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JW129 白浜神社と三嶋大社

【孝安天皇編】エピソード6 白浜神社と三嶋大社


紀元前342年、皇紀319年(孝安天皇51)、第六代天皇、孝安天皇(こうあんてんのう)こと、日本足彦国押人尊(やまとたらしひこくにおしひと・のみこと)(以下、ヤマ)の皇子(みこ)が誕生した。

それから数日後か、数か月後か、数年後のある日のこと。

尾張天戸目(おわり・の・あまとめ)(以下、トメ)が息子を連れてやって来た。

トメ「大王(おおきみ)! 来てしまったがや。」

ヤマ「おお、トメ。なんだ? 息子まで連れて?」

トメ「今回を機に世代交代をしとこうと思うて、連れてきてしもうたがや。では、紹介します。息子の建斗米(たけとめ)だがや。ケットと呼んでちょう(ください)。」

ケット「息子のケットだがや。これからは我(われ)が尾張氏を率いてくんで、よろしく!」

尾張氏系図

ヤマ「おお、よろしくな。」

トメ「では、息子の紹介も済んだということで、大王の御世に創建された神社も紹介するがや。」

ヤマ「い・・・いきなりなんだな・・・。」

ケット「では、紹介するでよ。大王の御世に伊古奈比咩命神社(いこなひめのみことじんじゃ)が創建されたがや。」

伊古奈比咩命神社鳥居
伊古奈比咩命神社拝殿

ヤマ「伊古奈比咩命? 初耳だぜ。」

トメ「三嶋大社(みしまたいしゃ)に祀(まつ)られとる大山祇神(おおやまづみのかみ)の嫁と言われとるんだに。地元の白浜海岸(しらはまかいがん)にある、火達山(ひたちやま)という丘陵に対する信仰から始まったみたいだなも(みたいだね)。」

白浜海岸
白浜海岸1
白浜海岸2
白浜海岸3
白浜と火達山
火達山

ヤマ「地元の白浜海岸ってことは、伊豆国(いず・のくに)か?」

トメ「御明察! 二千年後は静岡県だに。」

ヤマ「それで、詳しい地名は?」

トメ「静岡県下田市(しもだし)の白浜(しらはま)だがや。」

ヤマ「鎮座地の名前も白浜になってんだな。」

ケット「鎮座地の地名から、白浜神社(しらはまじんじゃ)とも呼ばれとるがや。」

伊古奈比咩命神社0
伊古奈比咩命神社1
伊古奈比咩命神社2

ヤマ「まあ、そうなるだろうなぁ。」

ケット「では、神社紹介も終わったし、これで帰りますか? 父上?」

トメ「そうだなも(そうだね)。帰るがや。」

ヤマ「はっ?! ちょっ! ちょっと待てよ。三嶋大社の鎮座地も説明しろよ!」

トメ「えっ? ほんなこと言われてもよぉ。」

ヤマ「仕方ねぇな。俺が説明してやるぜ。静岡県三島市(みしまし)の大宮町(おおみやちょう)に鎮座してるぜ!」

三嶋大社0
三嶋大社1
三嶋大社2
三嶋大社3
三嶋大社4
三嶋大社5
三嶋大社6
三嶋大社鳥居
三嶋大社拝殿

トメ「流石は大王だわ。おおきにえも(ありがとね)。」

ヤマ「お・・・おう。気にすんな!」

こうして、白浜神社の紹介と共に、尾張氏の世代交代が無事に済んだのであった。

それから再び、数日後か、数か月後か、数年の月日が流れた。

政務に勤(いそ)しむヤマの元に大臣(おおおみ)の磯城葉江(しき・の・はえ)がやって来た。

葉江

葉江「大王。まだまだ、大王の御世に創建された神社が有るんですよ。」

ヤマ「まとめて紹介できねぇのかよ。俺は暇じゃないんだぜ。」

葉江「そんなことを言われましても、作者の陰謀ですから、私にはどうすることもできません。」

ヤマ「それで・・・今度は、どこの神様を祀ったんだ?」

葉江「大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)を祀りましたよ。その名も石巻神社(いしまきじんじゃ)です!」

石巻神社鳥居
石巻神社拝殿

ヤマ「大国主っていうと、出雲(いずも)の神様だよな?」

葉江「その通りですよ。でも、もともとは石巻山(いしまきやま)への信仰が始まりみたいです。」

石巻山

ヤマ「山への信仰なのに、大山祇神じゃねぇんだな。」

葉江「その辺はロマンということで・・・。ちなみに、鎮座された地は三川国(みかわ・のくに)ですよ。」

ヤマ「三川? どの辺だ?」

葉江「愛知県豊橋市(とよはしし)の石巻町(いしまきちょう)金割(かなわり)ですよ。」

石巻神社0
石巻神社1
石巻神社2
石巻神社3
石巻山
石巻神社4
石巻神社5

ヤマ「愛知県か・・・。こっちにも出雲の移民が来てたってことか?」

葉江「さあ、どうなんでしょうねぇ。分かることは、ロマンだということくらいでしょうか。」

ヤマ「それは、分かんねぇってことなんだよ!」

葉江「ちなみに、推古天皇(すいこてんのう)の時代という説も有るんですよ。」

ヤマ「推古天皇? そんな遠い未来のこと言われてもなぁ。」

葉江「まあまあ、では、そういうことで、ついに・・・。ついに、この日が来ましたよ。」

ヤマ「この日?」

葉江「私のクランクアップです!」

ヤマ「長生き過ぎた汝(いまし)にも、最期の時が来たってのか!?」

葉江「はい。初代、神武天皇(じんむてんのう)の東征の時から、今に至るまで・・・。エピソード52のゲスト出演からですから・・・。合計77話の登場でしたね。」

ヤマ「す・・・すげぇな。」

葉江「今後は、甥っ子の五十坂彦(いさかひこ)こと、イサクが、磯城一族を率いて参ります。よろしくお願いしますね。」

イサク

ヤマ「たしか・・・『先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)』にも書かれてねぇけど、磯城一族が大臣(おおおみ)の役職を世襲してることになってたんだっけな。」

葉江「その通りですよ。私の父、弟磯城(おとしき)が申食国政大夫(おすくにのまつりごともうすまちぎみ)に任命されているので、子孫が跡を継いだに違いないと、作者は考えたようでして・・・。」

ヤマ「そうだったな。じゃあ、汝(いまし)の跡は、イサクを大臣にすればいいんだな?」

葉江「その通りですよ!」

こうして、初代の頃から登場し、二代目から六代目に渡って仕えた磯城葉江は、長い・・・あまりにも長過ぎる生涯を閉じたのであった。

つづく

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