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JW108 大物は二度現れる

【懿徳天皇編】エピソード9 大物は二度現れる


出雲(いずも)に向かった、第四代天皇、懿徳天皇(いとくてんのう)こと、大日本彦耜友尊(おおやまとひこすきとも・のみこと)(以下、スッキー)。

出雲へ

皇太子の観松彦香殖稲尊(みまつひこかえしね・のみこと)(以下、松彦)たちを連れての旅である。

出雲行幸メンバー

素戔嗚尊(すさのお・のみこと)(以下、スー)の登場に驚愕する一行。

そして、出雲の君主、櫛月(くしつき)(以下、月)が衝撃の発言をするのであった。

月「実は、国立国会図書館蔵『古今和歌集序註(こきんわかしゅう・じょ・ちゅう)』に、ほとんど同じ説話が載っているのさ。」

『月』の発言に対し、磯城五十坂彦(しき・の・いさかひこ)(以下、イサク)が喰いつく。

イサク「どういう意味なんだよい!?」

月「実は・・・こちらの説話では、スーさんに会ったのは、三代目とされてるのさ!」

スッキー「な・・・なにぃぃ!! 父上が、出雲に行幸なされておられたのか!?」

月「どうも、そうみたいだね。」

スー「そげだ(そうだ)。そのとき、俺は、人の世となって、初めての和歌を詠んだとされてるんだに。どっちが本当なのか、俺にも分からん。」

月「それでは聞いてください。三代目こと安寧天皇(あんねいてんのう)に詠んだ歌です。」


天津日(あまつひ)の 恵み閑(しず)けき まつりごと おさまれる君 世に栄ふかも


スッキー「ま・・・まさか、こんな展開になるとは・・・。」

松彦「父上? おじい様は、出雲に行っていたのですか?」

スッキー「我(われ)にも分からぬ。そんなことが有ったような、無かったような・・・。」

スー「まあ、そういうことだっちゃ。では、俺は仕事を終えたんで帰るぞ。」

一同「えっ?」×10

スー「解説すべきことは、もう無いだらあ(もう無いだろう)?」

スッキー「あ・・・ありませぬが、何か最後に一言だけでも・・・。」

スー「仕方ないのう。気を付けて帰れよ!」

こうして、素戔嗚尊(すさのお・のみこと)は去っていったのであった。

取り残された一行。

ここで、スッキーの弟、磯城津彦命(しきつひこ・のみこと)(以下、シキ)が呟いた。

シキ「せ・・・せっかくなので、エピソード94で紹介された、日御碕神社(ひのみさきじんじゃ)や、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)が祀(まつ)られた出雲大社(いずもたいしゃ)を参拝いたしまするか?」

日御碕神社1
日御碕神社3
日御碕神社6
日御碕神社遠景
出雲大社0
出雲大社1
出雲大社2
出雲大社3
出雲大社3D
境内案内図
出雲大社鳥居
出雲大社拝殿
出雲大社拝殿正面

スッキー「そ・・・そうじゃな。和歌の解説だけでは、心もとない。」

月「仕方ないなぁ。それじゃあ、日御碕神社は、エピソード94で紹介してるから、参拝したと述べるだけにして、これまで紹介できていなかった、出雲大社を紹介するよ。では『くにやん』の登場です!」

一同「はっ?」×9

そこに、大国主大神(以下、くにやん)が出現した。

くにやん「僕が登場する予定なんて無いと思ってたんだけど・・・。」

スッキー「きょ・・・今日は、大物ゲストばかりじゃな・・・。お初にお目にかかりまする。」

くにやん「初めまして。僕が『くにやん』だよ。ちなみに、出雲大社の正式な読み方は『いづもおおやしろ』なんだよ。覚えておいてね。」

スッキー「わ・・・分かりもうした。」

月「大国主様。社(やしろ)は国譲りの条件として、建ててもらったんですよね? そのときの台詞を、もう一回お願いします。」

くにやん「仕方ないなぁ。『僕のために、大きな社を建ててくれないか? そこに隠れて、国の行く末を見守っていきたいんだ』・・・これで、いいかな?」

一同「あの名台詞を生で聞けるとは・・・。ありがたやぁ。」×10

こうして、スッキーの出雲行幸は、つつがなく終わったのであった。

そして、時は流れ、皇太子決定の翌年、紀元前488年、皇紀173年(懿徳天皇23)春。

一人の男が妻を連れて、伊予二名島(いよのふたなしま)から旅立とうとしていた。

愛媛県の大三島(おおみしま)に鎮座する、大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)の神官、越宿禰成相(こし・のすくね・なりみ?)(以下、成相)である。

大山祇神社0
大山祇神社1
大山祇神社2
大山祇神社3
大山祇神社4
大山祇神社4
大山祇神社鳥居
大山祇神社拝殿

妻の名は稲鶴姫(いなつるひめ?)(以下、おつる)。

ちなみに、伊予二名島とは、現在の四国のことである。

ここで、我らがスッキーが、時空を超えて出現した。

スッキー「待て! 待てぃ! どこに行こうというのじゃ!?」

成相「大王! 時空を超えて、遥々、わざわざ四国に?」

スッキー「うむ。作者の陰謀じゃ。ところで、大山祇神社から、どこに向かおうというのじゃ?」

おつる「どこって、高志国(こし・のくに)に行くんよ。」

スッキー「高志とは、二千年後の北陸地方のことじゃな?」

高志へ

成相「その通り。二千年後の福井県敦賀市(つるがし)の野坂(のさか)に、大山祇神(おおやまづみのかみ)を鎮座しに行くんじゃ。ちなみに、わしは、翁(おきな)と書かれとるけん、お爺さんじゃ。」

おつる「どうして、私たちが行くことになったんか、その辺は、全くの謎なんじゃけど、野坂岳(のさかだけ)に対する信仰から、大山祇神を祀(まつ)ることになったみたいじゃなぁ。」

成相「その通り。そして、神社の名前が野坂神社(のざかじんじゃ)じゃ。3月8日に、鎮座したんで!」

野坂神社0
野坂神社1
野坂神社2
野坂神社3
野坂神社4
野坂神社5
野坂神社鳥居
野坂神社拝殿

スッキー「神社の名前は『のざか』と濁るのじゃな?」

成相「理由については、聞いたら、いかんで。」

スッキー「要するに・・・分からぬのじゃな・・・。ところで、高志といえば、出雲(いずも)の文化圏だったはずじゃが・・・。」

おつる「出雲でも、ヤマトでも、どっちでもええやんか。祀りたい人の元に向かうんよ。」

成相「そうじゃなぁ。どこにでも行かんとなぁ。」

スッキー「そ・・・そうか。で・・・では、気を付けてな。」

成相・おつる「大王も、お気をつけて!」×2

こうして、高志国に野坂神社が創建されたのであった。

つづく





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