からんでも『へぇ』とか『おお』とか、何か言わんと、進まんやろ?! こんな感じにするっちゃが。 そんげな神社、初耳やじ!」×8

奥阿蘇のみなさん「へぇ、おお、初耳たいっ!」×多数

ヒコヤ「う・・・うむ。この神社は、群馬県富岡市(とみおかし)の一ノ宮に祀(まつ)られている神社で、祭神は経津主神(ふつぬしのかみ)じゃ。出雲に国譲りを迫った神様じゃな。ちなみに『日本書紀(にほんしょき)』にだけ登場する神様じゃ。」

貫前神社1
貫前神社2
貫前神社5
貫前神社8
貫前神社9
貫前神社拝殿

タカチホズ「ちなみに、ヒコヤを祀(まつ)っちょる、草部吉見神社やが、毎年7月31日に例大祭(れいたいさい)をおこなっているっちゃ。」×8

奥阿蘇の民⑤「御神輿(おみこし)も出るばい。」

草部吉見神社祭り
草部吉見祭り

タカチホズ「じゃが(そうだ)! 神輿の先導役は、一般的には猿田彦(さるたひこ)という神様なんやが、ここは少し違うんやじ!」×8

ヒコヤ「猿田彦は、我らのひいひいじいちゃんの瓊瓊杵尊(ににぎ・のみこと)が降臨された際に、先導役をした神様のことじゃな? その神様とは違う神様が先導するのか?」

タカチホズ「神様やない。木本(きもと)さんが先導するんやじ。」×8

ヒコヤ「木本さん?」

タカチホズ「前回、ヒコヤが大蛇退治をした折、先導役を務めてくれた『木本さん』や。その木本さんの子孫が、代々、先導役をおこなっておるんや。驚けっ!」×8

ヒコヤ「き・・・木本さんが、先導役とな?」

そこに木本さんがやって来た。

木本さん「その通りばい。オル(わたし)の子孫が、代々、先導役をやっちょっとばい。先導の際は、右手で梅の枝ば持って、地を引きずるようにして先導しちょっとです。」

木本さん

タカチホズ「じゃが(そうだ)。出雲佐太神社(いずもさたじんじゃ)の神事でも、梅の枝を用いるので、何か関連があったのやもしれんな。交流の名残かもしれないっちゃ。」×8

ヒコヤ「なるほどのう。」

タカチホズ「それから、神輿は、神社を出たあと、浜床(はまとこ)という、お旅所(たびしょ)で一時休息を取るんやが、そこの壁と床が青萱(あおがや)で編まれたものになっちょる。いわゆる仮の宮やな。今は壁だけが青萱で作られちょるじ。」×8

奥阿蘇の民⑥「ヒコヤ様が、草を束ねて宮を作った故事になぞらえたもんやろうなぁ。」

タカチホズ「ちなみに、浜床には、二つの棟が有って、左の棟は、神主、宮総代と木本さんだけが入れるんやじ。」×8

木本さん「そいで、正面の棟に神輿を安置さすっとばい。」

浜床1
浜床2
浜床3

タカチホズ「これを『アオハゼ』と呼ぶそうやじ。」×8

ヒコヤ「アオハゼ?」

こうして、草場吉見神社の解説は続くのであった。

つづく










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